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豆柴海内無双  作者: 福本真理
12/14

豆柴、立ち直るのが早すぎる

昨夜は2話投稿出来ず申し訳ございませんでした。

俺が食べるのを止めたとき、シチューにパタパタと水滴が落ちてきた。


『ジップさん、雨漏りみたいだよ!』


ほら、俺のキュートな顔が濡れてる。


「ノワール、大丈夫だ。俺達はノワールの仲間で家族だ」

「そうだ。大丈夫だ。安心しろ」

「どうしたの?シチューが熱かったかしら…」

「えー!どれどれ…そんな熱くないよ!」


俺を心配している?どうして?犬だぞ?


「なぁ、まめしば。風呂でチンケで情け無い人生だったよ、なんて言うなよ。精一杯生きて来たんだろ?」

「何があったとか聞かないけどよ、精一杯生きて来たならチンケで情け無い人生だったよなんて言うな。それは、口にしたら駄目だぜ」

「例えそうだとしても、自分の生きて来た人生を否定するな。それは、人生を貶めてる」

「だから…止めろ」


どれだけ浅ましく、どれだけ卑怯で弱い人間だったかを知らないからだ。

いや知らなくて当たり前だ。話してないし話したくもない。話せば嫌われてしまうから話せない。


せっかく転生しても、性根は変わらない。


情け無い。


「私もチンケで情け無い人生だなんて思いたくないな。

ノワールの転生前の人生は知らないし、分からないけど、今のノワールは前があるから今があるわけでしょ?

ならこれから沢山新たに思い出を作れば良いんだよ!新たな歴史だよ!ノワール又はまめしば歴史後半!」

「他人事…いや犬事だと思って!」


やんややんやと騒ぐイーグルの仲間を見ていると、もう少し他人と関われば良かったと感じて仕方ない。


「後悔するより、今を大事に楽しく過ごしましょう」

『俺のいた世界は、親切にすれば当たり前だと勘違いしたり、そんなんばかりで、俺はいつしかそれに疲れて…会社でも孤立していった。

こんなプリチーでキャワイイ豆柴だけど、前世ではバリバリ働き、契約もドシドシやり、信頼も多分あった。

だけど…常に1人。楽だから。サンドイッチ片手にランチタイムも仕事し、電車内でもノーパソで仕事、帰宅してこんな温かい料理なんて無いし、テイクアウトで食べながら仕事。

趣味なんかなかった。友人も家族も孤児だからいない。

だから…何だか嬉しいんだ。こんな俺なのに、賑やかな食卓、優しい仲間がいて…』


ガシガシと頭を撫でられた瞬間、抱き上げられたり、頬をムニムニされたり。


「難しいんだよ!ノワール!今があれば全て良し!」

「孤児?俺達双子もだぜ!」

「私は母親しか親はいないわ」

「私は両親いるけど、仲はメチャクチャ悪いよ〜。売られそうになるし(笑)」

「だからさ、」

「ようこそ、」

「私達の、」

「「「「イーグルへ!」」」」




ここに居ても良いよ、と言われた俺は嬉しくてたまらなくて、また泣いた。


転生しても、1人で良いやと考えていたのに、俺からイーグルにいたいと思うようになったしな。


ジップさんとザップさん、リンさんにシュリさん、だから一緒にいたいと感じたんだ。


ならば、今の俺と昔の俺を比べて悲観しても構わない。話せる仲間がいるから。


『ありがとう』

「気にすんな、ほれ、食え」


真っ白い歯を見せながら笑いながら言うジップさんに、俺は笑顔で返した。

読んでいただきありがとうございます。


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