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最高魔導士。
国の王様が認めた魔法使いに与えられる称号で、“各属性の魔法のプロフェッショナル”という立場から国のために尽力する人たち。
この世界の魔法は“火”、“水”、“風”、“土”――そして“聖”の5つの属性があって、みんなどれかの属性の魔法が使える(私はどれも使えないけど)。最高魔導士はそんな各属性の魔法を使う人たちから一人ずつ、合計5人で構成されている。
もちろん、最高魔導士に選ばれるには持っている魔力の多さや使う魔法の威力の強さとか生まれ持った才能によるところが重要視されるけど、
それだけじゃなくて自分の使う属性の魔法の“知識”がないととてもじゃないけどこの大役は務まらない。
たとえば、“水”の魔法を扱う最高魔導士は国のどこかで水不足が起こった場合はそこに赴いて魔法で新しい水源を提供すれば良い――わけじゃなくて、なんでそんなことになったのか“水”に関する知識を使って原因を突きとめて、魔法を使わなくても解決できる場合はそうしないといけない。
“正しい時に、正しい魔法を使う”。
それが、この国の最高魔導士たちの決まりごと。
そんなだから時には一筋縄じゃいかないこともあるらしいけど、最高魔導士になればその辺の貴族がひっくり返っちゃうくらいのお給金がもらえて、専用の屋敷なんかも支給されるから生活に困ることなんてまずありえない。
階級にするとどの貴族よりも上にあたって、場合によっては国王に意見を言って法律を変えることだってある。
――そんな、国にたった5人しかいない“最高魔導士”様たちのうちの一人が、今私の目の前にいて、しかもケガの治療をしていると言っている。
とても信じられる話じゃないけど、最高魔導士の証である紋章の入ったローブは本物みたいだし、この人自身は嘘を言ってるように見えない。
なので私は、これまで寝かされていたベッドに正座をして――
「しっ、失礼致しまし――痛いっ!!!」
深く頭を下げようとしたけどお腹の傷が痛んで、またベッド上に倒れこんでしまった。