7話
昼間休憩中にサテラが来ていた
「ここの操作をこうすればいいのね」
「そうじゃない、ここをこうするんだ」
「わわ、うまくいかないわ」
『Rago』の操縦や機能設定のやり方を教えて欲しいと迫られ仕方なく教えていた。
なんでも、サテラは士官候補生で『Rago』の操縦も受けていた。
素質はあると思うがまだ拙かった。実戦が足りないのだろう、動きが綺麗すぎた。正直読まれやすい。
それで、操縦席には操縦シュミレーションが設定されていたので、サテラに操縦席に座らせ、俺は横について教えていた。
「難しいわね、この機体、やけに、動作がやけにシビアに出来てるし」
操縦グリップを何度も握り言った。
こいつはベテラン向けでね、うまく使えれば、現行の最新機にだって相手できるよ。
連盟の『スカーレット』をみて言った、連中は機体性能を全然生かしていなかったが。
「おーい、やってるな、見せ付けてくれるぜ、お兄さんも仲間に入れてくれよ」
バカがそこにいた
「どこをどう見たらそうなるんだ、なあ」
振り向くと、サテラの顔がほんのり赤かった
・・・まあ、いいだろう
「それで、どうなりそうだ」
「どうもこうもねえよ、現状維持だそうだ」
「まあ、そうなるわな」
「機体もロクに整備できない現状だからな、損傷を受けないように戦うしかないだろうが・・・」
「早く援軍来てくれないかな、」
「こればかりはどうにもならんよ」
「なんで、早く来て欲しいんだ」
「ああ、いやな予感しかしなくてな」
「はあ、そうかい、こりゃ、不味いか」
災厄、任務放棄も視野に入れたほうがいいかもしれん。
「割がいいと思ったんだがな、軍がここまでていたらくとは」
「辺境だからな」
「あんまりぼやくな、俺達は俺達の仕事をするだけだ。」
「わかってるよ」
その時が来た
先の襲撃でできた穴を広げるように大規模な攻勢をかけられた。
「きやがった、準備はいいな、一箇所に集めてくれ」
「了解」
相棒は答えた。
辺りの敵の足元にライフルで威嚇する。
「射程までもう少し、今だ」
銃弾で敵機を誘導して集めて、例の切り札を早々に使うことにした。
荷電粒子砲が咆哮を上げた
「DoooooooooooooooooN」
プスプスと荷電粒子砲が熱を上げた
大地はえぐれパチパチと火花がなって、十数台の敵機が跡形もなく消し飛んだ。
荷電粒子砲を放出して、残りの敵機に近づいた
銃弾で軽微の被弾が検出された。
かまわず、こちらも撃ち返す
グレネードで敵の上空に投げ捨てた。
戦場は砂煙が舞った。
足回りのキャスターが唸りを上げて、砂煙をかき乱す。
右旋回しながら、撃つ、ヒット&ウェイを心がけ、やり返す。
左腕に設置されている盾で銃弾を防御して、又撃ち返す。
「闇雲に撃っても埒があかんな」
カチカチッと銃弾の残弾がゼロになっていた
マシンガンを、地面に投げ捨てて、ダガーナイフを手にとった。
「次から、次と出てきやがって」
敵機影はまだまだ、湧いて出てきた、敵の自走戦車の迫撃砲が煙を上げ火花を鳴らした。
「数が多すぎる」
足元の地面に当たり軽微の被弾をした、気を間際和しているうちに、後方から敵機に接敵された
「まずい」
きびきを返すが間に合わず、機体に大きな損傷を上げた
「大丈夫か」
「ああ、と言いたいが」
相棒は援護射撃をしてくれて何とかなったが
まだ、なんとか動くがこれはまずい、態勢を立て直さなければ。
一旦引くぞ、援護してくれ
「ババババババババババッ」
銃撃音が木霊している。
一度配置場所から離れ、敷地内に戻った。敷地内では、白兵戦が行われていた
自動小銃や、グレネード、ロケット砲と無闇やたらと飛び交っていた。
すでに、何十人の兵士が屍になっていた。
ひどい有様だ、ここは、無理ゲーだな、
任務失敗か
負け戦のていをなしていた。
兵力差がイカンともしがたい。
もう既に、ルシールは動かず、鉄の塊となっていた。
ルシールから降りて、自動小銃を片手に白兵戦を仕掛けた。
予想以上の攻勢に辟易として、これから、どうするか、と悩ます。
「車か『Rago』を見つけて撤退しよう」
引き際を見なければ命が幾つあっても足りない。襲撃者の捕虜にされてみろ、拷問されて無慈悲に殺されるだけだ。
走っていると、途中に件の物が見つかった、そこで、サテラが兵士と何かを話していた、どうやら、件の物を乗るとか、どうかとか聞こえた、ちょうどいい、どうせ、ここをオサラバするんだ、こいつをもらっていこう、今回、こいつにあってから、こんな目にあった。
白い機体目掛けて一目散に近づき搭乗席に乗った、その隙にサテラも搭乗席に乗り込んだ。
周りから降りろと、誰かが、行っているようだが、お構いなしだ、
「この状況が分かっているのか」
つい、怒鳴ってしまった
このまま、ほかっておいても敵に鹵獲されるがオチだ、俺が使ってやるよ。
白い機体の搭乗席に乗ると、操縦席で持ち込みの機動デバイスを差込、個人パーソナルデータIDを認証する、「キュイ━━━━ン!!」と機動モジュールが読み込みを開始する、すると
『パスワードを入力してください』、
「パスワードだぁー、どうする、動かないのか」
何事かと、サテラが割り込んできて、タッチパネルに数字を入力し始める
「パスワード認証完了」
これより機動します、機械的な音声が聞こえた
「なんで、知っている」
「いいから」
サテラは答えず、機体を動かせと促す
「チッ、後で、説明しろよ」
画面が切り替わりいくつかの数字の羅列が流れ始めた、この機体は全天候型のスクリーンをしていた。『デザイア・ドライヴ・システム』の起動確認、搭乗者をレネと認証しました。アルファベットで「スタンバイ」の表示がなされた。機動の為のスイッチを入れて、グリップを握って軽く動かす、それに呼応するように機体が重い腰を上げて動き出した、よし、うまくいった、基本操作は一緒だ、装備を確認して、こいつはなんだ、なんでこんなものが、今は構っている間でもないか
「D.D・Active」
機体の目から目覚めの光りが上がった、そして、レネの目に赤い光が投射された。目の網膜には数字の羅列が映し出され、一瞬視界を遮ったが次の瞬間消えていた。
「なんだ、今のは」
顔を手で覆い、我を忘れた。だが、何事もないのを見ると
「サテラ、操縦席の後ろにいろ、しっかり捕まっていろよ」
サテラを見て言った。頷いたのを見て動かした
「こりゃ、無理だな、あいつどこほっつくり歩いてるんだろ」
戦場では、死屍累々の状態で、こちらの機体も中破までの損害を出していた。
「早く見つけて、逃げる算段をしないと」
そう思っていたら上空から、影がさしたと思ったら、前方の敵機に銃弾を撃ち込み撃破していた
「なんだ、ありゃ、「Rago」が飛んでるだと」
「冗談だろ、「Rago」って飛ぶのか」
「それに、あの機体は、たしか、件の物じゃないか」
「誰が動かしているんだ」
敵機を撃破しているので、味方だと分かるが
考えてる瞬間も、敵をドンドンと撃破する白い機体に恐怖に似た畏怖を感じた。
戦場は一方的な展開を見せた、縦横無尽に空を滑走する機影に銃口が定まらず、逆に、上空から迎撃されて、戦果が大きくなる。白い悪魔が上空を滑走していた。
戦況は引っくり返った、銃の威力も一撃一撃が強力な力となって敵を押し返した。
戦況は悪くなり、襲撃者達は引き始めた
「はは、1機で戦況を変えやがった、何だありゃ、いったい全体」
敵は居なくなり、白い機体は降りてきた、搭乗席から降りる人影見つけた
レネとサテラだった
レネは出てくると、そのまま気絶していた。
レネとサテラは連盟の兵士に囲まれていた。
その後、応援が駆けつけ、件の物が輸送される事と相成った。
そして、俺は
「拘束されるとはな、」
目を覚ますと現状には相棒が隣にいた、相棒から、話を聞き、簡易の部屋に、監禁されていた
「仕方ないだろ、件の物の護衛を任されていたのに、その物でドンパチ始めるたぁ何しに雇ったんだかと、怒りを通り越して呆れるわ」
相棒は少し呆れていた
「俺ら、どうなるかな、軍事裁判にでもなるのか」
「傭兵に裁判もへったくれもない気がするが、どうだろうな、傭兵といっても半民間人だからな」
腕を頭に絡んで寝っ転がった
「ハリスやサテラが掛け合ってくれると、聞いたがどうなるんだろう」
ハアッと溜息をついた。
「そういや、随分とサテラちゃんと仲良くやってたな、惚れたか」
「そうじゃないよ」
「どうだかな」
くくく、と小声で笑っていた
「それに、どうやら結構高い身分の貴族らしいからな、どちらにしてもそれはないよ」
「夢が無いこって」
「ほっとけ」
そうこうして、話を割いていたら、誰かが近づく足音が聞こえた。
「釈放だ」
憲兵が言った
どうやら首の皮一枚、繋がったらしい。
なんでも、あの後、軍事機密だと、銃殺にするべきだとか、物騒な話が舞い上がったらしいが、サテラが止めたらしい。
もし、銃殺するのならば、自分もと言ったとの事、健気だねぇ。涙が出てくるよ。
サテラは貴族としては高い地位で無碍にできなかったそうだ
処罰出来ない代わりに
「これから、私と一緒に本部に来てもらう」
「そこで、テストパイロットとして、白い機体『アリオン』に乗ってもらう」
『アリオン』と聞き返した
件に機体の名前らしい。
「これで、又、一緒にいられるな」
とても、嬉しそうだ
どうやら、この縁はなかなかに切れないらしい。