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「ねぇ?アンタらはいつまでついてくるわけ?」


エルナは白い目で冷たくそう言った。


「だってよ!もうあの街にはいれねぇだろうがよ!」

「タグっ!」

「だってよぉ…この嬢ちゃんが…」

「私たちは連れていってもらってるのよ?そんな言ったらダメじゃない!」

「そ、そうだな…俺が悪かった」

「お姉さん、ごめんなさい。でも、次の街まででいいんです。どうか…一緒に連れて行ってください…お願いします」

「…彼がいいなら、もう何も言わないわ」

「お兄さん…お願いします。そ、その…ダメ…でしょうか?」


クミンは上目遣いで尋ねてきた。

僕に話題を振らないで欲しかった。


「…かまいませんよ」

「あ、ありがとうございますっ!」

「兄ちゃん!ありがとよ!」

「ですが、前にもお伝えしたように…」

「わかってるって!兄ちゃんは兄ちゃんの好きなようにしてくれよ!俺らは勝手についていくだけだからよ!」

「…そうですか」

「おうよ!」


タグは嬉しそうに返事をした後に、

エルナに対して自慢げな顔をしている。


「…その顔…イラッとするわね」

「え?なんだって?ん?」


煽ってるな…


「タグっ!」


そして、クミンに叱られていた。


パチッパチパチッ…パチッ


焚き火の音が夜の闇に響き渡る。

だが、それ以上に彼らの声は響き渡っていた。


「おいっ!それは俺の飯だろっ!?」

「…何のことかしら?クミンからいただいたのだけど?」

「はぁ!?なんだってぇ?」

「ご、ごめんね。お姉さんに何かしてあげたくて…あげちゃったんだ」

「…ほら?何が誰のご飯だと言ったのかしら?」

「っぬぐぐぐぐ!」

「そ、その…お姉さんのお名前を聞いてもいいですか?」

「あー、クミン…聞いても教え」

「エルナよ」


タグの話を遮るようにエルナは名乗った。


「はぁ!?俺が聞いた時には教えなかったじゃねぇかっ!?」

「あら?覚えてないのかしら?アンタに名乗る名前はないって言っただけなのだけれど…」

「ふ、ふざけんなよぉ!」

「ふふふ。エルナさんとタグは仲良しだね」

「ちげーよっ!」

「クミン…間違っているようだから訂正してあげるわ。私はこいつのことを虫以下だと思ってるの…そうね…この言葉では虫に対して失礼だわ」

「でも、そう言いながらちゃんと話してくれてるじゃないですか」

「…人として話すことは当たり前だと思うのだけれど?」

「そうですね。でも、それが嬉しいんです」

「…変わった娘ね」

「よく言われます」

「だから、こいつと一緒に居られるのね…」

「そうかもしれませんね」

「ちょいっ!ちょっと待ったっ!それじゃあよ!俺がおかしなやつみたいじゃねぇかっ!」

「違うの?」「違うのかしら?」


二人同時に聞かれてしまい、

タグは意気消沈してしまった。


「あ、あの…お兄さんも一緒に食べませんか?」

「…僕は後でかまいませんので」

「そ、その…助けてくださったお礼もしたいんです…ですから…」

「それでしたら、少しだけでかまいません。残していただくことはできますか?そちらをいただきますので」

「え?…で、でも」

「クミン…彼に口は出さないでくれるかしら?」

「…い、一緒に食べた方が…美味しいじゃないですか…」

「それはクミンの価値観よね?それを彼に押し付けないでくれるかしら?」

「…エルナ」

「…はいはい。わかったわよ」

「ありがとうございます。ですが、空腹でない時に食事をする必要はありませんよね?」

「そ、そうですね」

「ですから、僕のことは気になさらないでください」

「わ、わかりました」


クミンはしょんぼりとした様子で、

また食事をはじめた。


「…なぁ、兄ちゃんっていつもあんな感じなのか?」

「…何故、教えなければならないの?」

「いや、だってよ…名前も教えてくれねぇし…食事を一緒にしねぇってさ…なんか人でも避けてんのか?それだったら、俺らがついていくのも断るよな?…よく…わかんねぇんだよな…」

「…わかる必要はないと思うわ」

「何だよそれ!嬢ちゃんはそれでいいのか?」

「私が…私だけが彼を理解してあげられたらそれでいいの。だから、アンタが考える必要なんてないの?わかるかしら?」

「んだよ…それじゃ、寂しいじゃねぇか。せっかく…こうやって知り合ったってのによ」


タグは悲しそうに話している。

だが、僕は周りの気配が気になっていた。


「ねぇ?囲まれてない?」

「…そうですね」

「はっ!?」

「静かにしてっ!」

「す、すまん…でも、囲まれてるってのは本当かよ…」

「ああ、本当だぜっ!」


僕たちの前に一人の男性が現れた。

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