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黒髪のマキ  作者: Rainbowproject
4/18

第四楽章【友】

―次の日・・・


マキは休日でも早起きだ。

朝五時、外はまだ夜みたいに暗い。


マキ 「・・・。」


コーヒーを淹れて、ぼーっと外を見つめる。

もう一度ベッドに戻って眠るか迷ったが、朝食の時間まで学校の予習を済ませておく事にした。



~♪


マキ (ん?)


携帯にメールが届いた。




マキ (ルイさんからだ)


『おはよう、マキちゃん!朝早くにごめんね。

でも、マキちゃんなら起きてるかな?(笑)

今日はお休みだと思うんだけど、時間ある?

もしよかったら、どこか行こう~♪』



マキ (・・・まったく、この人は)



ルイさんの子供っぽい笑顔が頭に浮かんで、

マキは微笑んだ。


『おはようございます。今日は暇です。どこか行きましょう(笑)』




マキ 「・・・あ、そうだ」


メールを書いている途中、マキは思いついた。


『もしよかったら、友達も一緒にいいですか?紹介したいし・・・。』





― 二時間後・・・


マキのお母さん 「マキちゃんおはよー♪」


マキ 「おはよ。朝食そこにあるよ」


マキのお母さん 「あらー♪マフィンだなんておしゃれ♪マキはもう食べたの?」


マキ 「うん、どれでもいいよ。」


マキのお母さん 「これ、コンビニのやつ?こんなに種類あるのねーっ」


マキ 「ん。・・・あ、今日なんだけど、ちょっと友達と遊びに行ってくるね」


マキのお母さん 「うん!ん、おいしー♪」


マキ (聞いてるのかなこの人・・・)


美味しそうにマフィンをほおばる母に、マキは苦笑しながらもコーヒーを差し出すのだった。









― 一時間後・・・


カレン 「マキちゃーん!」


マキ 「あ、カレン。いきなりごめんね」


カレン 「全然!マキちゃんからのお誘いだったら絶対に行くよー♪」


マキ 「ありがと。・・・お礼に高野も呼んでおいたから。」


カレン 「ありがと・・・って、だから私は高野なんて別に・・・!」


ルイさん 「マキちゃん!」


マキ 「あ。」


カレン 「?」


ルイさん 「今日はありがとう!・・・あ、キミがカレンちゃんかい?」


カレン 「は、はい・・・。」


マキ 「音大生のルイさん。」


カレン 「あ!よろしくお願いします」


ルイさん 「よろしくお願いします!よく話に出てくるよ、マキちゃんの親友さん♪」


カレン 「えへへ・・・」


高野 「よお」


カレン 「ふぇああっ!?」


高野 「なんだその声(笑)」


カレン 「驚かせないで!!」


高野 「こっちのがビックリしたっつーの。」


マキ 「クラスメートの高野君です」


ルイさん 「やあ、はじめまして。」


高野 「あ・・・はじめまして」


マキ 「いきなり誘ってごめんね」


高野 「全然!」


ルイさん 「どこ行こうかー?」


カレン 「楽しいとこー♪」


マキ (抽象的・・・)


高野 「でもさ、とりあえず話せるとこ行かね?」


カレン 「あ、そーだね!」


ルイさん 「じゃあカフェヘレッツゴー!」


マキ 「はいはい」








― 三十分後・・・


カレン 「・・・でね、そのときのマキちゃんの演奏がもうカッコよすぎて・・・!」


ルイさん 「ほうほう!それで??」





高野 「・・・すっかり盛り上がってるな」


マキ 「ね。でも、良かった」





ルイさん 「マキちゃんはやっぱり学校で大人気なのか~♪」


カレン 「そうだよぉ♪ね、高野!」


高野 「ん?おー・・・」


マキ 「無理やり合わせなくていいから」


高野 「本当に人気だろ?綺麗だし、頭もいいいし、ピアノもできるし・・・」


ルイさん 「高野君、マキちゃんのこと好きなのー?」


高野 「なんでそうなるんですかっ」


ルイさん 「なんか分かる気がする♪」


高野 「やめてくださいよー恐れ多いですから!(笑)」


カレン 「・・・。」


マキ 「ルイさん・・・」


マキはちらっとカレンのほうを見た。




マキ 「ごめんね、うるさくて。後でうまくやるから」


カレン 「いいよいいよっ、そんなに気を遣わないで」


ルイさん 「あ、ねぇせっかくだから記念に写メ撮ろうよー♪」


高野 「おお~撮りましょう!」


ルイさん 「さあ二人も!」


マキ 「ルイさんが一番高校生っぽい・・・」


カレン 「あははっ」


ルイさん 「はいチーズ!」


カシャ









― 三時間後・・・


カレン 「はぁー楽しかった!」


ルイさん 「また遊ぼうね!」


マキ 「ルイさん、例の曲どうなったんですか?」


ルイさん 「ああ、あれマキちゃんのおかげでいい感じになったよ!」


マキ 「服返すので、家来てください」


ルイさん 「あ・・・ごめんね、洗濯してもらっちゃって」


マキ 「大丈夫ですよ。・・・高野」


高野 「え、はい!」


マキ 「カレン送って先帰って」


高野 「あ・・・分かった」


カレン (マキちゃん・・・」


マキ 「またね、カレン」


カレン 「うん!・・・ありがと」


カレンはマキだけに聞こえるような小声でお礼を言った。

マキは少し満足したように、そっと笑った。





ルイさん 「なるほどね、作戦か」


マキ 「その通り。さ、行きましょう」







― 十分後・・・


高野 「ルイさん、面白い人だったな」


カレン 「そうだね」


高野 「あの二人は音楽仲間か」


カレン 「そうだね、付き合ってるのかな?」


高野 「え・・・!?」


カレン 「いや、分かんないけどね!(笑)」


高野 「ああ・・・」








―夜・・・


ルイさん 「ありがとうございました、お邪魔しました~」


マキのお母さん 「はーい!」


マキ 「またね~」



ガチャ・・・


マキのお母さん 「今日も楽しかったみたいね」


マキ 「うん。こんな感じ」



マキは今日4人で撮った写真を見せた。



マキのお母さん 「あら、いいじゃない!・・・そうだ、久々にミキとお父さんにメールしたら?」


マキ 「あ、そうだね」






マキはパソコンを開いた。




マキのお母さん 「・・・それにしても、マキはミキに本当に似てるわね」


マキ 「そう・・・?」




『ミキへ

どうも、マキです。元気?

こっちは暖かくて、桜もいい感じです。

今日、友達と撮った写真をお母さんに見せたら、本当にミキに似てるって言われたよ(笑)

・・・ミキは今イタリアにいるけど、やっぱり少し寂しい。

また日本に帰ってきたら、たくさんいろんな所に連れてくから。・・・そして、私もイタリアに行ったらその時はよろしくね。

では、今日撮った写真を添付します。

マキより』




マキ 「・・・よし」









― 十五分後・・・


~♪


マキ 「あっ」


マキのお母さん 「ミキかしら?返事来たみたいね~!」






マキは再びメールの画面を開いた。


『マキへ

メールありがとう。私もお父さんも元気です!やっぱり、私たちって似ているのね(笑)

きっと見た目だけじゃないと思うんだけど。

・・・でも、マキに似ていることがとても嬉しく思えます。

また、マキのピアノを聴きたいな。

イタリアにもぜひ来てね!!

・・・マキは十分分かってると思うけど、周りにいる人たちを大切にするんだよ。そして、

一日一日を大切に過ごしてね。私も頑張るから。』



マキ (ミキ・・・)


マキのお母さん 「いいこと書いてるじゃない、あの子(笑)」




マキ 「なんか・・・」


マキのお母さん 「ん?」


マキ 「ゴメン、トイレ」


マキは顔を隠して駆け込んだ。


マキのお母さん (あらあら。)


ガチャン





マキ (っ・・・バカ)



こんなことで泣くのか、高校生にもなって。


自分の意外な面を感じながらも、おさえようとしても涙は止まらない。


はやく、はやく戻らなくちゃ―


マキ (あぁ・・・)


マキはぎゅっと目元をおさえてから、ドアをあけてリビングへと戻った。




マキ 「ごめんごめん」


マキのお母さん 「ふふ。コーヒー淹れたわ」


マキ 「ありがと」




紛らわすように、気を遣ってくれたんだろう。

きっと母には全てお見通しだ。




マキ 「返事を書こうか・・・何か伝えたいことない?」


マキのお母さん 「うーんそうねぇ・・・お父さんの近況も知りたいな。マキは・・・あ、彼氏クンのこ

ととかは?」


マキ 「彼氏クン・・・ってか、いないし」


マキのお母さん 「この写真の・・・高野君・・・だっけ」


マキ 「これはカレンの(笑)」


マキのお母さん 「あらすいません(笑)」


マキ 「はは(笑)」











―夜


マキ (よし、月曜日の学校の準備もOK)



トントン




マキのお母さん 「マキ?ちょっといい?」


マキ 「いいよ。どうしたの?」


マキのお母さん 「ちょっとボールペン貸して」


マキ 「ああ・・・。」


マキは机の引き出しを開けた。




マキ (・・・。)


マキのお母さん 「あ、いっぱいあるじゃない♪」


マキ 「そう・・・だね」


マキのお母さん 「?」


マキ 「これ、いつ手に入れたんだっけ」


マキのお母さん 「んー・・・忘れたわね(笑)ぱっと見た感じ三十本くらいある?」


マキ 「うん・・・はい」


マキは黒と灰色のボールペンを差し出した。


マキのお母さん 「ありがとー♪」



鼻歌を歌いながら、階段を降りていく母の姿をぼーっと見つめながら、

マキはボールペンを手に入れたときの記憶を思い返していた。





―でも、思い出せない。


マキ (こんなに数持ってたかなぁ・・・)


なんだか今日はヘンな日だ。


マキ (ま、年に1度くらいあるよねこういう日)


マキはそう結論付けて、寝る支度をした。


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