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「ぐへへへへへへへへ」

「に、逃げてっ!」


どうしてこうなったんだろうか?

僕はそう考えていた。


こうなった理由は、二時間前に遡る。


「ねぇ、怒ってるの?」


エルナは僕を伺うように尋ねてきた。


「…何がでしょうか?」

「この間のこと…怒ってるのかなって…」

「…もう気にしていませんよ」

「…そう。それならいいのだけど…」


エルナはそう言ってから、

また静かになった。


「…やっぱり、怒ってるでしょ?」

「…はぁ…何回聞けば気がすむのですか?…もう気にしていないとお伝えしましたよね?」

「…でも」

「…でしたら、怒っている…と、お伝えしたら満足なんですか?違いますよね?」

「…そう…ね」

「…貴女が求めている答えは僕からは返ってきませんよ?…気にしていません。それでは、満足できませんか?」

「…そうよね。ごめんなさい」


そうやって謝られるのも気分が悪い。


「…何度も謝られてしまうと…困りますね」

「…そうよね。でも、貴方は私の全てだから…」

「…はぁ…それも困りますね」

「…それは決めたことだから」

「…そうですか。もう好きにしてください」

「…そうね。私の好きにするわ」


何度も謝られるぐらいなら、

静かについてくる方が、まだ良いと思った。


「く、クソっ!こいつっ!」


前の方で魔物に襲われている男性を見かけた。


「…襲われてるわね」

「…そうですね」


僕はそう返事を返し、歩き続ける。


「おいっ!アンタら!…って!おいっ!」


男性が必死に魔物に抵抗しながらも、

声をかけてきている。


「おいおいっ!って!おいっ!聞こえてんだろっ!ちょっ!待てって!待てよっ!」


魔物への抵抗だけでなく、

声をかけることにも必死な様だった。


「…声をかけてきているわよ?」

「…そうですね」

「おいっ!聞こえてんだろっ!助けろよ!」

「…助けて欲しいみたいだけど?」

「…はぁ」


僕はため息をついてから、魔物を殴り殺した。


「あ、アンタ…すげぇな…」

「…そうですかね?」

「お、おう!…ってか!何だよ!そこの姉ちゃん!めっちゃ別嬪さんじゃねぇか!俺の嫁にならないか?」

「…殺してもいいかしら?」


エルナが殺気を放ちながら男性を見ると、

彼はギョッとした顔をして冷や汗を流している。


「…エルナ」

「…わかったわよ」

「じょ、冗談だよ。ははは。そ、そう、冗談…冗談…」


彼は冷や汗を流しながらも、

必死に冗談だと伝え続けていた。


「…もう魔物に襲われていませんから、大丈夫ですよね?行ってもよろしいですか?」

「ちょっ!ちょいっ!待てって!」

「…何でしょうか?」

「そんな急いでどこ行くんだよっ!?この先は山賊もでて危ねぇんだぞ!?」

「…そうなんですね」

「そうなんですねって…お前…」


呆れた表情で僕を見ている。


「たしかにアンタは強いかも知れねぇが、そんな綺麗な別嬪さん連れてちゃ狙われても仕方ねぇだろ?やつらは数で襲ってくんだからよ!」

「…つまり、アンタも一緒に行きたいって言いたいわけ?いらないんだけど?」

「っな!ちょっ!嬢ちゃん!それはヒデェぜ!こうやって知り合ったのも何かの縁だろっ!?頼むよ?な?俺も一緒に連れてってくれよ!確かにアンタ程、強くはねぇけどよ…それなりに戦えてただろ?頭数には入れられんだろっ!?」

「…はぁ…僕は僕の好きな様に行きますよ?それでもいいのでしたら…勝手についてきたらいいのではないですか?」

「おっ!話がわかんじゃねぇか!」

「…いらないんだけど?」

「…それならエルナがついてこなければいいのではないですか?」


僕がそう伝えると何も言わなくなった。


「兄ちゃん!よろしくな!俺はタグってんだ!兄ちゃんと嬢ちゃんの名前は何て言うんだよ?」

「…名乗るほどの者ではありません」

「…アンタに教える名前はないわ」

「おいおいっ!ヒデェだろっ!俺の名前を聞いといて教えねぇのはヒデェだろっ!」


タグはキャンキャンと吠えている。


「勝手についてきてるだけよね?それなら黙っててくれない?」

「ぬぐっ!そう言われたら…その通りだけどよ…ちぇっ!じゃあ、いいよ!よろしくな!」


五月蝿い同行人が出来てしまった。


「兄ちゃんってよ!何でそんなに強ぇんだよ?そんだけ強かったら嬢ちゃんと一緒でも…多少は安心できんのかも知れねぇけどよ…やっぱり、女性と行動すんのって危なくねぇか?こんな別嬪さんなんだしよ〜」

「質問が多いわね…黙っててって言ったはずだけど?」

「いやいや!嬢ちゃんには聞いてねぇだろ!?」

「アンタがキャンキャンキャンキャン五月蝿く吠えてるから注意しただけじゃない?」

「キャンキャン吠えてねぇわ!」

「二人共…静かにできないのですか?」

「私は静かにしてるわよ?コイツが五月蝿いだけで…」

「俺は普通に話してるだけだろうがっ!それを嬢ちゃんがネチネチ、ネチネチと…」

「誰がネチネチ小言を言ってるって?アンタが口を開くだけで不快なのだけど?」

「そこまでは言わなくてもいいだろうがよ!」


僕が歩く後ろで、喧嘩をし続けている。

もう何も言うまい…

ブックマーク登録してくださり、

また、評価ポイントをつけてくださり、

ありがとうございます。


とても嬉しく思います。


こうしてお読みいただける方が

一人でも多く増えることに感謝しております。


大切な皆さまのお時間を、

この作品を読むためにお使いいただき、

ありがとうございます。


今度ともお楽しみいただければ、幸いです。

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