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2連星  作者: akihide
5/12

5話

闘技場周辺の大衆食堂

「よう、やったな、みてて、ヒヤヒヤする所があったが、心配する事も無かったな、これで食い扶持は繋がった、今日も酒がうまい、勝利の美酒に酔いしれるか。」

相棒は自分の事の様に盛り上がっていた。

「そうかい、それはよかったな、・・・明日にも俺の愛機は試運転できるそうだ、今日は、まあ、楽しんでていいぞ、ふう・・・これで次の依頼ができるな」

「もう仕事の話かよ、もっと自由を楽しもうぜ」

分かっちゃいないぜと手に持つエールを口に含む。

「そうも言ってられん、勝ちはしたが、こんなのすぐに無くなる」

大会優勝の賞金と、賭け金で

なかなかの額だった、機体の整備費やレンタル費を重ねても十分にお釣りがついた。



「おい、そういや聞いたか」

後ろの客席のテーブルから話し声が聞こえた、耳を澄ますと、

「何がだ」

「今回の大会の本選を出てた奴が、途中棄権しただろ」

「ああ、いたなーそんな奴」

・・・4回戦で棄権した軍人崩れか、長い名前だっけ、なんで今頃そんな奴の話を、俺は更に聞く耳をたてた。相棒は、気づいたら色恋沙汰の話をしていたが


「名前何だったかな、へへ、まあいいや、そいつ、軍関係者と話していた所を見かけた奴がいてさ、それとなく耳に入った話だがよ。」

「あん、別に珍しいことでもないだろ、ほら、スカウトとかさ、仕事の依頼かもしれないし、まあ、大会まで棄権しなくても良かったと思うが、急ぎだったんだろ」

「まあ聞けよ、話していた男は軍関係者といっても、貴族連盟の制服を着てたんだよ」

「チッ連盟か、それで」

「話は戻すが、聞く耳立ててたと言ったよな、なんでも・・・」

男は左右を振り向き目の前の男に話した。

「・・・だとさ」

周りの雑音のせいか、男がなぜか小声で話す為、良く聞き取れなかった

肝心な所を小声で話すなよ。舌打ちしたくなった

「おいおい、信じるつもりか、眉唾だろそんなの」

ありえんと大袈裟に被りを振った。

「どうだろうなー、だが、ここら一帯は元々、軍の研究施設があったと聞いたぜ、あながち間違いとは言えんよ・・・」


「おーい、聞いてんのか」


「何がだ」

ハッとなって我に返った,相棒がこちらをうろん気に見ている顔が赤い。

「なんだよ、聞いてなかったのかよ、もう一度言うぞ、街で知り合った踊り子が俺にモーションをかけてきてな・・・」

そこから話が長かった、一通り話を一区切りした所で

「聞いてたよ、たしかジェシーだっけ」

「ちげーよ、モニカちゃんだ、踊り子の、もういい、おい、次に行くぞ、飲み直すー」

相棒はフラつきながら席から立った

ふと見たら、テーブルに所狭しと並べられた酒瓶が空だった、相棒はかなり酔っているらしい、これだけ飲めばそうなるか・・・ここらが潮時か、隣のテーブルではまだ何か話していた、多少気になるが、相棒をこのままにできない。


「宿に帰るぞ」

「まだ、行けるぜ」

はしゃいでいるな、元気だけはいい

「わかった、わかった」

相棒を肩に担ぎながら歩き出した。


宿に帰ったら相棒をベットに寝かせたその頃には、大衆食堂の件の事など等に忘れていた





深夜、某研究施設


深夜、某研究施設内に薄暗い照明から2人の人影がある。その後ろにも幾人かが付き添って歩いていた。

「見つかったか?」

背の高い制服の男が言った、男の腕章には連盟の金色バッジが不釣合いに光っていた。

「報告では地下4階第3フロアにあると聞いていましたがね、ここらに目的の物があるはずですよ。」

もう1人の若い軽薄な男が言った。そこには、大会を途中棄権した男がだった。

周囲を見わらし制服の男に言った。

「調査部の情報など宛にならんぞ」

相手の素性を見て、嫌悪した顔を覗かせた。既に、何度も煮え湯を飲まされていた、ここで件の報告は6箇所目だった。制服の男はエリート組にいたが、幾つかの失敗で出世路線を外れ辺境に置いあれ、雑用の真似事をしていた、制服の男は焦っていた、手柄を貪欲に欲していた。再び本部栄転の為、自分には専用のフロアと大きなテーブルと皮製の椅子が相応しい。自分はまだ見ぬ輝かしい栄光の為に。

それを知ってか、知らずか同行者は気乗りしていないのだが、気づいた素振りも見せなかった。

「さすがに今回はデマじゃ無いでしょ、実際に研究施設がありましたからな。」

中の様子を見て、軽薄な男は、確信めいた物を感じていた。

「だといいがな。」

フンッと鼻を鳴らした。

「ここじゃないですか。」

そこには重厚な大きな扉があった

「間違いない、おい、早く開けろ」

制服の男はズンズンと近づき急かし、軽薄な男にこう言い放った。

「はいはい、わかりましたよ、幸いここのフロアの電源は生きているみたいだし」

柳に風といった具合か、やれやれといった感じの仕草をした

「お目付け役、子守も大変だな」

小声で呟いた。

「何か言ったか」

制服の男は青筋を立てて言った。

電源は生きているが所々照明が破損している為、節電の為かこの場所は暗い、身長にしては痩せ過ぎの男に頼り無さしか見えない。

「いえいえ、お気になさらずに、さあ、早速開けちゃいやそう」


操作盤のタッチパネルを見つけ、暗証ロックを解除に測った

「ピ━━━━!!」と電子音が鳴り響いた

「開きますよ」

轟音と共にゆっくりと重い扉が開いた

パッパッパッと照明が列を並べ明かりを灯した。自動で照明が点くようにセットされているようだ。


そこは大きな空間があった、いくつか、配線やチューブや建材が雑踏に置いてあった。っ電子制御室も脇にあり、機械音が響いた、そこに、奥中央部に目を向き、それはあった、2人は扉の中の大きなシートで覆いかぶさっている物に目を向けた。まるで、玉座そこにあるといわせんばかりにそれは鎮座していた。

シートの折り合い具合から大きな硬質の物であると伺える。

シートを幾人かでめくると、





これが『月の遺産』か。



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