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黒髪のマキ  作者: Rainbowproject
2/18

第二楽章 【四月】

キーンコーンカーンコーン・・・



カレン 「マキちゃん♪」


マキ 「カレン、おはよう」


カレン 「今日から新学期だねー!クラス、どうなってるのかなー♪」


2人はクラス分けの表を見に行った。


マキ&カレン 「・・・。」





・・・。





マキ 「・・・あ」


カレン 「あったぁ!!やった!マキちゃん、クラス一緒だよ!」


マキ 「本当だ」


カレン 「さあ!行こうっ♪A組A組♪」


マキ (朝から元気だなー)








2人は教室のドアを開けた。


ガラガラ・・・


生徒 「マキちゃーん!カレン!」


生徒 「A組なんだ!やったー」



ザワザワ・・・




マキ 「おはよ」


みんな 「おはよーーー!!」


カレン 「どのクラスになってもマキちゃんって人気だね~すごいなぁ・・・」


マキ 「カレンだって人気じゃん」


カレン 「そんなことないよ~」


マキ 「出席番号順だから離れちゃうね。」


カレン 「うん・・・じゃまたね!」



マキは自分の席に座った。


マキ 「ねむっ・・・」





ヒソヒソ・・・


生徒 「黒川さんってかっこいいよね~」


生徒 「スタイルよすぎだしね~いいなー」


生徒 「クールで大人っぽいし~」


生徒 「そうそう!頭もいいよね」


マキ 「・・・。」


ちらっ



生徒 「きゃー!マキちゃんがこっち向いてくれたー♪」


生徒 「ほんとかっこいい・・・」


―担任の先生は、昨年と同じ人だった。




先生 「では今日はこれで終わりにします。みんな気をつけて帰ってねー」


キーンコーンカーンコーン・・・


カレン 「マキちゃん帰ろ!」


マキ 「うん」


すると目の前に、サッカーボールを蹴りながら歩いている男子が歩いているのに気づいた。




カレン 「あ、高野だ!」


マキ 「・・・。」


高野 「よっ!帰り?」


カレン 「うん・・・今日もサッカー?」


高野 「ちょっと居残りだよ」


マキ 「・・・。」


カレン 「どしたのマキちゃん?」


生徒 「おーい高野行くぞー!!」


高野 「あっ!じゃあ俺行くから。またな」


カレン 「バイバーイ!」





テクテク・・・


カレン 「~♪」


マキ 「高野君と仲良いね」


カレン 「ぜっ、ぜんぜーん!!」


マキ 「・・・。」


カレン 「・・・マキちゃんは嫌いなの?」


マキ 「・・・普通」


カレン 「そっか(笑)


マキ 「カレンは?」


カレン 「・・・え。アタシは・・・」


マキ 「・・・?」


カレン 「秘密―!!」


マキ 「ふーん」




テクテク・・・




カレン 「あ、じゃあここでバイバイだね」


マキ 「うん。また明日ね」


マキは家に入った。




ガチャ・・・


マキ 「ただいま」


マキのお母さん 「お帰り♪宿題は?」


マキ 「出てないよ」


マキのお母さん 「そう。じゃあ後でケーキ部屋に持っていくわ♪」


マキ 「ありがと」





マキは階段を上って部屋に入った。


マキ (あの夢、なんだったんだろ・・・)


マキは夢に見た光景を絵に描き出してみた。





ガチャ


マキのお母さん 「ケーキここに置いとくわね」


マキ 「ありがと」


ガチャ





・・・。





マキはケーキを食べ終わるとベッドに転がった。


携帯を開くとメールが来ていた。


マキ (カレンからだ)


『マキちゃん、一緒のクラスだったね♪改めてこれからよろしくねー!』


『そうだね、これからも宜しく。』


マキ (・・・よし)


マキはピアノに向かった。そして、自分で作曲している楽譜を取り出した。




♪♪~~


マキ (ここ、1オクターブ下げるか)



マキは頭の中にふと現れたメロディーをそのまま書き出す。

そして、気になった箇所をひとつひとつ、実際に弾いて変えていくのだ。




♪~~♪♪~~♪~


マキ (ん?)


携帯にまたメールが届いた。






マキ (ルイさんだ)


『マキちゃん進級おめでとう。お願いしたいことがあるから、今から公園にきてくれないかな?』


マキ (なんだろう・・・)




コンコン・・・ガチャ


マキのお母さん 「マキ、お母さんちょっと出かけてくるわね」


マキ 「いいけどどこ行くの?」


マキのお母さん 「お買い物よ。新しくできた駅ビルにね♪」


マキ 「そっか。」


マキのお母さん 「じゃあねー★」


ガチャン・・・


マキ (・・・私も行くか、公園に。)


マキは黒いトレンチコートを羽織った。


マキ (・・・お願いって何だ??)


―そう考えているうちに公園に着いた。





ルイさん 「マキちゃん!」


マキ 「あ」


ルイさん 「いきなりゴメンね~」


マキ 「いえ・・・それで、『お願いしたいこと』って何ですか?」


ルイさん 「とりあえず座ろっか」


マキ 「あっ、はい」


ルイさん 「飲み物買ってくるから座って待っててくれる?」





マキは黙って頷いた。



・・・。


マキはふと空を見上げた。

四月の空。風は少し冷たいが、太陽が優しく射している。






ルイさん 「はい」


マキ 「ありがとうございます」


マキはホットコーヒーを受け取った。


ルイさん 「今年の四月は少し寒いよねー」


マキ 「んー・・・」


ルイさん 「・・・マキちゃん。実はね・・・」




ルイさんは封筒から何かを取り出した。

中に入っていたのは、楽譜だった。




マキ 「・・・!」


ルイさん 「これ、僕が作ったんだけど・・・手直ししてくれないかな?」


マキ 「えっ・・・!?」


ルイさん 「マキちゃんに見てもらいたいんだ。マキちゃんが見たら、どう直すのかなって思って。」


マキ 「・・・分かりました。」


ルイさん 「ありがとう!お願いします」


マキ 「・・・家来ます?」


ルイさん 「えっ!いいのかい?」


マキ 「母さん買い物中なんです。」


ルイさん 「久々にお邪魔しようかな」


マキ 「どうぞ。」








― 五分後・・・


ガチャ


ルイさん 「お邪魔しまーす」


マキ 「適当に荷物置いてください。お茶持ってきますね」


ルイさん 「うん!ありがと」


ガチャ・・・


・・・。


ルイさん (マキちゃんの部屋ってスッキリしてるよなぁ・・・。あ、ピアノ!)


ピアノに近づいてみると、マキが作曲している楽譜を見つけた。


ルイさん 「・・・。」


カサっ・・・


ルイさん (・・・!!!)





・・・。





ルイさん {何だ・・・この曲!?すごすぎる・・・!!}


ガチャ





マキ 「どーぞ。」


ルイさん 「っ!」


慌てて楽譜を元の場所に戻したが、マキにはバレていたようだ。



マキ 「楽譜・・・見てたんですか?」


ルイさん 「うん・・・ごめん、勝手に見ちゃった」


マキ 「その曲、どう広げていくか迷い中なんです。」


ルイさん 「今までに見たこと無いよ、こんな曲・・・!やはりマキちゃんは天才だね」


マキ 「いえ・・・じゃあ、ルイさんのを手直しします」


ルイさん 「そうだった。宜しく!」


マキ 「とりあえず、今のまま一度弾きます。」







♪~~♪♪♪♪~♪♪~~~~


ルイさん 「・・・!!」


♪♪~~


マキ 「ここはフォルテにしたほうがいい」


♪~


マキ 「ここは少し抑えて、しっとりと」


ルイさん 「なるほど・・・!」


― 一時間後・・・


マキ 「・・・うん、こんな感じかな」


ルイさん 「ありがとうマキちゃん!すごいよ一時間でこんなに変わるなんて!」


マキ 「でも結構良いメロディーもあったし」


ルイさん 「ありがとう!最初に弾いてもらったとき、俺が作った曲なのに、マキちゃんが弾いたときの方がより世界観を感じられたよ!さすがだね」


マキ 「いえ・・・」


ルイさん 「また今度よろしくね!お疲れ様♪」





ガチャ・・・



マキのお母さん 「ただいまー」


ルイさん 「あっ」


マキのお母さん 「あら!ルイさん~」


ルイさん 「いきなりお邪魔しちゃってすみません(汗)」


マキのお母さん 「いいのよぉ~ゆっくりしていってね♪」


ルイさん 「はい!」


マキのお母さん 「・・・あ、そうだ。明日もお買い物してくるから!今度はデパートに♪」


マキ 「・・・どうぞ」


マキのお母さん 「じゃ、ごゆっくり♪」





ガチャ・・・


マキ 「・・・母さん買い物好きだなホントに」


ルイさん 「あははっ」


マキ 「・・・あっ、これ何ですか?」


ルイさん 「ん?・・・ああ、これか。大学で使ってるテキスト☆」


マキはパラパラと本をめくった。






ルイさん 「マキちゃんには・・・簡単すぎるかもしれないね(笑)」


マキ 「えっ・・・?」


ルイさん 「あっ、いや・・・あはは(笑)」


少し沈黙が起こったので、気まずさをごまかそうとルイさんは慌ててカップに手をのばした。




ガチャ!!


カップから紅茶がこぼれてしまった。




ルイさん 「ああ!」


マキ 「あ・・・大丈夫ですか??」


ルイさん 「ご、ごめん!部屋が汚れちゃう!」


マキ 「部屋はいいんですけど、火傷してませんか?」


ルイさん 「うん、大丈夫・・・本当ごめんねー!!」


マキ 「いえ・・・服、汚れてる」


ルイさん 「え・・・!?うわ・・・」


マキ 「これは落ちにくいかも・・・ちょっと待っててくださいね」


そう言ってマキは部屋から出た。


ルイさん (あー・・・やってしまった・・・何してるんだ俺は・・・)





マキが袋に入ったTシャツを持って入ってきた。



マキ 「こんなのあったけど。お父さんの。・・・着ますか?」


ルイさん 「いいのかい?」


マキ 「うん。」


ルイさん 「ありがとう!」





― 五分後・・・


ルイさん 「サイズ、ちょうどよかったよ。ありがとうね!」


マキ 「良かった。これは洗濯しておきますね」


ルイさん 「いいよ、俺がこぼしたんだし」


マキ 「大丈夫ですよ」


ルイさん 「・・・すいません(泣)」


マキ 「いーえ。」


ルイさん 「マキちゃんのお父さんって、今・・・?」


マキ 「イタリアにいます。」


ルイさん 「すごいよね・・・楽器を作ってるんだっけ?」


マキ 「そうです。」


ルイさん 「双子のお姉さんもいたよね?元気にしてるかなぁ・・・」


マキ 「ええ・・・きっと」


マキは紅茶のシミがついたTシャツをたたみながら言った。





ルイさん 「寂しくないの?」


マキ 「夏休みとか、たまにこっちに来るときもあるんですよ。メールもよくくれるし」


ルイさん 「そうなんだ!」


ふと、棚の上に写真が飾ってあるのに気づいた。






ルイさん 「あっ!・・・この子がお姉さんだよね?」


マキ 「そうです」


ルイさん 「マキちゃんにそっくりだー」


マキ 「そうですか?」


ルイさん 「うん!!さすが双子だね・・・この隣にある写真の子は、クラスメート?」


マキ 「ああ、そうです。カレンっていって、今年も同じクラスでした」


ルイさん 「おお、それはいいことだ☆」



ガチャ・・・





マキのお母さん 「ただいまー」


マキ 「あ、帰ってきた」


ルイさん 「お帰りなさ~い♪」


マキのお母さん 「あら、ありがとうルイさん。」


ルイさん 「お母さんも帰られたことだし、そろそろ御暇しようかな!」


マキ 「送りますよ」


ルイさん 「ああ~いいっていいって。お邪魔しました!」




二人は階段を降りて玄関へと向かった。





マキのお母さん 「またいらっしゃいね~」


ルイさん 「はい~ありがとうございます!では~」


ガチャ・・・


マキのお母さん 「さーて夕食の支度~♪」


マキは玄関から部屋に再び戻って、カップなどを片付けた。


マキ (・・・あっ。夢のこと、聞いてみればよかったな・・・)








カーテン越しに、西日がこぼれてきた。

少し眩しいが、春の匂いがした。


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