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「…おはようございます」

「ん?…あ、ああ…おはよう」


どうやら俺は寝過ぎてしまったようだ。

昨日の酒のせいだろうか?

例え、雨風がしのげる小屋だとしても、

魔物に襲われる可能性があるのだから、

ここまで熟睡することはなかったのに…


馬だけでなく…

俺まで安心させられたのかもな…

身体を起こすと、昨日の疲れは無く、

万全の状態になっていた。


「起こしてくれたんだな…すまない」

「いえ…雨も上がりましたので…そろそろ出発することができるのではないかと思いまして…」


窓から空を見上げると、

雨は上がって、少しだけ青空が見えていた。


「すまないな…ありがとう。俺は準備をするとするよ…」


小屋から出て、馬達に餌をあげてから、

馬車の荷物を確認する。

…何も無くなってはいない。

手荷物の中も確認したが、全て揃っていた。


安心して熟睡できたと思っていたくせに、

やはり疑ってかかる自分にため息をついた。


「よし、俺の準備は出来たぞ?兄ちゃん達はどうだ?」

「…大丈夫ですよ」

「そうか、なら近くの街まで乗っていくよな?」

「…よろしいのですか?」

「もちろんだ!それなら早く乗りな」


また二人を乗せ、馬車を走らせる。


「そういや、名前を教えてなかったな。俺はガイルだ。行商をやっている。旅人さん達は名前を教えてくれるか?」

「…名乗るほどの者ではありませんので」

「…そうか」


きっと、名乗ることが出来ないのだろう。

だが、俺は深く聞くことはなかった。


それからは何事もなく街に着いた。


「兄ちゃんのおかげで助かったよ。ありがとな」

「いえ…こちらこそ雨をしのぐことができましたので…食事もいただきまして…ありがとうございます」

「いや、礼を言うのは俺の方だ。ありがとうな」


彼はまた感謝を伝えてから、馬車を降りた。


「俺はもう少しこの街にいるからよ。また会ったら仲良くしてくれよ。そうだ!怪我した時の為に薬はいらないか?旅の必需品だろ?」


俺は薬を売り渡っている。

だからもし必要なら、

安くで売ろうと思ったのだが…


「いらないわ」


彼女にいらないと言われてしまった。

もしかしたら、

十分な量を持ち合わせているのかもしれない…

それなら確かに必要はないな。


「そうか。もし必要になったら行ってくれ。それじぁ、死ぬなよ?」


何故だろう?

ポロッと口から溢れ出た言葉が、

死ぬなよだった。


俺は彼らに死なないで欲しいと、

思っているんだろうか?

わからないが…

多分、間違いではないなと思いながらも、

馬車を走らせた。

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