その7 選択と質問とルリデレラと
感想、意見などなどよろしくお願いします
俺から見て左上のあれはプロフィール?だった。葉山の家族構成や誕生日、好きな食べ物が書かれている。・・・・個人情報の保護は大丈夫なんだろうか?
「村上くん、それで話は?」彼女にそう言われて俺は思い出す。
う、そうだった。俺は3つの中から一つの選択肢を選ばないといけないんだった。
(ハーリーアップ!ハーリーアップ!)
(いやなびなぜ英語なんだ?)
(おまえが無言を貫くからじゃろ!はよせんか!制限時間も0に近づいているぞ。)
(は?制限時間?)
そう言われて俺は気づいた。左上にもう一つのゲージがあることに。そこにはこう書いてある。残り5秒と。
・・・・・・やばくね?
ええええええっと、Aがあれで BがそれでCが何かでーーーーーー!
(決めた番号を心で叫べーーー!)
なびが頭の中で叫ぶ。うるせー!
(ええええーとCーーーーーー!)
・・・・・やっちまった。
ABCの中で正しい選択肢は一つ。1/3の確率。そのなかで確か変な選択肢もあったような気がする。やべーーーっーー!
そう思っていると何故か口が俺の意思とは無関係に動き出す。ええ?!?なにこれーーっ?
「図書室について質問が」
「え?質問?」
図書室について質問が。これがCの選択肢だった。これは正解の選択肢だったのか?それはきっと彼女だけが知るのだろう。
「質問ってなにかな?」
そう葉山に問われた。そして気付く。好感度が5%になっていると。
・・・・・あぶねーーーーーーー。好感度下がってないーーーーーーー!
(・・・おいはじめ!はやく何か言わぬか!)
(ああ、そうだ!えええええと)
「探してる本があるんだけど図書室に置いてなくてどこにあるか知ってるか?」
「ああ、そういうことね。ついてきて。一緒に探してあげる」
そういうと彼女はスタスタと図書室に歩いて行った。
・・再びあぶねーーーーー!
(ギリギリセーフじゃったな。しかしよく質問を瞬時に作れたものじゃ)
(ああ、本気でやばかったよ)
少しホッとした気分になる。しかしまだ終わらない。本どうしようーーーーーー!
彼女を追いかけて図書室に着く。
中に入るとたくさんの本が本棚にずらーーーと並んでいた。
文庫本。新書。資料集。ラノベなどなど。うん、テンション上がるなー。どれも面白そうだし、図書室のこの香り。良いね!
「それで探してる本ってなにかな?」
「ああ、ええーと<ルリデレラ>っていう本なんだが
」
ルリデレラ。俺が知っている本の中でもっともマイナーな本。この図書室で探すのは至難の業であろう!
これなら、葉山に質問した意味もあるだろう。
「ルリデレラ?知らないなー」
葉山は右手を顔に当てて考えている。かわいい。
「ちょっと調べてみる」
そういうと葉山は図書室の奥に入っていった。奥には図書室にある全ての本のリストがあるという。
しばらくすると葉山はしょんぼりと戻ってきた。かわいい。
「ごめんね。図書室にはないみたい」
「そうか」
ないのか。確かにマイナーな本だがないと悲しいのは何故だろう。急に読みたくなってくる。
「大丈夫だ、葉山。こうなったら本屋で買うよ」
「うん、力になれなくてごめんね」
「いや良いよ。」
「・・・・そういえば村上くん。ルリデレラってなにかな?」
「え?ああ、ルリデレラか」
葉山がルリデレラに興味を示したので俺はストーリーを大雑把に説明した。
ルリデレラかは俺が生まれるより前に発売された本でそれほど話題にはならなったマイナーな本である。
ストーリーは姉妹であるルナそしてデレラの友情の話だ。
そんなルリデレラのストーリーを大雑把に説明すると
「すーごく面白そう!」
葉山はものすごくルリデレラが気になったようだ。俺に顔を近づけて満面の笑みを浮かべ目はキラキラしている。
「ねえ、村上君さえ良ければ私も一緒に本屋に行っていいかな?」
「え、別にいいけど」
「やった!じゃあ今度の日曜日は?」
「いいけど」
「それじゃあ詳しい予定は後で決めるとして、今度の日曜はよろしくね」
「ああこちらこそ」
そういうと葉山は友達を待たせているからと教室に戻っていく。
それと同時にピロンと音がした。
・・・・・この学校のチャイム壊れてないか?
そう思っていると(やったなはじめ!)
となびが機嫌良く喋り始めた。
(・・・やったってなにをだ?)
(デートの約束じゃよ!)
・・・・あ。
そして俺は気づいた。これってデートじゃん!と。
ルリデレラはフィクションです。本当にはありません。