小さい栄光
1等賞。
それは保護者が観に来る晴れ舞台で、一番乗りにロープを走り抜けた園児に贈られる小さい栄光である。
運動会の前日――。
園庭の真ん中でしゃがむ男の子。
呼吸が大きく乱れている。
息を整えることも難しいようだ。
園庭にできた無数の靴跡から、男の子の努力が伺える。
でも、どうして努力してまで1等賞を目指すのだろう。
たとえば足の速い男の子はモテるというけれど、好きな女の子でもいるのだろうか。
好きな人の前では、カッコイイ、可愛い姿を見せたいと思うし……ありえる。
何にしても、その努力が報われることを祈るばかりだ。
――頑張れ、男の子!