豆柴、決断する
豆柴の名前に迷っています。
どんな名前が良いですかね?
皆に散歩や鍛錬や川遊びに誘われても、恥ずかしさやらで中に入れずにいる。ご飯やら睡眠もだ。
吐くまで泣いてザップさんの服を汚したり、あの日を夢に見てオネショしたりもした。何も食べれない時もある。
この世界の俺以外の生死は、関係ないと思っていたのかもしれない。
俺以外は、この世界に詳しいし、何が危ないとか分かっているから。
「イヌコロ、少しでも食え…」
「水しか飲まないのは…」
俺は2人に擦り寄る。
「イヌコロが話せたらなぁ」
ビクンと反応してしまった。
「話せる…のか?」
顔すら上げられない。
「イヌ、話せるなら顔を上げてくれ…。話せるからと言って、どうこうしたりしない」
「話せるの?」
「まじかよ…」
「わんちゃん…」
揺らぐ彼らの瞳に、俺はどうしたら良いか分からなくなった。
夜になり、ザップさんが火の番をしていたから、ノソノソと起きて隣に蹲る。
「イヌ、眠れないか?」
『うん』
「そうか、酒は好きか?」
『前の世界では飲んでいたよ。ビール、日本酒、ウイスキーにワイン』
「ニホンシュとウイスキー、聞いたことがないな」
『ウイスキーかブランデーなら、ブランデーが好き』
「飲んでみたいものだ」
『ザップさんなら、ウイスキーが合うかも』
「そうかそうか(笑)」
ザップさんを見上げれば、白い歯を見せニカリと笑顔をみせてくれて、俺は嬉しくてつい涙を流してしまった。
「泣くなイヌ」
『わぅ…わぅ…』
「カワイイのが台無しだ(笑)」
むにーとホッペタを引っ張られ、涙は引っ込んでしまった。
『俺は、俺は皆と…皆といたい。話す犬なんて不気味だけど、皆と……いたい…』
「やったー!」
「わんちゃんよろしくね!」
「イヌコロ〜〜!」
背後から皆が現れ、俺を高い高いする。
「イヌコロ、名前は?」
『まめしば』
「「「「は?」」」」
『まめしば』
「まめしば、が名前か?」
『うん』
高い高いされたまま、皆はフリーズした。
翌朝、名前を何回も聞かれ、まめしばと言えば、またあやふやなビミョーな顔をされた。
どうやら、まめしばと言う名前が気にいらないらしい。失礼だな。まめしば、カワイイだろ!
「さて、と。先ずは紹介からしようか。
俺はリーダーのザップと言う。剣士だ。よろしくな」
「俺は、ザップの双子の弟で武道家のジップ!シクヨロ!」
「私は魔法使いのリンよ。よろしく」
「私は槍術士のシュリ!」
ほー、剣士、武道家、魔法使い、槍術士。近中遠距離とバランスが良いし、俺も含めるとバランスがまとまるな。
『まめしばです、よろしく』
「なぁ、名前変えないか?」
『どうして?』
「もう少しピッタリな名前があるぜ」
『どんな名前?』
「皆で考えるから楽しみにしとけよ!!!!」
ジップの言葉は不安しかない。
読んでいただきありがとうございます。
感想、誤字脱字等よろしくお願いします。