激突1
予定が合わず、遅れまくりの久々更新。
ナディアは突然目の前に現れた少女の言った言葉が理解出来なかった。
いや、分かりたくなかった。
暗い心の奥底からかつての記憶が浮かんでくる。
かつて母と共に死ぬ運命だった自分を救ってくれた、ルシア。
その後、義母として無償の愛情を与えてくれたルシア。
魔法の師として惜しみなく導いてくれたルシア。
時に母として、師として何よりも自分を慈しみ、無償の愛情を与えてくれたルシア。
だが、父と妹を捜し旅をしていたある日、あの方と出会い、エルフ族、イクステリア王国のダークエルフ族への悪行を教えられ、愛情が絶望と嫌悪に変わった日。
深緑の里に火を放ち、エルフ族の秘宝の1つを奪い、魔族の大陸に渡り傭兵として戦いに明け暮れた日々。
「グッ、私は..何を..」
今までの様々な記憶が浮かんでは消え、目眩がして膝をついた。
「ナディア...」
近衛騎士に支えられていたルシアがナディアの異変に気付き、ナディアに近づこうとしたその時
「う、五月蝿い、煩い、五月蝿い!!!!」
ナディアは立ち上がりながら叫び、両手を伸ばし召喚陣を構成展開した。
「邪魔をするなら、お前からだ!小娘!!!」
召喚された魔獣が数体が、響とルシアの前に立ちふさがる。
「こんなバカな...。奴の魔力は限界が無いのか?」
常識ではあり得ない光景に近衛騎士が慄く。
「...ナディアお願い、もうやめて。それ以上は、貴女でも身体がもたないわ」
ルシアがたまらず声をかける。
いくら稀有な天賦の魔法の才能があり、魔力も多いとはいえ異常すぎる事態だった。並の魔法士なら既に魔力切れをおこすどころか、生命力をも使い果たしている程の魔獣召喚である。
しかし、ナディアは響を睨みつけ返事をしない。
それどころか、更に魔獣を召喚した。
「フフフ、死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね!!死んでしまえ!!!!!」
「ナディア、駄目もうやめて!」
両脇を支えていた近衛騎士を振り解き、ナディアの前に行こうとするルシア。
「だめです、ルシアさん。下がってください。彼女は、私が止めます」
響がルシアの手をとり、自分に引き寄せる。
すると、ルシアが響の腕を掴み、悃願する。その姿はエルフ騎士団統括団長でも、イクステリア王国屈指の魔法士でもなく、ただ我が子を救いたいと願う母でしかなかった。
「響様、お願いです。ナディアを助けてください。ナディアは悪くない、悪いのはあの子に何も伝えていなかった私です。王国は、ダークエルフ族を苦しめるようなことは何もしていない。盟約も彼らの望みを叶える為に必要だったのです。きっと、誰かに騙され利用されているだけ...だから...」
ルシアはそこまで話すと体力が尽きたのその場に倒れかかる。
とっさに、響が支えルシアに答えた。
「ルシアさん、大丈夫ですよ。必ず、ルシアさんのもとに帰しますから。信じて待っていてください」
優しく響が答えるとルシアは安心したのか、響の腕を掴む力を緩めた。
「ああ、ひ、ひびきさま、、、ありがとう、、、ございま、、」
響に礼を伝えようとして気を失うルシア。
「ルシア姉様!!」
「姉上!」
そこに、エレナとカイルが駆けつける。
「2人とも、ルシアさんを頼みます。私は彼女を、ナディアさんを止めます」
「響様、危険です!私がナディアを..」
「エレナさん、私が止めます」
エレナが響を下がらせようと声をかけるが、響の魔力、いや剣気に抑えられ最後まで言えない。
(魔力ではなく、剣気のみでこの気迫...。しかも先日私と手合わせをした時以上とは...)
「エレナ、今は響様にお任せしよう。ルシアの治療が優先だ」
苦渋の決断をせざる得ない状況にエレナは唇を噛む。
(守るべき主に頼らざる得ないとは....)
「わかりました。響様、くれぐれも御身大切に。もしもの時はナディアを....」
「しませんよ。彼女はルシアさんのもとに帰ってくるのですから」
エレナが最後の言葉を紡ぐ前に、響は微笑みながらそれを否定する。
「まったく、貴女という方は、、、。ご武運を」
エレナは苦笑しつつも、響なら必ずルシアの願いを叶えてくれると確信していた。
「はい。将と茜を頼みます」
「はっ。お任せを」
ルシアを背負ってカイルが答え、一旦エレナと共に里に戻る。
「皆は、響様と近衛騎士団の援護を」
エレナが戻る間際エルフ騎士団に指示を出し、里の防衛と近衛騎士団の援護する為に戦闘に向かう。
一部響の傍に残ろうとしたが響に近衛騎士の援護に向かうように言われ響の近くにて魔獣討伐を開始する。
「最後のオハナシは終わったか?小娘」
「そう言えば、名乗っていませんでしたね。私の名は、西蓮寺 響。ルシアさんの願いを叶える為、貴女を止めます。ご覚悟を」
「ハッ、フザけた事を良くもまぁ、、、。わが名はナディア ナスカ。私の邪魔をした事を死んで後悔するがいいわ!!!」
ナディアの叫びに召喚された魔獣達も雄叫びを上げる。
遂に、両者が激突。




