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「…っ!君たちっ!無事だったか!?」


馬車へと戻るとバルバロが驚いた顔をしていた。


「…そうですね」

「だが…それは…怪我を…してるのだろうか?」

「…いえ、大丈夫ですよ。それよりも…少しよろしいですか?」

「何だろうか?」


僕はバルバロを連れて、

みんなから少し離れた。


「こ、これはっ!?」

「…魔物使いです。恐らく、帝国の人間だと思われます」

「…そうだな。こいつの顔は見たことがある…」

「…そうですか」

「…君が…やったのか?」

「…そうですね」

「…君は…本当に帝国の人間ではないのだな?」

「…はい。帝国の人間ではありません」

「わかった。私は君を信じる…」

「…信じなくてもかまいませんよ」

「いや…まさか魔物使いまで仕留めてくれるとは思わなかった…助かる…」

「…今は護衛を引き受けていますからね」

「…そう…だな。ありがとう…」


バルバロは僕に頭を下げてくれた。


バルバロから御者を代わり馬車を動かす。

すぐに街に着くことが出来た。


「助かった。本当にありがとう」

「ありがとうございます」


三人は僕たちに感謝を伝えている。


「…いえ、ジンが引き受けましたので」

「そうだな…。ジンくん、ありがとう」

「ジン!ありがとうございます」

「へへへ!気にすんなよなっ!」


ジンはサラと笑い合っている。


「…ジンは迷惑をかけませんでしたか?」

「そんなことはなかったよ。しっかりと護衛を果たしてくれた」

「…そうですか。それならよかったのですが…」

「バルバロ?もしよければ…その…」

「そうですね。私もそう考えていました…。君たちはこれからどうするのだろうか?」

「…僕たちは旅人ですので…旅を続けるだけですよ」

「…それならまだ護衛を続けてはもらえないだろうか?」

「え?だって、目的地ってここなんだろ?」

「ジンくん。違うんだ…目的地はこの先の王都なんだよ」

「おうと?おうとって何?」

「…王都はこの国の、王様がいるところですよ」

「へー!そうなんだ!じゃあ、街も大っきいんかな?」

「…そうですね。きっと、大きいのではないですか?」

「俺さ!王都に行ってみたいっ!兄ちゃん!姉ちゃん!護衛を続けちゃダメかな?」

「…ジンは続けたいのですね?」

「うん。俺は続けたい!」

「…そうですか。報酬はいただけるのですよね?」

「もちろんだ!それなりの額を出そう」

「…でしたら、お引き受けします。ジンは護衛の経験をしっかり積むようにしましょうか…」

「おう!わかったぜっ!」

「ありがとう…」

「…いえ、こちらこそありがとうございます。ジンにとって…これも一つの経験になりますので…」

「…君は…本当にジンくんの保護者なのだな」

「…そうですね」


バルバロは笑顔でそう話している。


「では、この街で王都へ行く為の準備をするが…君たちはどうする?」

「…そうですね。でしたら、僕たちも別で準備をすることにします」

「そうか…じゃあ、今日はこの街に泊まろう。そうだな…あそこの宿に君たちの部屋も取っておく。そこを使ってくれ」

「…ありがとうございます」

「では、また後で」


バルバロはそう言って、去っていった。

僕たちも準備をしなければ…


護衛を受ける時に必要な道具…と、言っても、

普段とほぼほぼ変わりはしないのだが…


仮に護衛対象に怪我をさせてしまった時の為に、普段使わないような薬を用意した。


「うげぇ!こんな高いの買うのかよ!?」

「…万が一の為ですよ。普段は自分の命を優先しますが、護衛の際は護衛対象が優先です。それを忘れてはいけませんよ?」

「うん。それは…わかるけどさ…」

「…絶対にあってはいけないことですが…怪我をさせてしまった時に治療できるように用意している方が賢明だとは思いませんか?」

「うん。そうだよな…」

「…護衛対象が狙われるのは魔物だけではありません。人も命を狙ってくる可能性もあります。…それも覚えていてくださいね」

「わかった!」

「アンタなら助けた人に護衛対象を殺されそうね…」

「お、俺だって、そんなヘマはしねぇよっ!」

「そう?それならいいけど…」


ジンは不貞腐れてしまった。


「…エルナ」

「…はいはい」

「…ジン。護衛中は護衛対象が優先ですからね?」

「んだよ…兄ちゃんも同じこと何度も言ってんじゃん…俺だってわかってるよ…」

「…なら、今回の護衛対象は誰ですか?」

「それはサラだろ?」

「…正解です」

「ふふん!俺だってそれぐらいわかるって!」


ジンは自慢気に胸を張って話している。


「…でしたら、誰よりもサラさんを守るようにしてくださいね?…仮に、僕やエルナが命を落としそうになったとしても…です」

「……それは…なんか…やだな…」

「…それが護衛と言う仕事ですよ」

「じゃあ、俺は全員守るっ!」

「そう言えるだけの強さが伴うようにしなさいよ?今のアンタが言っても、笑われるだけよ?」

「それは…そうだけど…」

「…そう思えることは素敵なことですよ。全員を守れるように…強くなりましょうね?」

「おう!わかったぜっ!」


それから、準備を終えて、宿へと向かった。

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