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「アンタ…剥ぎ取るの下手くそすぎないかしら?」


エルナはジンのことを、

可哀想な人を見る様な目で見ている。


「そんな言われたってさっ!初めてだから仕方ねぇじゃん!!」

「それにしても…うん。それにしてもよ…」

「何だよっ!?それにしてもって!!」

「もう一回…教えてあげるわ…」


エルナは珍しく、

ジンに優しい声色で話しかけている。


ジンが剥ぎ取った素材は、

見るも無惨な姿だった。


うん。

これじゃ、買い取ってもらえませんね…


僕は心の中でそう思った。


「…違うわよ…こう。違うわ…だから、そこを…こうして…うん。アンタじゃ無理よ…」

「何でだよっ!言われた通りにしてんじゃんっ!兄ちゃんっ!姉ちゃんがさっ!」

「…ジン。頑張りましょう」

「だってさっ!無理だって言うんだぜっ!」


もう一度、剥ぎ取った素材も…

剥ぎ取られた素材が可哀想だ。


「…ジンは力が入りすぎているのではないですか?もう少し、肩の力を抜いて…」

「でもさ!力入れなきゃ、魔物が硬くてナイフも入らないよ?」

「…僕はナイフも使いませんからね」

「…兄ちゃんに聞いた俺が間違ってた」


ジンは僕に聞くのを諦めたのか、

エルナに何度も違うと言われながらも、

必死に剥ぎ取る練習を行った。


「まぁ…買い取って…もらえるかしらね」

「…そう…ですね」


ジンが頑張った結果を見て、

僕とエルナはそう呟いた。


「次はぜってぇ上手くしてやるからっ!」

「…また教えてあげるわ」


また、魔物を倒すことがあったら、

ジンにも練習させながら、

お金にも変えられるように、

僕とエルナは素材を集めていた。


剥ぎ取りはまだ上手く出来ていないが、

ジンは強くなってきている。


最近は、エルナに口うるさく言われなくなり、

一人で魔物を対処できる様になってきた。


「…はぁ…少しは強くなってきたから…教えることも無くなったと思ったのに…」

「…申し訳ありません」

「貴方が謝ることじゃないわ。…頼まれたからにはしっかりやり遂げるわ」

「…ありがとうございます」


エルナは優しく微笑みながらもそう言った。


「早く行こうぜっ!」


ジンは早く剥ぎ取りが、

出来るようになりたい様で…

僕とエルナを急かすのだった。


「うぎゃぁぁぁぁぁぁあああああ!」


男性の叫び声が聞こえた。


「えっ!?な、何の声!?」


ジンは突然聞こえた叫び声に驚いている。


周りを見渡すと、

遠くの方で馬車が襲われていた。


「に、兄ちゃんっ!襲われてるっ!」

「…そうですね」

「た、助けなきゃっ!!」

「アンタね…学んでないわけ?」

「で、でもさ…やっぱり、助けてなきゃっ!」


ジンはそう言って、

馬車の方へと走っていった。


「…いいのかしら?」

「…いいのではないですか?」

「…そう。…貴方がいいなら、私はいいけど…」

「…ジンは学んでいない訳ではありません。それでも、人を助けたいと思うことは素敵なことだと思いますが…」

「…そうね。貴方の言う通りかもね…」

「…後は、どの様に行動をするのか…それを見届けましょうか」

「…本当に保護者みたいね」

「…今はジンの保護者ですからね」

「…そうね。なら、保護者の貴方の為にも…私も行動するわね」


エルナはそう言って、走り出した。


「…ありがとうございます」


僕は感謝の言葉を呟き、後を追った。


「大丈夫すかっ!?」


ジンは馬車の護衛に声をかけながら、

魔物と戦っている。


「だ、大丈夫だ!だが、君も危ない!すぐに逃げるんだ!」

「何言ってんすか!?俺だって戦えるんすよ!手伝いますっ!」


魔物の攻撃を避けながらも、

剣で斬りつけていく。

その姿を見て、戦えると判断したのだろう。


「す、すまないっ!助かるっ!」


彼もまた魔物へと剣で斬りつけた。


馬車にいる護衛は二人。

周りに殺された人間の数は四人…

結構、殺されてしまったな。


魔物の数は10を超える。

こんな数の魔物に襲われるのは珍しい…


「兄ちゃんっ!姉ちゃんっ!」

「仕方ないから手伝ってあげるわ…」

「か、彼らは!?君の仲間か!?」

「そうすよ!」

「助かるっ!」


ジンとエルナ、護衛の彼は剣で戦う。

もう一人の護衛は何か呟いている様だ。


「ファイヤーボール!」


もう一人の護衛が大きな声でそう言うと、

魔物が炎に包まれた。

ブックマーク登録してくださり、

ありがとうございます。


とても嬉しく思います。


こうしてお読みいただける方が

一人でも多く増えることに感謝しております。


大切な皆さまのお時間を、

この作品を読むためにお使いいただき、

ありがとうございます。


今度ともお楽しみいただければ、幸いです。

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