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第0話:眠らせてくれ

初投稿です。よろしくお願いします。


突然だが俺は今、死を迎えようとしている。


というのも、高層マンションの屋上から飛び降りたという至極単純な理由だ。


そもそもなぜ飛び降りたか。理由は多くあるが、まあ「人間関係に疲れたから。」だろうか。


生きている限り様々な人と関わり合うことは必然だ。


世界には人間が溢れかえっている。


その一人ひとりに個性というものがあり、その幾つもの個性と関わり合いながら生きていかなければならない。


だが自分の個性はどうも他人と相性が悪いらしい。


「法律は守るべきだ。」

「信号無視はいけない。」

「命は尊いものだ。」


そういう事を言うと、綺麗事だと片付けられすぐに破られた。


万引きがバレた友人は逮捕され、信号無視をした中年は目の前で轢かれ、「お前に何がわかるんだ」と言って走って行った親友は翌日、入水自殺しているのが発見された。


俺は不幸を呼ぶ死神なのだろうか。


俺がいなければ友人は道を踏み外すことがなかった...いや、いなくても変わらなかったか。


俺がいなければ中年は轢かれることがなかった...いや、いなくても変わらなかったか。


俺がいなければ親友は自殺なんてしなかった...いや、いなくても変わらなかったか。



いや、俺が嫌われてでもあいつの腕を掴んでいれば。



いや、そもそも俺がいたからこそあいつは自殺なんかを。



いや、あいつが。いや、俺が。


いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや。



否定を否定し始めたあたりで俺はもう戻れなくなっていて、気付いたら体を投げ出していた。


--------------------


ああ、あと3秒ほどだろうか。


死ぬ前には走馬灯が駆け巡ると言われているが、覚えておく価値のある思い出なんて持っていない。


俺は、無の時間の中を彷徨っていた。


ただ、死ぬ前に時間が長くなるのは確からしい。


そして、今更ながら死が怖い事を知った。


数倍にも増幅した3秒を味わって死ぬことになるとは。


我に帰るのが遅すぎた。



後か



鈍い音がした。


アスファルトに今日は眠る。



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