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目を覚ましたら、見慣れない天井が上に見えた。


――……あれ…………?


ここはどこだろう。


私は町を襲いに来た魔物から女の子を庇って――そのまま相討ちになって死んだんじゃなかったけ。それならここは天国?でも腹部が少し痛むし、なんだか薬みたいな苦くて独特な臭いが鼻を突いてくらくらする。


――私、助かったんだ


でもあの時、確かに魔物の爪で腹を貫かれた。あんな致命傷でどうやって助かって、楽に呼吸ができるくらいに回復したんだろう。あれから時間もそんなに経っていないみたいだし。

そう思いながらとりあえず寝かされていたベッドから起き上がってみようとすると、身体自体は動かせるみたいだけどビンっていう音といっしょに腕が引っ張られてベッドから降りれない。


「!?」


――縛られてる!?


私の両腕の手首は、赤いロープみたいなものでベッドの脇の柵に縛り付けられていた。

私は両腕に力を入れてそれをブチっと引きちぎるとベッドから身体を起こして――「ちょっと待って!」「きゃあっ!!」


突然、誰かの声がして思わず私は叫んでしまった。びっくりして中途半端に起き上がった身体がベッドから落ちそうになると、その誰かが私を抱きとめてくれる。――人がいるの気づかなかった!


「おっと……驚かせてごめんね」


抱きとめながらそう謝ったのは、穏やかそうな男の人だった。

ぱっと見はお年寄りみたいな白い髪の毛だけど若い人で、髪も近くで見ると銀色にきらきら煌めいていて、あと目立つのは大きな丸眼鏡の奥にある宝石みたいな赤い瞳。


――あれ、私が気を失う前に見たのと同じだ。

――ずっと見ていたくなるような、すごく、


「きれいな……って、すみません!!」


思ったことがうっかり口に出てしまっていた。

私ってば初対面の男性になんてことを……!事故とはいえ抱き着いたままだし!!


慌てて、勢いをつけて離れればその男の人は「急に動くと危ないよ」と苦笑いした。


「あの、私どうして縛られてたんですか……?」


聞きたいことはたくさんあるけど、とりあえず気になるのはそれ。……悪い人には見えないけど、答えによってはこの人をぶちのめしてここから逃げ出さないと。


「それはね、」


私の高まる緊張感とは裏腹に男の人はへら、と笑って


「君の治療に特殊な魔法を使ってて、たまに副作用で幻覚症状が出る人もいるから、起きた時に危ないことをしないように縛ってたんだよ。……まさか僕が目を離した隙に、強化魔法のかかった(それ)を自力で引きちぎるとは思わなかったけど」


と説明して、君は幻覚とか大丈夫そうだね、と私の両腕に残った縄の破片を外してくれた。


「治療?」

「うん。あ、自己紹介しないとだね」


男の人は背を向けて、着ていた黒いローブの背中に大きく書かれた紋章を私に見せた。


「!!その紋章は――――」


それは、この国の住人なら誰だって知っている紋章。……王様に近い身分にある魔法使いに贈られる証。



「僕の名前は“シキ”。君を治療した――“聖”の魔法を使う最高魔導士だよ」








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