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歴史の陰で生きる異種族  作者: 青枝沙苗
4章 歴史の真実

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3話 帰省①~再会~

 マナの里帰りを兼ねてレイトーマに行ったのは、カトレアとの会合の知らせをする為である。レイトーマに着いて人間の姿となった緋媛は、フォルトア経由で貰った薬華の薬の効果を実感していた。マナから甘い香りがせず、苛立ちも怒らない。これならレイトーマ城にいても普通にしていられるだろう。


「マナ姫様!」


「緋媛隊長もいるうう!」


 城の門に近づくと、姿を確認した門番がマナを見て泣き出した。この様子に平和ボケしてしまったのかと、緋媛は心配になる。


「泣く事ねえだろ」


「だって、城の中の女はメイド数名とカレン隊長で見飽きたんです。丁度姫様が帰省されるって報を聞いたばかりで……」


「はいはい。分かってんならさっさとツヅガのおっさんと国王陛下に取り次いでくんねえか?」


「はっ!」


 門番の一人が張り切ってツヅガの元へ走って行った。


「いつの間に報を?」


「緋刃がやってくれてたみてえなんだ」


 緋刃は鷹を江月に飛ばすと共に、マトにも鷹を飛ばしていたのだ。イゼルならばどうせマナも行くように言うだろうと察して。行くと言って行かなかったらどうするつもりだったのだろう。


 程なくして門番がやってきて、国王の私室に直接来るよう伝えられる。マナにとって、レイトーマ城が懐かしい。見張りや巡回の兵士は変わってないが、江月の居心地のいい空気に慣れてしまい、堅苦しさを肌に感じる。


「姫様、緋媛」


 後ろから聞こえて来る声の主はツヅガ。彼も国王の私室に向かう所だったのだ。


「お懐かしゅうございます。マナ姫様」


 ツヅガは深々と頭を下げ、久しぶりのマナに感激する。


「頭を上げて下さい、ツヅガ。お身体の調子はいかがですか?」


「勿体なきお言葉、ありがとうございます。体は何の問題もございません」


(嘘つけ)


 湿布の匂いがプンプンとしているので、腰痛で調子が悪いのだろう。緋媛を誤魔化すことは出来ないが、マナは騙されていた。


 国王の私室に着くまでの間、そんなツヅガと楽しくレイトーマ師団の話をしている。緋媛の後任はツヅガの息子が、シドロの後任は彼の副師団長が就いたという。四苦八苦しながら何とか師団を纏めつつ、癖のあるアックス、カレン、ユウを相手にようやく慣れてきたそうだ。


「陛下、失礼致しますぞ」


「おー」


 私室に入ると、すっかり国王らしい顔つきになっているマトがいた。


「お久しぶりです。姉上」


「マト、お元気そうで何よりです」


 既に紅茶や菓子が用意されており、マナ達が来るのを心待ちにしていたらしい。椅子に座り、紅茶を一口飲んで一息つくとすぐ本題に入った。


「姉上達がお見えになったのは、この手紙の事ですね?」


 それは緋刃から届いた物であるが、内容は友達にあてたような文面である。


『新国王マトへ

 久しぶりー! 近々、姫様と媛兄がそっち行くからよろしく!

 話があるから、詳しい事は媛兄達から聞いて♪

 緋刃より』


 この手紙を読んだマナと緋媛の目が点になった。緋媛は頭を抱える。この弟は何故こんな面倒臭がりなのだろう。会合の事ぐらい手紙に書いてくれてもいいのではないか。


「それで緋媛、話とは何じゃ?」


 出立前、イゼルからマトの他にツヅガに話していいと聞いている。会合の時、国王一人で来ることはないからだ。しかしマトは来るだろうか。


「レイトーマとカトレアの国王が変わった。国王にのみ知る権利のある事を教える会合をカトレアで開く。……マトの場合は、もう知ってる事だがな」


「緋媛、陛下の名を呼び捨てにするとは……!」


「いいんだ、ツヅガ。昔からの事だ、気にするな」


 怒らず落ち着いているマトがいいと言うならばと、口を引っ込めるツヅガ。レイトーマ師団を離れているとはいえ、マトを呼び捨てにする事を良しとは思えない。何とも複雑である。


「……なるほど、俺の知ってる事だと会合は歴史の真実の事か。それをカトレアの新国王、ネツキといったか、そいつに教えるための会合を開くと? なら知ってる俺が行く意味ないだろ」


「国王同士、顔を見せ合ったらどうだ」


 緋媛とマトの関係、歴史の真実、通じ合っている彼らにツヅガは置いていかれてしまう。テーブルに置かれたクッキーをマトが手に取って食べ始める。話に付いていけないツヅガの様子を見たマナは、思い切って口を開く。


「待って下さい! その前にお二人の関係性を教えてください。私もツヅガも、何故お二人がそんなに親しいのかも知りませんし、イゼル様もご存じのようでした。まず、その事を教えてください」


「姫様……!」


 何と心優しいのか。例えマナの興味だけだとしても、自分の事まで考えてくれたのだとツヅガは嬉しさで涙目になる。歳をとると涙腺が弱くなるらしい。


「何だ、緋媛。姉上に言ってなかったのか」


「俺から言う事じゃねえだろ」


「まあいい。……実は十一年前から暫くの間、江月にいたのです。そうですね、せっかくですから十一年前のあの日の事から話しましょうか」


 マトの口から語られる事は、十一年前に当時の国王であった父が殺された日の事である。マナの知らぬ真実、そしてその後の話はツヅガすら知らない。ようやく彼の口から全てが語られる。





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