豆柴、熊を倒す
俺は地球の日本のさいたま市に住んでいた、しがないサラリーマンだった。
地球は人口が増えすぎて、生まれ変われないのは可哀想だから、他の世界に転生させよう計画に俺は選ばれた。
他にもそう言う人達はいるけど、1つの世界に1つの魂だけしな転生は出来ないため、この世界には俺しか元地球人は居ない。
そして、何よりどんな姿でどんな能力をも貰えた。
俺はあえて豆柴にした。
この姿を刮目せよ!
艷やかな黒い毛並み!
ピンと伸びた耳!
丸く凛々しい麻呂眉!
美しく丸まったクルリンな尻尾!
小さくも逞しくしなやかな身体!
キュルルルリンなつぶらな瞳!
それらをまとめる髭!
そう、俺はあえて黒の豆柴に転生をした!
豆柴大好きな俺は、犬アレルギーで飼えなくて、写真やらカレンダーや置物などで我慢してきたからだ。
湖に映る、愛らしい姿をかれこれ3時間眺める。
あー…カワイイ。この世界で一番カワイイな俺。
『わふん(ステータス)』
言った通りなスキルにニンマリした。
スキル
言語能力
読書き計算
回復能力MAX
強化能力MAX
スピードMAX
運動能力MAX
空間収納MAX
無限飲食MAX
素晴らしい能力だ。流石俺!
名前は《まめしば》だ。漢字にするか悩んだが、あえて平仮名にした。カワイイから。
因みに、言語能力は話せる能力だから、わふんわふん吠えなくて構わないけど、話せる珍獣だ!なんて知れたら見世物小屋にご案内〜♪だ。気を付けよう…。
テクテク歩くと、冒険者であろうパーティーがデカイ熊3匹に囲まれ怪我までしている。
これは、宇宙一強くて凛々しく気高き豆柴の、豆柴無双を披露しよう!
『ワオ〜〜〜〜〜ン!!』
吠えた瞬間、身体を強化し、タタタタタと走ると、高くジャンプし尻尾アタックする。
《グォォォ……》
唸り声を上げ、熊は巨体をゆらし地面に倒れた。1匹終わり。
『わふん!』
熊の足に噛みつき高く放り投げ、高さ的に丁度良い所で後ろ足で更に顎を蹴り上げた。
ゴギュッ。
何かが折れた音が聞こえた。気にしない気にしない。
残るは、一匹。
後退る熊に俺はタタタタタと走り、鳩尾に頭突きを喰らわす。全身強化され、スピードもある頭突きは、熊を南無南無させた。流石俺。宇宙一強い。
南無南無とアッサリと倒される熊達。熊は強いはずなのにな。
『わふん(見たか!)!』
山積みにされた熊の上に乗り、わんわんわーんと勝利の雄叫びを上げたあと、周りを見回すと、冒険者達が唖然として俺を見つめる。よせやい、カワイイからって。
冒険者達にトテトテと近寄り、右脚太腿が腫れ上がっているため、耳が長い美人なお姉さんは脂汗を流しながら、お礼を述べた。痛々しい姿に、回復能力の舐めて治癒する能力を発動し傷口を舐める。あら不思議、腫れは引いて綺麗に治癒された。
次々ペロペロして傷を治癒すると、知らぬ間に抱っこされナデナデされる。カワイイからな、俺!
「あ…ありがとう、ワンちゃん」
「助かったよ、イヌ」
「艷やかな毛並みだわ!」
「カワイイぞ、兄さん!」
「こんだけ素晴らしい毛並みだから、飼い主はいるはずだ」
「あら迷子?」
「リーダー飼いたい!」
「「「飼いたい(欲しい)」」」
「駄目だ!!!!」
愉快な仲間だな。
立ち去ろうとしたら、リーダーが声をかけてきた。
「チョイ待て。イヌコロ、お前の取り分だ」
リーダーは熊に近付き、素早く解体すると新鮮な生肉を1匹丸々くれた。助かる!
「ほら、毛皮もだが…持てないな…」
『わう(大丈夫だぜ)!わうんわん(空間収納MAX)!』
チャックが現れ器用にチャックを下ろし、獲物を咥えて放り投げ、チャックを再び閉めた。
「く、空間収納!初めて見たわ!」
「スゲー!イヌコロ!」
「無闇矢鱈、空間収納を出すな!目をつけられるぞ!」
「そうよ!気をつけなさい!ワンちゃん!」
そんなヤバいの?空間収納と、首を傾げるプリチーな豆柴に親切な説明をするリーダー。
「空間収納は無限に収納出来るし、人も収納出来る。人なら1か月は生きられるからな。人身売買は勿論、重傷な仲間を空間収納に入れたり、使い方は様々なんだ」
「気をつけろよ…イヌコロ」
「保護は必要かしら…」
「とりあえず、街まで行くか?街まで一緒に行こう?」
「イヌ、とりあえず空間収納について理解をしたか?」
理解をしたと頷けば、またワシワシ頭を撫でられた。
それに街まで一緒なら同行しようか。情報を仕入れたいしな。
『わん!わん!(一緒に行く!頼むな!)』
一声吠え、皆の周りをクルクル回れば、またもやリーダーにに頭をワシワシされた。
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気が向いたら更新する長編小説です。
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