表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
明日への片道切符  作者: ぼぎぃ
2/9

序章 第二話

三日間の気晴らしに、ドライブに行く事にした。研究所が車を貸してくれた。

今年発売されたばかりの黒のスポーツカーである。八百馬力、最高速度三百五十㎞。

研究所員は滑走路でこの車を使って訓練をしたらしい。もちろんタイムマシンの訓練である。


そこへ昨日の美人が現れた。こちらの了解も得ずに勝手に助手席に乗り込んで来る。

「ドライブにお付き合いします」昨日と違って今日は私服である。

「名前も聞いてないけど」「中野今日子。ニックネーム。トゥディ。二十三歳の研究員よ」

ピンクのシャツの胸のふくらみが気になる。

そして連れて行かないと許さないわよというような顔だ。

美人とドライブなんて、そう有るものじゃないが、嬉しい気持ちよりも妙な親切が鼻についた。


「どこにお連れしましょうか」「ホテル以外ならどこでも」

くそぅ、男扱いも手慣れたものである。

要は、「この世に未練を残さない為に、私が手助けしますわ」とか言いながら、実は私の監視役じゃないだろうか。

それならそれでいい。一緒にドライブなんか、もう嫌という気持ちにさせてやる。


峠を目指した。確かスカイラインが近くに有ったはずだ。

「結構飛ばすほうだけど、大丈夫かな」「どうぞ、お好きに」

いよいよ小生意気な女である。レーサーを夢見た事も有る私としては、プライドを傷つけ付けられた気がした。

(最初のコーナーで泣いたり、小便ちびったりしないでね)

料金所を通過。ハーフスロットルからエンジン全開。あっという間に百二十㎞。

ブレーキングからクィックステア。ケツを流しっぱなしでコーナーを駆け抜けた。ギュギュギュギューン。

「上手いじゃない。もう少しアウトから攻めたら百点だけど」

なんてこったい。俺様にアドバイスかよ。

次の左コーナー。今度はスローイン・ファーストアウト。タイヤが軋む。悲鳴を挙げる。キキキキキィィ。

「下手なドリフトより、この走りが正解」 頭に来た。

「良かったら、手本を見せてくれないか」「少しだけね」で、驚いた。

今日子は四輪共滑らせながら走り続けた。変化するコーナーに的確に対処した。スキール音は一瞬たりとも途切れる事が無かった。完敗である。筑波なら五秒は負ける。

「まいったなぁ。フーユー(あんた誰?)」「マイネーム・イズ・トゥディ」これが今日子と私の初まりだった。

女の子に負けて落ち込んでると、下手な慰めをかけてきた。

「私はここで二年間走ってますから。次に走る時は貴男の方が早いと思うわ」

冗談じゃない。ここの峠では、ハミルトンだって勝てないだろう。

それも二十三歳のかわい子ちゃんだぜ。なんとかへこませないと、男としてメンツが立たない。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ