豆柴、センチメンタルになる
読んでいただきありがとうございます。
豆柴の呼び方は、イーグルの仲間は、まめしば・ノワールを好きなように使う感じです。
お風呂から上がり、食卓は温かい料理で埋め尽くされ、俺のリクエストも並んでいた。
「ノワールはテーブルの上で食べる?」
「まめしば、ホレ、膝に来るか?」
「ならなら、私の膝〜」
俺はどこでも構わないけど、テーブルに用意された、俺の食べるスペースを見て悩む。
テーブルに乗り食べるのは行儀が悪いのでは?なら、膝に座るべき?はたまたソファー?
屋台では犬らしく食べたが、微妙に食べにくいし、砂埃が気になったのも事実。人間としての名残と言うか恥ずかしさもあったし。
「気にするな、俺達しかいないんだ」
「そうだそうだー」
「まめしば、大丈夫よ」
「ノワール来て?」
ザップさん、ジップさん、リンさんにシュリさん、俺が元人間だから誘ってくれてる。それが嬉しくてたまらない。
『お言葉に甘えて…』
俺はジップさんの太腿に後足を置き、前足はテーブルの縁に置き準備万端にする。
女子2人にしたいけど、セクハラみたいでイヤ。恥ずかしいもあるけど。
「「「「『いただきまーーーーす!!』」」」」
シチューは熱いといけないからと、あらかじめ冷ましてくれていたから食べやすい。
サラダもシャキシャキで、レモン風味のドレッシングはサッパリ爽やかで俺好み。
『ドレッシング美味しい!』
「フッフッフッ。そのドレッシングは、私のお母さんオリジナルドレッシングなのだー!」
鼻高々に宣言するシュリさん。
「トマトに合うな!」
「いくらでも食べれちゃう」
斯くいう俺も、凄まじい勢いでサラダを食べお代わりしてしまう。
『シチューもコクがあるし!ホテルで出しても通用する!』
美味い。美味すぎる。そして、こんな美味いとお代わりをして、太ることは確実だ!
「酒は、俺等のか?」
「ノワールがくれたのよ」
「いくらなんでも、ここの酒は呑みたくないからな…」
「タダより怪しいものはないわよ」
さすが冒険者、疑うべき時は疑うべきだし、優先すべきは仲間の無事と、ジップさんが言った。
でも、確かに細工してあるかもしれないモノを、口にすべきではない。俺なら口にしていた。平和ボケした日本人、それは俺だ。
「あら、もうシチュー無いの?お代わりする?」
『わん!』
熊肉ステーキにかぶりつきながら返事をする。
この熊肉は、少し硬い。だが、玉葱ソースに合うし、噛めば噛む程肉の旨味がジュワジュワ来る!
「犬に玉葱は良いわけ?」
「あ…」
「ほら、ノワールは何でも食べるから…」
「大丈夫か?」
『うん。転生するとき、そう言うスキルにしてもらった』
「そっか!なら良かった!」
ガシガシ噛みながら肉に悪戦苦闘する。
「調理器具が少なくて…」
「無理に食べなくて良いからね、しばいぬ」
噛めば噛む程、肉の旨味がクセになるぜ!
「酒には熊肉だな!」
「あぁ!」
「噛む程旨味がでるよね!」
そう言えば、転生前は1人でご飯を食べていた。
ランチタイムも仕事をしていたから、片手で食べられるサンドイッチを食べていたし、キッチンに立たないからテイクアウトしていた。
今思えば、賑やかな食事なんてナイに等しい。
『……』
ただただ、迷惑をかけないようにひたすら生きてきた。
生命保険も貯蓄も、迷惑をかけないようにしてきたつもりだ。
誰かを心配したりもしない。
自分を心配したりもしない。
息を殺し自我を殺してきた。
我慢をしてれば良いだけだ。
毎日を繰り返したら終わる。
それが今はどうだ?
1日を楽しみ、会話をし、寝食をともにしている。
良いのかな。
孤児の俺がこんな幸せで。
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