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ステータスチートはロクでもない  作者: 西洋躑躅
第一章:"  "の勇者
26/27

”  ”の独白

時期は晩秋、秋風が吹き荒ぶ神社の境内に一人の少年の姿があった。


「今思い返してみると自分がどれだけ異常だったのか嫌という程理解出来たよ」


賽銭箱に背を預け寒さに耐えるように身を丸めていた。


「あの時の俺は秘密が広まった時のリスクとあの場で七人を殺した時のリスク、どちらの方が大きいのかを考えてた」


少年は自分以外誰も居ない境内で独り言を呟く。


「あの人達を殺せるか殺せないか、そんな事は頭の中に端から無かった。ただどちらの方がリスクが大きいのか、どっちがマシなのか…それしか俺の頭の中には無くて、それでしか判断していなかった」


まるで誰かに語り聞かせるように、自身の感情を交えながら過去の話を呟き続ける。


「正常な人間の思考じゃない、はっきり言って異常としか言えない」


少年は背を預けていた賽銭箱の方を振り向きながら言う。


「お前はそんな俺の異常さに気が付いていたんだろう?だからお前は俺の名前を呼んだんだろう?」


少年のその問いに答える者は居らず、賽銭箱の上には白い正方形の箱が置かれていた。


「いや、異常に気が付いたと言うのなら俺が初めて生き物を殺した時からお前は気付いてたんだろうな」


少年は自嘲気味に笑いながら言う。


「”可笑しな奴”あの時俺はお前にそう言った。本当に可笑しいのは自分自身だっていうのに…お笑いだよな」


東から登ってくる太陽が雲の切れ目から姿を現し境内を照らし出す。


「あの時の俺には何も無かった。自分の物と言えるものは何一つ、怒りですら俺の物じゃ無かった」


太陽の陽射しを遮るように少年が太陽に手を伸ばしながら言う。


「”  (からっぽ)”の勇者、それが俺だ」


少年は――明継は再び語りだす。

もうやり直す事は出来ないお話を、既に終わってしまったお話を、自分に語り聞かせるように、あるいは何処かに居る誰かに語り聞かせるように。


「続きを話そうか、ロクでもない勇者のお話を」


何者でも無かった自分を自分にしてくれた者達とのお話を――。

ここまで読んでいただきありがとうございました!。

今回の作品は如何でしょうか?。

過去に自分が書き途中で予約投稿状態だった物を現在の連載の息抜きに一章完結まで一気に書き上げました。

実は第7部分の途中までしか執筆していなかったので10月投稿に間に合わせる為に息が抜けない状況が続き、息抜きなのに息が抜けませんでした(憤怒)


基本的に自分の作品は終わりを決めてから執筆を始めるのでこの作品も終わり方は既に決まっています。

なのでこのまま最後まで執筆し続ける事も出来るのですが、現在連載している作品の息抜きに書いた物であるため、今回は一章だけ投稿して一旦更新は終わりです。

そちらの連載が終わったら、もしくはその息抜きにでもまた更新したいと思います。(こっちの方が需要があるならこっちを連載にするかもしれませんが)


明継達のお話は既に終わっており、そして明継の語りは始まったばかりです。

明継がこのお話を語り終えるのが一体何時になるのかは分かりませんが、何時かは語り終える時が来るでしょう。

それまでどうかお付き合い下さい。


次は人物紹介ですが、更新が出来ないお詫びにちょっと今後のネタバレというか明継と椿に関して少々設定などを絡めて紹介していますので、気になる方だけ御覧ください。

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