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惹かれあう心・1

シキ視点。


僕が生まれた時から持っていたという白い髪と赤い瞳は、これまで他人に良い印象を与えたことはなかった。


まず実年齢より幼いくらいの顔立ちに乗っていてる老人のような白髪(はくはつ)が相手の目を引いて、そして大きめの丸眼鏡の奥にある、血をこぼしたような赤い瞳に気づく。


――気味が悪い。

――あいつは呪われている。


実の両親を含めた周りの人々にそう言われ続けて、この容姿は人を不快にさせてしまうんだと学んだ。


見た目に加え、この目は普通の人ではまず分からない“魔力の流れ”を視る(みる)ことも出来た。町に隠してある結界道具の場所や、誰が何に魔法を使ったとか特に大人たちが知られたくないことまで僕には見えてしまっていたから、余計に気味が悪かっただろう。


『だけどあいつは、“聖”の魔法が使えるしなあ』


そんな僕を横目に父親がたびたび、諦めたようにつぶやいていたのを覚えている。

治療や防御に特化した“聖”属性の魔法は、重宝されるけれど生まれつきその属性を持っている人は少ないのだ。


だけどとうとう、母親が『もうこの子を育てられない』と泣きながら訴えたことで、僕の8歳の誕生日に、父方の祖母に預けられた。


おばあちゃんはそれまで関わってきた誰よりも優しかった。

前向きな考え方をたくさん教えてもらったおかげで友達も作ることができたし、持って生まれた魔力を人の為に使いたいと心から思えて――国の“最高魔導士”に任命されるほどの知識と技術を身に付けることもできた。


そんなおばあちゃんも三年前に亡くなって、いよいよ僕を好意的に見てくれる人はいなくなった。……と思ったけど。


『不思議なくらい綺麗な目です』


そう言って僕のこの目をじっと見つめ続けたのは、まだ若い女の子。


これが他の人だったらまず白髪を見て眉を寄せて……赤い瞳に気づけばすぐに気味悪がるか哀れなものを見るような表情になる。

だけどあの子……ユウちゃんはそんな素振りは一切見せないで、僕の呪われた瞳を綺麗だと言った。


『しいちゃん、』

『あなたのその髪と目は、呪いなんかじゃないの』

『あなたのそれはね――』


突然、おばあちゃんが内緒話をするみたいに教えてくれた“あれ”を思い出す。


――どうして、

――どうして僕は“今”、そんなことを思い出したんだろう。


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