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豆柴海内無双  作者: 福本真理
11/14

豆柴、センチメンタルになる

読んでいただきありがとうございます。


豆柴の呼び方は、イーグルの仲間は、まめしば・ノワールを好きなように使う感じです。

お風呂から上がり、食卓は温かい料理で埋め尽くされ、俺のリクエストも並んでいた。


「ノワールはテーブルの上で食べる?」

「まめしば、ホレ、膝に来るか?」

「ならなら、私の膝〜」


俺はどこでも構わないけど、テーブルに用意された、俺の食べるスペースを見て悩む。

テーブルに乗り食べるのは行儀が悪いのでは?なら、膝に座るべき?はたまたソファー?


屋台では犬らしく食べたが、微妙に食べにくいし、砂埃が気になったのも事実。人間としての名残と言うか恥ずかしさもあったし。


「気にするな、俺達しかいないんだ」

「そうだそうだー」

「まめしば、大丈夫よ」

「ノワール来て?」


ザップさん、ジップさん、リンさんにシュリさん、俺が元人間だから誘ってくれてる。それが嬉しくてたまらない。


『お言葉に甘えて…』


俺はジップさんの太腿に後足を置き、前足はテーブルの縁に置き準備万端にする。

女子2人にしたいけど、セクハラみたいでイヤ。恥ずかしいもあるけど。


「「「「『いただきまーーーーす!!』」」」」


シチューは熱いといけないからと、あらかじめ冷ましてくれていたから食べやすい。

サラダもシャキシャキで、レモン風味のドレッシングはサッパリ爽やかで俺好み。


『ドレッシング美味しい!』

「フッフッフッ。そのドレッシングは、私のお母さんオリジナルドレッシングなのだー!」


鼻高々に宣言するシュリさん。


「トマトに合うな!」

「いくらでも食べれちゃう」


斯くいう俺も、凄まじい勢いでサラダを食べお代わりしてしまう。


『シチューもコクがあるし!ホテルで出しても通用する!』


美味い。美味すぎる。そして、こんな美味いとお代わりをして、太ることは確実だ!


「酒は、俺等のか?」

「ノワールがくれたのよ」

「いくらなんでも、ここの酒は呑みたくないからな…」

「タダより怪しいものはないわよ」


さすが冒険者、疑うべき時は疑うべきだし、優先すべきは仲間の無事と、ジップさんが言った。

でも、確かに細工してあるかもしれないモノを、口にすべきではない。俺なら口にしていた。平和ボケした日本人、それは俺だ。


「あら、もうシチュー無いの?お代わりする?」

『わん!』


熊肉ステーキにかぶりつきながら返事をする。

この熊肉は、少し硬い。だが、玉葱ソースに合うし、噛めば噛む程肉の旨味がジュワジュワ来る!


「犬に玉葱は良いわけ?」

「あ…」

「ほら、ノワールは何でも食べるから…」

「大丈夫か?」

『うん。転生するとき、そう言うスキルにしてもらった』

「そっか!なら良かった!」


ガシガシ噛みながら肉に悪戦苦闘する。


「調理器具が少なくて…」

「無理に食べなくて良いからね、しばいぬ」


噛めば噛む程、肉の旨味がクセになるぜ!


「酒には熊肉だな!」

「あぁ!」

「噛む程旨味がでるよね!」


そう言えば、転生前は1人でご飯を食べていた。

ランチタイムも仕事をしていたから、片手で食べられるサンドイッチを食べていたし、キッチンに立たないからテイクアウトしていた。

今思えば、賑やかな食事なんてナイに等しい。


『……』


ただただ、迷惑をかけないようにひたすら生きてきた。

生命保険も貯蓄も、迷惑をかけないようにしてきたつもりだ。


誰かを心配したりもしない。

自分を心配したりもしない。

息を殺し自我を殺してきた。

我慢をしてれば良いだけだ。

毎日を繰り返したら終わる。


それが今はどうだ?

1日を楽しみ、会話をし、寝食をともにしている。


良いのかな。

孤児の俺がこんな幸せで。





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