豆柴、モヤモヤする
翌朝、鑑定屋に行き、ギルドから貰った首輪をザップさんが鑑定師に渡す。
「これは…残念ですが、首輪を使わないのが懸命です。首輪を填めたら、こちらの従魔はギルド所有従魔契約になり、貴方方とは従魔契約は無しになります」
「やはり…か」
「新たに首輪が欲しいならば、聖都ルーンが良いかと…」
「ありがとう。あとこの辺りで野良猫や野良犬はいますか?」
「おやおや愉快なことを(笑)」
「で、いるのか?」
「路地裏に野良犬が。実は、俺達鑑定師達はギルドに恨みがあるんだよなぁ」
「はははは」
「あははは」
「うふふふ」
「ぷーくすくす」
「はははは」
「「「「「あーははははははははは(笑)」」」」」
悪どいな鑑定師。俺は好きだけどな。
それから、ジップさんは裏路地のカワイイ子犬に首輪をし、街を後にした。幸せに暮らせ、子犬!
直様、バレないように街を出て、のんびりと歩き、たまに休憩をしながら食事をする。
「じゃぁ、ノワールは他の世界にいて、死んだから転生したんだ〜」
『わう!人口増えすぎたから、それでだよ』
「それじゃ、その犬の姿は死んだ世界の犬なんだ」
『そう。柴犬、豆柴は特に人気で純血なら…この世界でなら金貨30枚〜50枚かな』
「「「「高っ!!!」」」」
『それぐらい犬猫の血統は高いんだよね』
ムシャムシャ食べながら、シュリさんが問う。
「そこまでして、血統は大事なの?」
『さぁ、俺には分からない』
「ふーん」
俺は残りのハムを食べると伸びをし、ザップさんに水浴びの許可をもらい川にダッシュする。
『わふわふ!』
バジャンバジャンと川ではしゃぎ、ついでに魚を取る。魚は大好物なんだ。
「まめしば、上がって。冷えるわよ」
『わん!』
川から上がり、身体をブルブルブルブルして振る。
「きゃ!まめしば!冷たい」
『わん!』
「ふふふ、綺麗に拭くわね」
『わん』
丁寧に優しく拭かれるのは気持ち良い。
「さ、行くわよ」
リンさん…話を聞いていた?
俺は、世界一プリチーで凛々しく強い豆柴だが、元オッサンなんだけど?
リンさんシュリさんは、2人仲良く話しながら歩き、俺とザップさんとジップさんは一緒に歩く。
『2人に聞きたいけど、俺は元企業戦士な戦うサラリーマンでオッサンなんだけど、リンさんシュリさんは忘れてるのかな?』
「まめしばは今は可愛らしいだろ?たから、気にしないんじゃないか?」
「そうそう、今は可愛らしい子犬だし、2人からしたら生前がオッサンだけど気にしないんだよ」
そんなもんなのか?何だか違くないか?
俺はジップさんの頭の上で1人納得しないまま、モヤモヤを抱えた。
女心、分かんねー。
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