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僕たちの前に一人の男性が現れた。


「お、お頭っ!」

「おー、タグぅ〜…やっぱり生きてんじゃねぇかよぉ〜」

「ど、どうしてお頭が…こ、ここに…?」

「俺ぇあよぉ〜…騙すやつが許せねぇんだよぉ〜…裏切ったタグを許すこたぁできねぇんだよなぁ〜」


ニタニタと笑いながらもお頭はそう言った。


「あんたがよぉ〜…騙すように言ったそうじゃあねぇかよぉ〜?ん〜?おかげで大切な仲間が一人死んじまったじゃねぇかよぉ〜…どう責任とってくれんだぁ〜?」

「こ、この人は関係ねぇだろっ!」

「関係あんだよっ!アイツが俺を騙す訳がねぇんだっ!それなのに…それなのに…あぁ、可哀想に…泣きながら死んでいったぜぇ〜…アンタのせいでなっ!」

「…そうですか」

「いち、に、さん、しぃ〜…うん。そうだなぁ〜…女は生かすとするかぁ〜。オメーらっ!女は殺すなよっ!」

「は、はいっ!」


周りに隠れている男性たちが、

声を合わせて返事をした。


「く、クソっ!兄ちゃんたちは逃げろっ!どうか…クミンだけは頼む…」

「どうして頼まれないといけないのかしら?」

「な、何だって!?お頭には敵わなぇ!俺が命をかけて兄ちゃんたちを逃すから逃げろよっ!」

「…そう言ってるけど?」

「ゴチャゴチャとうるせぇんだよ!俺ぇあよ…何でアイツが騙すようなことをしたのか…それが知りてぇんだよ!…アンタなんだろ?騙すように言いやがったやつはよ?」


エルナとお頭が僕に話しかけた。


「…そうですね」

「何でそんなことをよぉ〜…言ったんだよぉ〜?ん?おかげで大切な仲間を殺すことになっちまったじゃねぇかよぉ〜…テメーのせいでなっ!」

「…宝石が返ってきましたよね?それでよろしかったのではないですか?」

「それは俺ぇあのもんだ!…裏切ったタグを殺して連れ帰るのが重要だろうがよ〜…」

「…そうでしたか」

「まぁ、いい…俺ぇあを騙したアンタとタグを殺して…アンタらの女をもらうことにするからよぉ」

「…一つ言っておきますが…彼女は僕の女ではありませんので」

「私は彼の女よ」


沈黙。


「…違いますが?」

「違くないわ。私は貴方に全てを捧げているもの」

「うるせぇぞっ!痴話喧嘩なんかしてんじゃねぇっ!反吐が出るわっ!オメーら!殺せっ!」

「クソっ!兄ちゃん!逃げろっ!」


タグは剣を抜き男性たちに向かって、

戦いに向かった。


その横を走り抜けて、

一人、また一人と殴り殺す。


「っ!なっ!?」


タグは驚いて止まってしまった。


「戦わないのなら退いてくれるかしら?」


エルナはタグにそう言うと、

剣を抜き、男性たちを切り裂いていく。


四肢を切り落とし、

苦しそうにしている姿を見て、

クスクス笑いながらも切り殺していく。


いったい何人殺したのだろうか…

気付けば、お頭一人しか残っていなかった。


「て、テメーら…よくも…よくもっ!仲間をっ!」

「…貴方にとって仲間すらものでしかないのではありませんか?」

「な、何だとっ!」


エルナがお頭の左足を切り飛ばした。


「ぐわあぁぁぁぁぁぁぁああああああ!」

「…クスクス」


お頭はその場に転がりながら、

無くなった足を抑えている。


「別に…貴方がどのように生きようが…僕には関係ないのですが…」


もう痛みで僕の話を聞くことも、

出来ていないようだが…


「…殺すつもりなら、殺されても仕方ありませんよね?」


そう言って、顔を殴り潰した。


返り血を浴びた僕とエルナを見て、

タグとクミンは怖がっているようだ。


「…もう日が昇ります…そこまで行けば街に着くのではないですか?」

「…あ、ああ」

「…僕と一緒にいる必要はありません。行かれたらどうですか?」

「あ、兄ちゃんは…いや…何でもない…」


そう言って、クミンと荷物を纏めはじめた。

クミンは震えているのか、

なかなか荷物を纏められていないようだ。


エルナは何も言わない。


「あ、兄ちゃん…あ、あのよ…その…」

「…何でしょうか?」

「…兄ちゃんが…何考えてんのかなんて…俺には…わ、わからねぇけどよ…で、てもよ!…た、助けてくれたこと…感謝してんだ…ありがとな」


僕は何も答えない。


「っ!…本当にありがとな…じゃあ…」


そう言って二人は歩き去って行った。


二人が居なくなった空間は、

とても静かに感じた。

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