第八楽章【聴く】
―次の日・・・
生徒 「ねぇ知ってる!?今日の放課後音楽室でマキ様のコンサートやるって~!」
生徒 「ね!もちろん行くっしょ☆!」
生徒 「先生たちも行くって~!」
―音楽室では、学級委員たちが椅子を並べて準備していた。
カレン 「ああ~楽しみだなっ」
学級委員 「カレン、手伝って!」
カレン 「はいはーい!許可くれてありがとうね♪」
学級委員 「いえいえ・・・先生たちも快くOKしたよ(笑)さすが黒川さんね!」
生徒 「おーい!あと椅子4つここに並べて~」
生徒 「はいよ~!」
―放課後・・・
音楽室に学校中の生徒が集まった。開始十五分前には、立ち見の生徒もいるほどだ。
先生 「楽しみですね」
先生 「そうですね、黒川さんのピアノ良いですよね」
生徒 「マキたん!!萌えええええぇぇ!」
生徒 「マーキ!マーキ!マーキ!」
カレン (わわ、ファンが最前列の席確保してる・・・)
生徒 「すげー人だな」
生徒 「体育館でやったほうがいいレベルじゃね?」
生徒 「それなー!」
―廊下ではマキが待機していた。
生徒 「マキちゃん、準備はいい?」
マキ 「うん」
生徒 「・・・よし」
― 十五分後・・・
生徒 「時間になりましたので始めまーす」
みんな 「イェーイ!」
パチパチ・・・
―拍手の音とともに、ドアが開いて、マキが出てきた。
生徒 「マキちゃーん!」
生徒 「う、美しい・・・!」
マキはお辞儀をして、椅子に座った。
そしてゆっくりと手を伸ばし鍵盤に乗せた瞬間、それまで騒がしかった歓声がスッと消えた。
♪~~~♪♪~~~
みんな (おおーっ)
♪♪♪~~~
生徒 「なぁ、なんか音聞こえるぜ」
生徒 「ホントだなー」
高野 「お前ら知らないのかよ、今日マキのコンサートなんだぞ」
生徒 「え、そうなの!?練習サボればよかった~」
高野 (俺だってサボりたかったさ・・・)
生徒 「じゃあ、サボっちゃう?」
生徒 「え、でも片付けどうする?」
生徒 「他の奴に頼もうぜ!な、高野も!」
高野 「ああ・・・よし!」
高野はサッカー部の仲間たちとともに音楽室へ駆けて行った。
―音楽室
みんな 「わー!」
―そこには歓声と拍手が鳴り響いていて。
ドアを開けた瞬間、生徒たちの熱気が伝わった。
生徒 「おい、終わってないよな?」
生徒 「まだでしょ」
マキ 「では、最後にもう一曲弾きたいと思います」
生徒 「おー間に合った!」
高野 「ふー良かった!」
♪~~~♪♪~~
高野 「・・・!」
♪♪~~♪~
生徒 「き、きれい・・・」
先生 「なんででしょう、自然と涙が・・・」
カレン (マキちゃん・・・)
♪~~♪♪~~
♪~・・・
最後の音が音楽室に響いて、十秒ほどの沈黙があった。マキのため息が、余韻の中に溶けていく。
みんな 「わーーーー!!!」
全員が椅子から立ち上がって、拍手した。
みんな 「アンコール!アンコール!」
マキ 「え・・・」
先生 「みなさんもう下校時間です!残念ですが今日はここまで・・・」
生徒 「えー!」
生徒 「本当は先生だって聴きたいくせに~!」
みんな 「そーだそーだ!」
先生 「仕方ないですねぇ・・・」
校長先生 「はは、あと一曲短いのをお願いします」
マキ 「校長先生・・・」
みんな 「わー!!」
マキ (マジか・・・)
―マキはアンコールに応え、コンサートは大盛況のうちに終わった。