表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/71

45

それからほどなくして街につく。

護衛達は報酬を貰うと、

そそくさと立ち去っていった。


「まさか、君だけじゃなく…お仲間の方々までお強いとは…驚いてしまったよ」

「へへっ!」


ジンは自慢気にしているが…

エルナに冷たい目で見られてしまい、

すぐにシュンとなった。


「君達さえよければ、このまま護衛をお願いしたいんだが…どうだろうか?」

「…マイルさんは何処へ行かれるのですか?」

「このまま帝国領に帰ろうと思っているんだ」

「…帝国ですか」


王国の街を巡ってきたが、

ジンに帝国の街を見せるのも、

経験になるかもしれない。


「…ジンは行きたいですか?」

「んー?俺は王国とか帝国とか…よくわかんねぇけど、行ったことないとこには行ってみたいかな?」

「…そうですか。でしたら、マイルさん…お引き受けしましょう」

「そうか!ありがとう!また、君と一緒に居られると思うと嬉しいよ!そうだ!今日はこの街で過ごすだろう?私が宿を取るから、酒を飲もうじゃないか!」

「…よろしいのですか?」

「もちろんだとも!」


マイルさんと一緒に宿へと向かう。


「いいなぁ〜…」

「子供はまだ飲めないわよ?」

「そういう姉ちゃんも飲んでねぇじゃん!」

「あのね…私はお酒が嫌いなの…アンタと一緒にしないでくれるかしら?」

「え〜?そう言ってるけどさぁ…本当は飲めないだけじゃねぇの?」

「そうね。飲めないだけかもしれないわね…」


エルナがジンの相手をしてくれている。

二人とも果実を絞った飲み物を飲んでいる。


「私達だけ…なんだか悪いね」

「…マイルさんは気にされないでください」

「…えっと、ジンくんと…」

「…エルナです」

「そうか!エルナさんか…エルナさんはお酒が苦手だったんだね…申し訳ないことをした…」

「…いえ、彼女も楽しそうにしていますので…マイルさんは気にされなくても大丈夫ですよ」

「そうかい?」

「…はい」


僕はマイルさんと一緒に酒を飲んで過ごした。


「やっぱり、馬車だと早いんだなっ!」


ジンは馬車の中で嬉しそうに声を上げた。


「うるさいわね…少しは黙れないのかしら?何?黙ったら死ぬの?だったら死になさい」

「うわぁ…なんか姉ちゃんがコエーこと言ってるんだけど…」

「怖い?何が怖いのかしら?私は本当のことを言っているだけなのだけど?」


二人の会話を聞きながら、

マイルさんは苦笑していた。


「二人は…仲が…い、良いのかな?」

「…いつも通りですよ。気にされないでください」

「そ、そうかい?何だか物騒な言葉が聞こえるんだけどね…」


苦笑しながらも馬車を動かす。


魔物と遭遇すれば、

エルナとジンが倒し、

日が落ちれば二人は模擬戦をする。


いつもと変わらない日々だ。


「…こうして見ると…エルナさんは本当にお強いんだね」

「…そうですね」

「いや…疑っていた訳じゃないんだよ?ただ…ここまで強いとは…思っていなかったんだ…」


ジンは何度も立ち上がり向かっていくが、

それを何度も叩き潰す。


手加減をしていても圧倒的だ。


「…エルナ」

「…そうね。はい、じゃあ今日はここまでよ」

「くっそぉー!今日も全然、ダメだったっ!」


ジンは寝転がりながら、大きな声を出した。


「当たり前でしょ?アンタなんか全然、強くないのよ?わかってる?雑魚を倒したぐらいで、強くなったなんて勘違いしてたんじゃないでしょうね?アンタなんか雑魚を卒業する手前にもなってないわ」

「い、言い過ぎだろっ!俺だってさ!毎日、毎日頑張ってるじゃん!」

「頑張っていたら何なのかしら?」

「が、頑張ってるから…それなりにさ…」

「アンタが目指してるのはそれなりなの?だったらそれなりに頑張って、そのまま死ねばいいわ」

「…ぬー」


ジンは不貞腐れてしまった。


「…ジンは成長していますよ」

「…何か…はぐらかされてる気分」

「…そうですか?」

「でも、兄ちゃんがそう言ってくれるなら…そう…なんだよな!うん!俺、頑張る!」


ジンは元気になると、お腹が空いたと言った。


「食事にしようか」


マイルさんは僕たちの食事も用意してくれた。


「私たちもいただいていいのかしら?」

「もちろんだよ。その為に多めに用意してあるからね」

「そう…なら、ありがたくいただくわ」

「やったー!腹減ったぁー!」

「…ジン。食べ過ぎないでくださいね」

「ははは、気にしなくてもいいよ。いっぱい食べておくれ」

「…ジンが食べ過ぎましたら、後で食糧をお分けしますね」

「ははは、本当に気にしないでくれ。さぁ、食べようか」


案の定、ジンは食べ過ぎてしまった。

マイルさんはジンの空腹を、

甘く見ていたのだ…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ