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2連星  作者: akihide
9/12

9話

連盟軍実験ラボ

連盟軍実験ラボは当初の目的はテストパイロット育成の機関として使われた、だが、戦時拡大と共に規模が拡大し上々に変化をもたらした、戦争終了後の現在は、最新鋭の新型機の試験運用に変わっていた。実験ラボは他にも数箇所有り、個々のやり方で違った目的で技術研究がされてきた。お互いに切磋琢磨とはいかず、己の研究に忠実に爆進していた。


研究所内は物が多く散らかっていたが、機器類は機能的な配置をして、シンプルながらとても綺麗に整頓されていた。大型のヴィジョンやPC、電子機器、ダンボール等は研究室の様をなしていた。

ただ、物が多く多少狭く感じてしまう。

エントランスホールでは、常駐警備員にセキュリティパスを使い通り抜け、中央の通路を歩き出した。

途中、掃除型ドローンが館内を所狭しと清掃をしていた。

コスト削減とは聞こえがいいがその煽りで清掃員の仕事が無くなって技術進歩はいい面と悪い面が出ていた。他にも警備も機械を使った監視がされていて、所狭しと監視カメラの目が散らばらせた。ただ、セキュリティ上の関係でやはり警備員の人員は幾らかいた。

別館のエレベーターを乗り3階のCフロア区画に着いた。表紙の看板には、「技術主任 メザク・アイリス・シラカネ、助手 メロイ・プロミエンス」と書かれていた。

扉の中に入ると、




「レネ・ロイド・シュガーリン出頭しました」


「サテラ・アイリス・シラカネまかりこしました」


「来たか、まあ、入って、入って、」


そこには、学者肌の中年に降りかかった男性がいて、隣には、若い女性がいた。

男性の方は小柄で痩せていて肌が白く一見頼り無さが目に映った、まあ、きなれているのか、白衣が良く似合っていた。外界から遮断されたせいで少し変わり者のていをなしていたが、こう言った輩はよくいた、なかなかの切れ者で研究者としても有名らしい、博士号を取り幾つかの学会の研究発表で好評を博している。稀代の英才だ。主家の次期棟梁でもあったが研究に没頭したいが為に、次男に席を渡していた。シラカネ家は大貴族の1つ、元は連盟の4代派閥の一角で部門の名家として過去数百年の連盟の広大な領地を統治していた。ここ最近は、交易にも着手して富国強兵を軸に富をはくしていた。他には、大貴族のカーズマイン、プロメテウス、ストラゴスがある、これもお互いに特徴ある既得権益に置いて、連盟に多大な影響をもしていた。連盟においてカーフストロム王家は実権は既になく傀儡となり実質は共和制を用いていた。


女性の方は年齢よりは少し幼く見え、幼顔だった。ここの研究室に入ってまだ間もないのか、対人を苦手としているか、オドオドしていた。手に持つ、書類で顔を隠しこちらをチラチラ見る様は、微笑ましかった


制御室の座席には人型のドローンが数台鎮座しており、PCを片手間と何かしらの作業をしていた。タッチパネルでカチカチと指の指圧の音が聞こえる。


「悪かったね、君もこちらにきたばかりで、忙しいのに来てくれて、学校生活は慣れたかい、レネ君は、それとサテラは迷惑を掛けていないかな、年の離れた妹だからね、兄として心配でね」

「いえ、特に問題ありませんよ、サテラも気を使って色々してくれますし」

学校生活を思い浮かべて言った、寝ている自分を良く起こす怒ったサテラが見えた。

「それは、良かった」



「早速だけど、『アリオン』の飛行ユニットの試験をしてもらうよ、こちらは準備万端でね。」

「了解しました、飛ばせばいいんだろ」

「そうだ、飛ばせばいい、後はグルグルと施設上空を旋回してくれ、ああ、それと堅苦しい言い方は無しだ、僕達の中じゃないか」

そう言ってメザクは笑って答えた


早速、アリオンに搭乗した。

グリップを握白い機体の搭乗席に乗ると、操縦席で持ち込みの機動デバイスを差込、個人パーソナルデータIDを認証する、「キュイ━━━━ン!!」と機動モジュールが読み込みを開始する、タッチパネルに数字を入力しパスワードを入力した。

「パスワード認証完了」

画面が切り替わりいくつかの数字の羅列が流れ始めた、この機体は全天候型のスクリーンをしていた。『デザイア・ドライヴ・システム』の起動確認、搭乗者をレネと認証しました。アルファベットで「スタンバイ」の表示がなされた。機動の為のスイッチを入れて、グリップを握って軽く動かす、それに呼応するように機体が重い腰を上げて動き出した、よし、うまくいった、

「D.D・Active」

機体の目から目覚めの光りが上がった、

ラボの外まで出ていき、飛行を開始した


順調に空を滑走する白銀の機体があった

「どうやら、順調そうだね、データを見る限り」

「それは、ようござんしたね、そういえば、『デザイア・ドライヴ・システム』ってのはなんだ、起動するときに表示されるんだが、たしか説明も無かったと思うが」

「うーん、それなんだけどね、実は分からないんだ、いくら調べてもね、中のシステムにロックが強固に掛かっていてね、実際どういう機能なのか皆目検討がつかない」

ただ、その機体『アリオン』には、特別なコアボックスが内蔵されていてね、ブラックボックス化しているんだ、多分それだと思うんだけど・・・


まあ、いずれ分かることさ、それより、今度は左旋回してくれるかい

電子機器が数字の波を打って迸っていた計器の波が波打、紙ロールからは計測表が流れていた。


次は目標のものをその獲物で切り伏せてくれるかい、

台座には一刀のサーベルが置いてあった

「硬質の特殊高型サーベルだから、切れ味抜群だよ、試してみてくれ」

台座からサーベルを受取、軽く、振った、長さも、こいつにはちょうどいい、フィールドからは5体の「Rago」の模型が姿を現した。

「やるか」

ブースターと足回りのキャスターが唸りあげて高回転で直進し、目標に接敵した

「1つ、2つ、3つ・・・」そして、5つある目標を袈裟斬りや横切り、唐竹割りと切りつけた。すべて、模型を一刀両断した。


次は、高出力電磁投射砲の出力実験だった・・・

目標には的があり、そこを打ち抜いた、いや、吹き飛ばしたの間違いか。

大地には渦の形をした抉れたクレーターが出来ていた。


実験は終わり助手の方から、スポーツドリンクとタオルを受け取った


「それにしても『Rago』が飛ぶとは思わなかったな」


タオルで顔の軽く汗を拭いた。


「なんだ、初搭乗した時は、気にしず使いまわしていたくせに、乗ってる私でさえビックリしたんだぞ、いずれそういう事ができるとは、聞いていたけどこれはまだ、次期早々だと言われていたのだぞ。」


「そういや、やけに密着しているなと、思ったがそういう事だったのか」


「まだまだ、性能は上がりそうだな、運動性能もモジュラーをレネ君用に調整していけば更に性能が向上するだろう。」

「認証デバイスを更新しよう、貸して見せてくれ」

俺は、認証デバイスをメザクに渡した。

メザクは、設置型の計器を使いトレースした。

「終わったよ、これで、前より動かしくなったはずだよ」

「さて、これを機に「アリオン」のデータから新しい試みを試さないと、特にこの飛行ユニットは第1目標にしなくちゃ、忙しくなるぞ」


話している間も、計測データから目を離さずにしていた。


「そのまま、模倣できないのですか」


「残念だが、無理だ、この機体の材質の主は月から取れる『ルナテックダイス』だね」


一品物ならいいけど量産となるとまず材料が足らない


そう言って机の引き出しから、『ルナテックダイス』を見せてくれた。

握り拳ぐらい白銀の色合いの鉱石があった。ちょうど、『アリオン』とカラーリングが似ていた。

こいつは、月との交易がある時は良かったが、戦後激減してね、地球には、もうほとんど残ってないよ。現在はセレーネ帝国と連盟・新連合はもっか冷戦状態だからね

まあ、ここら辺は子供でも知っていることだ。



「まあ、そこが腕の見せどころなんだけどね、うまくいけば空を滑走する編隊が組めるかも知れない。段階を置いて、やるだけさ。」


「サテラも悪かったね、付き添わせて、退屈だったかな、でも、僕もサテラの為に、うまくやるほうだろ」


「お兄様」

少し、年が離れているが、そう、ここの技術主任とサテラは兄妹関係にあった。


助手の方は微笑ましげに2人の光景を見ていた。



学校の宿舎に帰り、制服から外出用にラフな格好に着替えて外に出た

その頃には夜になっていた。

「夜間外出禁止」はどこにでもある事だが、来た経緯が有り、俺は特例として、除外されていた。寮長にも、事前に軍の方から事前に通知されており、特に何も言われていない。(緊急事態に対応するためだ)最近では、それを利用して、外で外食することが多い。


学園校舎内から、外へ指定された学園立ち入り禁止区画に入り一見の建物に入った

それなりに高級感ある大きなバーだった。店内は薄暗く、足元はおぼつかないが、小奇麗に清潔感があった。人はまばらに折り、密かに話していた、こう言った所では、人には言えない事や、商談話が盛んに話をされていた。そして、こういう雰囲気を楽しむ場所だった。店内はジャズのサクスホーンが流れ、木製のカウンターは、重厚感が溢れ、独特な世界を見せていた。

調度品には、ビリヤードやピアノが置いてあった。ビリヤードテーブルでは4人の人だかりがあった。

件の相手をカウンターに見つけて近寄った

「またせたな」

相棒だった

「来たか、期待のテストパイロット様は」

「茶化すな」

相棒の隣に座りそういって、バーテンダーに目を向けマティーニを頼んだ。

「まったく、調子狂うぜ、今の生活は」

「馴染めないか、早すぎだろ」

「そうは言うがな、いきなり、学園生活と洒落隠もうとすることはできんよ」

バーテンダーはカシャカシャとカクテルをかき混ぜ、こちらにグラスを渡した。

「そういうなって、今の生活はなかなかだと思うぜ、殺伐としてないし」

「そう思うかね」

俺はグラスを片手に見、そして、口に含んだ。

酒精が強く、ほのかに果実が入っていた



「タバコあるか」

相棒は胸ポケットからタバコを出して俺に渡した。

「はぁー落ち着くぜ、学校じゃ、さすがに不味いからな」

「サテラちゃんも見張ってるしな」

嫌なことを思い出した、校舎内の屋上で喫煙していた所に、サテラに出くわし、きつい折檻をくらったのが懐かしい。どれだけいっても、聞いてくれないし、

こんな生活いつまで続くんだろう、溜息も付きたくなる。

「俺は、楽しんでるぜ、給料もいいし、女達はチヤホラしてくれるし」

「生徒まで手を出すなよ、相手は子供だぞ」

「そこらへんは、分を弁えてるよ」

「教員のエミリーちゃんとか、シズちゃんとかいいぜ、こう、2人とも抱擁感があってな、なかなかに胸も大きいし、尻もデカイ」

エミリーは化学、シズは数学を専攻していた。

「オヤジかお前は」

「まあ、気を落とすなってことだ、新しい住処に変わって困惑してるだけだって、ここだって、いいところはあるぞ、まあ、多少不便もあるがな、監視付き出し」

俺はそれとなく周囲を確認すると、何人かの挙動がおかしかった

「それを踏まえても、いい所だと思うぜ、ここは」

相棒は気にしずカクテルを飲み干した

なぜ監視付きかと言うと、俺以外は『アリオン』を操縦できなかったからだ。せっかくの機体がどこの馬の骨とは知らずの者に使わせてるのはこういう訳だ。『アリオン』の個人認証を何度消去しても変わらず、動かなかった、どうやら、『アリオン』に内蔵している件のコアボックスが邪魔をしているらしい、これでは、ただの木偶の棒だ、その為、俺を雇入れ使うしかなくなったわけだ。

幸いな事に、俺の「Rago」の腕はベテランの操縦者達からは腕利きと言われるくらい旨かった。テストパイロットとしては、十分と言う事で相成った。

ただ、やはりというか、なんというか、上層部では、何かあってからでは遅いという事で、監視のていをはくした。年齢を考慮して、学園を通い隠れ蓑にしろだとさ。


「シラカネ家がお目付け役になってくれたんだ、いいじゃないか、学園に通えて、給金も出るしな、なかなかこんな物件はないぞ、このまま就職しちまうか」

「そうだけどよ、」

「嫌になったら、ひっそりと向け出して、バックれりゃーいい、まあ、恩知らずになるかもしれないが、そういうのも1つの手として考えたほうがいい、もう少し気楽になれ。」

せめて、ほとぼりが冷めるまではここにいろ、そう聞こえた。

俺は、バーテンダーに言ってマティーニを通過した





「ビリヤードテーブルが空いたな、いっちょ賭けてみるか」

「いいだろう、ナインボールな」

わかったボールを集めよう。

ビリヤードとは、ラシャと呼ばれる布を張ったスレートのテーブル上で「キュー」と呼ばれる棒を使い、玉を打つ。静止している球を撞き、別の球に衝突させてそれらの球が起こすアクションを自分の思い通りにコントロールしようとすることを目的とした競技である。

ビリヤードは常に一人でテーブルへ向かってプレイを行い、静止した球を撞く。テーブルが常に水平に保たれている、対戦相手と直接球を撞き合うことはなく、ショットの成否は全て 自らのプレイによる結果となる。互いにミスショットを出さないことに重視されたメンタルスポーツだ・・・

まずは、バンキングをして、お互いにキューを持ち白いボールを打ち奥の壁まで当てて、コチラに向かってくるボールの距離で先攻後攻が決められた。

「俺が先だな」

相棒が先に打つ事となった。


白いボールをおいて三角に並んだ的球に的を絞り打った。

ブレイクショットでカンカンカンとランダムにビリヤードテーブルを縦横無尽に的球が弾けて転がった。


幾つかの的球がコーナーポケットに沈んだ。


「サテラちゃんとは、どうなんだい、俺は、イイ線いってると思うんだけど、ね」


2番をあて6番を当て、連続でポケットの中に沈んだ。

キューを両手に持ち先端を馴染ませた。


「俺は、そうとは思ってないが」


次は、3番を狙っていた。


キューで狙いを済まして打つ、玉は転がり3番が右角にあるコーナーポケットに入った。


今度は5番と狙いを済ました


5番は狙い通りに行かずコーナーポケットに入らなかった。

「クッ、外れたか」

「今度は俺の番だな」

先程、相棒が狙っていた5番の的球を狙った・・・


「ふう、いい汗かいた、お前もやる方だったな」

そう言って手を出した。

「なんだその手は」

「ほら、チップだ」

手の指先をにぎにぎしていた

「チッ、ほらよ、次は勝つ」

相棒の手にチップを渡した。





次の日

生徒会室、室内

生徒会は、学校の全生徒をもって組織される、担当顧問の適切な指導の下に、生徒の自発的な活動により、学校生活の充実や改善向上を図る活動やボランティア活動が主な主体だ。

うちでは、各委員会の招集の元、議会をまとめ決を握る。組織票でまかなわれた。ここ、私立プロミネンス学園では生徒会、執行部、全校評議会が取り仕切っていた。


「今日の定例会議を実地します」

書類を各自に配った、まるで銀行員のように素早く渡していた。


「今日の定例会議は、1ヶ月後の姉妹校との合同コンペの話し合いです」


「具体策は書類に書いてある通りです、なにか、分からない事があるならば挙手をお願い

します」


では

「この仮装大会とはなんだ」

レネは挙手をして答えた。

「その名の通りよ、色々な服に仮想してみんなを楽しませるの、」

「用は、着ぐるみを着ろということか」

俺は、何が楽しくて着ぐるみを着るのか良く分からなかった。

「かたいわねぇ、そんなことじゃこれから先も大変よ」

何が、大変なんだ、と聞き返したかったが、聞いた所で俺には生涯わからずじまいだろう、まあいい、サボればいいのだから、とやかく言うことでもないと納得した。

「尚、生徒会一同は、全員仮装することが義務付けられています、ここを特に注目してね」

どうやら、さぼれないらしい、サテラが睨みを効かしているだろうし、

「次に、定番の美人コンテストね、ミス・プロミネンスのだけど、今年は50回を記念してるから、しっかりやる事、生徒会の女子一同は全員参加ね」

「ええー、本気ですか」

会長の決定に生徒会一同は異議を申し立てた

「本気です、うちは、綺麗どころが多いから強制参加ね、ああ、執行部と協議会もね」

この生徒会なぜか、全員女性だった。、そして、俺だけが男性で見よう見まねをしてみればハーレムのようだった。が、いごごちの悪さが多分に多い。なまじ、女が多いと収拾がつかないとは、よく言ったものだ。

生徒会長、生徒会副会長、会計監査、書記、執行部部長、協議会議長の7人だ(生徒会副会長は2人いる)

生徒会副会長には、サテラがなっていた。後は、顧問のスミスがいた。

俺はというと、

それにしても、なんで、俺はここにいるんだろうな

「レネの役職はサテラのお目付け役兼護衛だろ」

どうやら、ここでは、サテラとは逆の立場になっていた

サテラはなんだかんだで、大貴族のご令嬢でやんごとなきお方だ、護衛を兼ねていっしょにいる。


学園ではサテラのボディーガードのようだ。周囲ではそう見られてもおかしくない。



臨時ニュースです

大使館人質事件の続報です

大使館職員67名を捕虜にして、立てこもったテロリストグループ「鷹の蹄」は幹部の1人であるマウバデ・ガルバル氏の釈放を要求しています、3日以内に釈放しなければ、1時間ごとに1人を殺害するとのことです。

政府は臨時幕僚会議に置いて「テロリストには屈しない」と明言しています。今後の動向が気にかかります、大使館にいる人質67人の安否が気にかかります・・・

報道キャスターが、背後にある大使館バックに手を差し向けて話していた。

テレビ速報でこんな事が流れていた


昨今、反政府運動「鷹の蹄」は政治権益の腐敗から抜け出す為に、集まった集団だ。

大戦終了後、千己として進まない政治に嫌気がさして、反政府運動が活発だ、そこに出資者達や死の商人達が武器など物資を提供して政治不安を仰いでいた。

規模自体も数百人入ると思われる、政府としても頭が痛い問題だ。

サテラの父親も幕僚会議に出ているため、TVに出ていた。


連盟軍第6研究所ラボ

「突然に悪いね」

「いえ、緊急の案件があるとか」

「ああ、じつわね、大使館人質事件の事は知っているかい」

嫌な予感がする。レネは冷や汗をかいた。

「ええ、TVで報道される分には、どこでも今はそれで、話題が持ちきり出し」

「うんうん、そうだね、こっちのラボでもその話題に持ちきりだ」

「このままだと、示しが付かないとかなんとかで、政府、と言うか軍事幕僚会議の決定でね、どうやら、軍を派遣し、今日の夜にでも突入するとさ、そこで、僕は提案したのさ、うちには優秀な「Rago」の搭乗者がいるだろ、そう君だ。」

何を言いたいんだ、このおっさん。

「いままで、試験を幾つかこなしただろ、他のデータも欲しくなってね、そこで、なんだけど、実戦テストをかねたいんだ」

面倒な。

「軍には既に了承してもらってる」

「そうですか、拒否権はないんですね」

嫌な予感は当たったなと思った

「悪いね」

ホントに悪いと思っているのか、悪びれた様子を見せず言った、レネは相手の顔色を見ても、良く分からなかった

「相棒、スミスも同行してもらっていいですか」

「ああ、そうだね、というか、既に話は付いてある、スミス氏は乗る気のようだ。」

あいつめ、言わなかったな、相棒を忌々しげに思い浮かべた。

「給金ははずむから楽しんでくれ」



今から、調整するから時間まで休憩室にでも待機していてくれ。

臨時ニュースです

大使館人質事件の続報です

大使館職員47名を捕虜にして、立てこもったテロリストグループ「鷹の蹄」は幹部の1人である「マウバデ・ガルバル氏」の釈放を要求しています、3日以内に釈放しなければ、1時間ごとに1人を殺害するとのことです。尚、このような結末になったのは、現行政府が職務を全うしないがためだとの事。

政府は臨時幕僚会議に置いて「テロリストには屈しない」と明言しています。今後の動向が気にかかります、大使館にいる人質67人の安否が気にかかります・・・

報道キャスターが、背後にある大使館バックに手を差し向けて話していた。

テレビ速報でこんな事が流れていた

TVは同じことを録画で繰り返し流していた、状況は変わらないため、その後、大使館周辺の映像が流れた。

いまから、あそこに突入するのか

やるせなさが板に付いた。いや、俺はこれを待ち望のでいたのでは無いのか、正直分からなかった・・・。


モヤモヤしていたら、扉が開いた、相棒だった

「よう、気分はどうだい」

「最悪だ、タバコをくれ」

相棒は、胸ポケットからタバコを取り出し、俺に投げつけた

「そうかい、俺はそうには見えないけどな」

レネの顔つきは獰猛の獣の顔を覗かせた。



大使館邸

大使館邸は占領されてから、10日が過ぎようとしていた

交渉は千己として進まず、憂鬱な気分になった。

今回の訪問は恒例の祝賀レセプションを行っているときに起きた。

大勢の来訪者から、財閥の貴族やご令嬢も多く参加していた。

警備が厳重だとばかり思っていたが、「Rago」の襲撃には、耐えられなかったようだ。こちらも配備されていたが、数の上でも圧倒されて、既に鉄の塊となっていた。

街中にこれだけの量の「Rago」を見逃すのは、役人が賄賂か何かもらっている証拠だ。

隣接にある、セリーヌ川から、輸送して持ち運ばれたのだろう。警察も調査に乗り出したようだ。


23時30分

「さっき報告を受けたが0時きっかりに突入と相成った」

「きっかりね、それまでは、暇だな」

てを握り拳にして、もう片方の手に拳を穿った。

「気を引き締めないでどうするんです」

「サテラ、そうは言うが、あまり張り詰めていても、いざという時に、力を出せないと意味がないんだよ」

「それはそうですが」

「納得したなら、頬っておいてくれ、それから、君はすぐにも帰るんだ、学園宿舍は夜間外出禁止の事は忘れたわけじゃないよね、宿舍では、寮長が怒っているんじゃないか、あの、神経質のヒステリー気味の寮長がこの後、どのように責め立てるのか知れない。前に夜間に帰ってきて怒られているロイを見かけて思った。あれは、想像以上の苦痛をはくする、それに、君は、生徒会副会長なんだから」

俺は、諭す様に言い放った。

「分かりました、ですが、必ず帰ってきてくださいね」

「分かっているよ、こんなことで、死ぬつもりはない。それに、明日は、仮装衣装の手直しをしなくちゃいけないんだろ」

「そうですわ、ちゃんと出席してください、レネは私のお目付け役であり、護衛も兼ねているんですから」

「それじゃ、聞き分けがいい君だ、こんな所に以内で、早く帰るんだ、親御さんも心配するだろ」

「レネ、時々、ずるい言い方しますわね」

サテラは頬をほんのり赤くなった

「はは、たまにはいいだろ」

俺は茶化すことにした

「もう」っと言って体を揺さぶった


「イチャついてる所悪いんだが」

「「誰がイチャついていますか」」

「ああ、そうだったな、悪いことをした」

「それより、そろそろだぞ、準備はいいか」

「ああ、もう大丈夫だ、いい緊張感になった」

「それは良かったな」

「『クローム』の調子はどうだ、」


「順調だ、こっちに来てから、装備も一新できて前より調子がいいみたいだ、整備も連盟軍がやってくれるからな、壊れかかった部品もすぐに交換だとさ、こっちは今まで騙し騙しに使ってたのも新品に交換してくれたよ、それに俺もテストパイロットとして、データが欲しいんだとよ、どうやら次の新型機に『クローム』の後継機を作るだとか、名前はなんていったかな、まあいい、それでいいデータを期待するだとさ、人質の命とデータとで、どっちが大切かが分かってないらしいな、さすがは科学者だ、どっか欠落して嫌がる」


レネは相棒を見て、相棒は笑顔だが内心は笑っていなかった事が推移された、何か、思うことでもあるのだろう。あえて聞かないことにした、誰にだって、聞かれたくないことはある。


「さて、行くか」

相棒は答えた

「気を付けて、いってらっしゃいませ」

「ああ、行ってくる」

「サテラちゃん、じゃあね」


23時58分

「そろそろ時間だな」

「今か今かと待ちどうしいぜ」

「はやるな、そういうのは、失敗しやすいんだ」

「わかってるよ、そんなのは10代の頃には心得てるさ」

「それならいい」

「そういえば、いつもの行くか」

「そうだな」

ふぅ…一息ついて、


「俺たちの明日のために」

「俺たちの明日のために」



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