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「おはようございます」
「ん?…ああ、おはよう。今日も来てくれたんだね」
「はい…先生にお尋ねしたいことがありまして…」
「何だい?」
「あの薬はどこで手に入れたのですか?」
「あの薬とは?」
「あの赤い液体ですよ」
そう言うと、彼は黙った。
「ちょっと、色々とあってね。詳しく話すことは出来ないんだが…」
「数に限りがあるんですよね?」
「そ、そうだが…」
「後、どれほどの数があるんですか?」
「…3つだ」
「そうですか…」
「君は…何が知りたいんだ?」
「貴方が知っている全てのことですよ」
彼は燻しげな表情で僕を見ている。
「アレの正体を私たちは知ってるのよねぇ〜」
エルナがそう言うと彼は驚いた表情をした。
「な、何故…君たちが知っているんだ?」
「聞いているのはこちらです。何故、貴方が持っているのですか?」
「そ、それは…だな…」
「ねぇ、どうせ関係者でしょ?話を聞く必要なんかないんじゃない?」
「…エルナ」
「…わかったわよ」
「それで、お話をしていただけますか?」
「わ、私が話すことは…な、何もない…」
「先生〜!おはようございまっす!って!あれ!?な、なんか空気悪くないっすか?」
「アンタは黙っとこうか…?」
エルナが殺気を放ちながらドンに言うと、
腰を抜かしてしまった。
「わ、私は…私は何もしていない!た、ただ!人を救う為に行動していただけだ!私は何も悪くないっ!」
「人を救う為に、人を犠牲にした。そう言えば、わかりますか?」
「っ!…き、君は…」
「そうですか。貴方は生き残りなんですね」
「ま、ままま、まさかっ!き、君がっ!?」
「…僕だけじゃありませんが」
「私もそうかしら?」
「そ、そんな…それじゃ…」
「…そうですか。研究結果は残していますか?」
「…そ、そんなものっ!残っている訳がないだろっ!」
「…そうですか。…エルナ、どうしますか?」
「…そうね。貴方の好きな様にしていいわ」
「…わかりました。最後に言い残す言葉はありますか?」
「わ、私は…私は…」
「ちょちょちょっ!待ったぁ〜!!」
ドンが先生の前に走り込んできた。
「あ、あああ、あんたら!せ、先生を…先生をどうするつもりだよっ!?」
「…貴方には関係ありません」
「関係あるってのっ!先生はこの街を救ってくれたんだぞっ!それを…お前ら人でなしかよっ!」
「…そう言っていますが?」
僕が先生に尋ねると、
唾をゴクリと飲む音が聞こえた。