表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/71

36

兄ちゃんと姉ちゃんが馬車を降りてから、

俺たちは馬車を走らせ続けた。


「ジンくんは…彼らが心配では…いや、これを私が聞くのは間違っているな…」

「何で?心配なんてしないっすよ?」

「それは…何故かな?」

「だって、兄ちゃんと姉ちゃんだもん!魔物なんかに負けないっすよ!」


バルバロさんは心配そうな顔をしてるけど、

俺は全然、心配なんかしていない。

というか、俺の方が不安なんだけどっ!


俺…兄ちゃんと姉ちゃんいなくて…

大丈夫なのかな…?


「っく!魔物が来たぞっ!」


リリアラさんはホニャララと、

不思議な言葉を呟いている。


おー!きっとこれが詠唱ってやつだね!

うん…やっぱり、

俺に魔法は無理なのかな?


そんなこと考えてる場合じゃねぇやっ!


俺は自分の顔をパシンッと叩いた。


「よっしゃっ!行くぜっ!」


バルバロさんに続いて、

俺も魔物へと向かっていく。


初めて魔物と戦った時は、

怖くて、怖くて仕方なかった。


姉ちゃんに何度、怒られたか…

でも、兄ちゃんが優しく大丈夫って、

言ってくれるだけで俺は大丈夫な気がした。


それで本当に今は大丈夫なんだもんな…

やっぱり、兄ちゃんはすげぇやっ!


そんな兄ちゃんにお願いされたんだ!

俺だってやれるってとこを見せなきゃなっ!


「ジンくん!…やはり、強いね」

「へへっ!でも、バルバロさんの方が、まだまだ強いっすけどね!」

「それがわかるだけ…君はすごいよ」


バルバロさんと魔物を倒しながらも、

俺たちは馬車を守る。


サラはきっと、戦うすべを持っていないんだ。

だから、バルバロさんとリリアラさんが、

サラを守ってるんだな…


「ファイヤーボール!」


やっぱり、魔法ってすげぇっ!


魔物がボーボー燃えていく。


その時、嫌な感じがした。

何故かはわからない…


でも、嫌な感じのした方を見ると、

俺たちの死角から、

馬車を狙っている魔物に気付いた。


やばいやばいやばいっ!

サラが狙われてるっ!


「っ!?ジンくん!?」


突然、俺が後ろに走ったことに、

バルバロさんは驚いた声を上げた。


だが、それでもサラを守る為に、

俺の身体は動き続けた。


「へ?きゃぁぁああ!」


サラが魔物に気付いて叫び声を上げた。


間に合え!間に合えっ!


俺は魔物とサラの間に飛びかかった。

背中に痛みが走る。


「じ、ジンっ!?」

「っつ!このやろっ!いってぇなっ!」


背中にジンジンと痛みを感じるけど、

間に合ったっ!!

俺はそれが嬉しかった!


サラを狙った魔物を倒したら、

バルバロさんとリリアラさんは、

もう全ての魔物を倒していたみたいだ。


「ジン!大丈夫ですかっ!?」

「っつ!…へへっ!サラこそ怪我してない?」

「わ、私は…大丈夫ですが…ジンは背中に…」

「そっか!なら、よかった…っててて」

「ジン…」


突然、サラがホニャララと呟いた。


「ヒール」


サラがそう言った途端に、

俺の背中はあたたかく包まれて、

気付けば痛みも無くなっていた。


「あれ?もう痛くない?」

「もう…大丈夫ですか…?」

「おう!もう大丈夫!え?何で!?」

「ふふっ、私が魔法を使ったんですよ」

「えっ!?サラも魔法使えるのっ!?」

「はい。でも、ジンだけに教えてあげたのですから…内緒ですよ?」

「わかった!俺、秘密は守るから!てか、怪我治してくれて、ありがとうなっ!」

「いえ、ふふっ」


サラは笑顔で俺の怪我を治してくれた!

てか、サラも魔法使えるなんて、すげぇ!

でも、秘密だかんな!内緒ぉ〜…内緒ぉ〜


「…そんなに眉間にシワを寄せて…どうされたんです?」

「え?いや、サラがすげぇって思ったんだけどさ!秘密にしなきゃって考えてたら…」

「それで、顰めっ面をされていたのですね。てっきり、まだ、お怪我が治られていないかと…心配しましたよ」

「あー!ごめんごめん!怪我は大丈夫!めっちゃ元気になったぜっ!てか、俺が怪我したって知ったら…姉ちゃんにまた怒られちゃう…だから、怪我したことは内緒なっ!」

「はい!2人だけの秘密…ですね!」

「おう!」


サラと話していたら、

バルバロさんとリリアラさんが走ってきた。


「大丈夫でしょうかっ!?」


二人とも、すごい顔してるなぁ〜


「私は大丈夫です。ジンが身を挺して助けてくださいましたので…」

「ジンくん。本当にありがとう…突然、後ろに走って行くから驚いたが…まさか、魔物が襲っていたとは…君が気付いていなければ…今ごろ…」


多分だけど…兄ちゃんが教えてくれた、

気配ってやつなんだと思う。


俺はそれを感じることが出来たのが、

すごく嬉しかった!


「大丈夫っすよ!俺だって護衛なんすからね!ちゃんと守らなきゃっ!」

「そう…だな。君には驚かされてばかりだな…」

「へへっ!兄ちゃんと姉ちゃんに色々、教えてもらってっからな!」

「ジンくん。本当にありがとうね」

「そんないいっすよ!それより…兄ちゃんたち…早く帰ってこねぇかなぁ〜」


俺がそう呟くと、

バルバロさんは悔しそうな顔をしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ