4話
今日は、準決勝、決勝と連戦になる
会場に来てみると、周りが騒がしい。
一足先に会場に来ていた相棒がスタッフに聴きに行ってくれた、こっちに戻って来る相棒に聞いてみると
「棄権だと」
「どうゆう事だ、」
「なんでも、急に棄権すると言ってな、お前の対戦相手が、ここのスタッフの引き止めの甲斐無く居なくなってな、払い戻しにてんやわんやしているよ」
賭博受付では大勢の人が溢れていた、列を並ばず溢れていた。
「あーん、どうなるんだ」
「心配するな、繰り上げて、お前は5回戦に行くとさ、だが惜しい事したなー。4回戦もお前に賭けていたのに」
儲け損なったぜ、と顔に書いて見て取れた。
「そうかい、ヒヤヒヤさせてくれるぜ、こっちは生活が掛かってるんだからな、まあいいか、1戦空いたな、多少予定は狂ったがそういう事もあるさ」
特に気にした素振りを見せず答えた。
「5回戦か、準備はできてるんだろ」
「ああ、さっき来る途中,整備ドックに寄ったら,整備員にから状態は良いだとさ,俺に賭けてるから頑張れよだっけ。いい気なもんだぜ。まあ昨日は速攻で決めたから、特に損傷箇所は無かったからな、相手に恵まれたよ、モニターが一部齟齬を起こして機能してなかったけどな、次の試合には直ってるってよ。」
「任せたぜ、応援してるからな、俺たちの明日の為に」
手に持つ賭け札を見て
「わかってるよ、俺たちの明日の為に」
お互いの拳を重ね合わせた。
4回戦は不戦勝で繰り上げて5回戦(決勝戦)はまもなく始まろうとしていた
「はあー、暇人どもが、俺を賭けの対象にしやがって」
操縦席で持ち込みの機動デバイスを差込、個人パーソナルデータIDを認証する、「キュイ━━━━ン!!」と機動モジュールが読み込みを開始する、画面が切り替わりいくつかの数字の羅列が流れ始めた、アルファベットで「スタンバイ」の表示がなされた。機動の為のスイッチを入れて、グリップを握って軽く動かす、それに呼応するように機体が重い腰を上げて動き出した、
「Active」
画面上では、電子器があちこちに文字の羅列が刻んでいた
「うん、いい調子だ、このままちゃんと動いててくれよ」
モニターを軽く叩いた、しょせん、借り物故、少し心配だったが杞憂だった。
会場では、ファンファーレが鳴り両者が舞台に上がった
「さあ、ゲームの開始だ」
解説席から対戦者達の自己紹介がなされた
5回戦は対戦相手はミック選手と『ルシール』とレネ選手の『レジャックス』だ
ミック選手は、前回のチャンピオンで過去にも、5回の優勝をさらっています。その戦いぶりは、ここまで、手数の多い武器で相手を牽制し、翻弄するタイプ。相手の懐ろに潜り込んでの攻め方もあります、ルシールは機動性能がありますからねー
一方のレネ選手はこちらも、手数の多い武器で相手を牽制し、翻弄しています、機先を取って相手を倒しています、なかなかに両者似たもの同士の対戦となりました、1回戦からここまで勝ち方を見るに両者はほぼ互角といった所か、
尚、『レジャックス』は我が闘技場の事業主の持ち物で、現在絶賛レンタルの貸出をしています、次回以降も貸し出す予定の為、ご利用の時は総合受付に申し込みください、適正価格にてレンタルご応募お待ちしております。
「おいおい、売り込みかよ、商売熱心なこって、だから、安く借りられたのか、こちらの腕を知っているらしいな。宣伝効果を狙ったか。」
放送を聞き、少し呆れてしまった、気を引き締め直して、『レジャックス』を動かした。
場内アナウンスからグランウド全域に声が聞こえた
「当闘技場では、コクピットを狙うのは禁止です、相手を死傷した場合は、反則負けとします、とは言え、降参させるか、相手を戦闘不能する事が義務付けられています、又、審判が勝敗が決まった時も上げさせて頂きます、両者同意の上、始めさせていただきます。」
「そうかい、相変わらずの形式的な謳い文句はいつものことだ」
こうは言うが実際の所、死者は多い、今回の大会でも少なからず死傷者は出ていた、それはそうだ、全長約15mのこんなデカ物同士がぶつかり合うんだ、銃弾も軍がテスト用に開発された、特殊プラスチック弾を採用している、だが実弾よりは威力はないが、何度も当たれば装甲は破壊される、コクピットも硬い部分だが限度があるからな。
後、大会仕様で全6箇所に当たり判定があり、機体の所々に設置されている、そこに当たると、ダメージ判定により、その場所が機能停止する様にセットされていた。
電光掲示板をみたら、オッズでは7対3とやや、ミック選手の方が上だ
年齢を見て、ミックを賭けた奴が多い、相棒が言ってたな、前回優勝者で何度もデュエル優勝した経験からの指標だ、こっちは初参加だし、まだ、絶賛10代だからな俺は、
「決勝戦、デュエル開始です」
獰猛な笑みを浮かべて
「さあ、ゲームの開始だ」
スタートを切って先制をかける事にした。しょっぱなからブースターをフルスロットルで右側に旋回しながら右腕に銃口を掲げて、相手を照準を合わせて撃つ
ハンドガンがタンタンタンとけたましい銃撃音が響き渡る。弾丸の落橋も地面に落ちた、それをルシールは後方に跳躍して回避する
そして、こちらに撃ち返してきた、慌てて、物陰に隠れる。闘技場内には、あらかじめいくつかのレンガの建物、障壁や鉄のバリケードの板が設置されている、市街戦を模した形式を取っていた。
いくつかはカバーできるが何度も撃たれれば破壊される。さあどうするかと思案していると、何かがこちら側に上空に投げ放たれていた。
「チッ、グレネードか」
咄嗟に遮蔽物から離れると、キンッと音がして爆音が響き渡った
「BooooooooooooooN」
スモークグレネードだった、煙で周囲が見えなくなった、幾つかのモニターの見渡した。レーダーには煙が邪魔をして映像に映らない。
「どこにいった、視界からルシールの姿が見えない」
遮蔽物に時折隠れながら相手の出方を待つ、そして時折、順番に移動して、相手を探す
視えない視界から煙を切り裂く銃弾と銃撃音が聞こえた
足裏のキャスターが高回転で「キュルキュル」と音がなる。電磁動で両足に装着されているブースターも唸りを上げていた。手探りにムービングして、避けて遮蔽物に身を隠す為、探す。
足回りに、ピンと糸のようなものに引っかかった、
横から突然、大きな鉄の塊がこっちにめがけて、体当たりしてくる
「トラップか」
すぐに横に逃げた、観客席から怒号やら何やら喧騒が聞こえた。
闘技場内グラウンドには観客を盛り上げるために、そこらかしこにトラップが引いている
「あぶねー、当たれば一発でお釈迦になる所だった。」
肝が冷えるぜまったくと、毒づいた。
モニターから『Vi-Vi-Vi━━━━!!』とけたましい音が聞こえる、ロック音された、すぐに横にあるバリケードに隠れる、
通り過ぎた頃には、「ガガガガガガガガッ・・・」と、けたましい銃撃音の荒らしだった、ガトリング砲か、ルシールの肩部複座にはそれが装着していた
あそこか、こちらも撃ち返す、相手もすぐに遮蔽物に隠れてしまった
お互いに撃ち合いを繰り返す、お互い居場所を確認し、隠れては撃ち、隠れては撃ちの繰り返す。
「さすがにやるな、火力や自力(機体性能)は向こうが上だし、手出しができんな」
この遮蔽物もそろそろ持たなくなって来た。、他の遮へい物に移動しないとな、それにしても、埒があかんなー、あんなもん狙い撃ちされたら人溜まりもないな、いくら特殊プラスチック弾とはコクピットに何度も当たればこちらの身が危ないな、やはり接近戦に持ち込むしかないなこれは、こちらからアタックでもするか。
・・・とは言え、なにかひと工夫いるか、下手を打って、蜂の巣になっても困るし、思案する、モニター越しに、周囲を見渡すとそれを見つけ瞬時に一計を案じ、
「いけるか」
一度この場から後方に離れ、ルシールを誘い出す
ルシールは後方に下がる俺を見て見失わないように、こちらに接敵する。
ルシールは動くたびに獰猛な笑みを浮かべるかの如き唸りを上げていた
ルシールを目標の地点まで誘い出したが、途中軽微の破損をする、左腕のダメージ判定のランプが破損して左腕が機能停止していた、ダラリと左腕が垂れ下がった、が動作に支障が無い為そのまま気にしず
俺は、建物上空をハンドガンで撃ち鳴らした、相手は警戒しながら周囲の遮蔽物に入ると、
「そこだ」
今度は相手前方の地面に撃ち鳴らした、すると、地面が爆発した
地面に設置型の地雷があり、そこを撃ち抜いたのだ
ルシールはそれに反応できずに、右足を損傷する、それに付け込んで接敵にアタックをかけた。
ルシールも接近させまいと応戦するが、遅く、お互いに触れられる場所まで来ていた。
右腕にはダガーナイフを持っていた、そしてダガーナイフをルシールの胸に突き刺し機能停止を狙った、よけられはしたが右上腕に当たり、ダガーナイフを離し、そのまま、右上腕で殴りかかった。顔面にヒットし、体勢が崩れて、ルシールが倒れた。
辺りは砂煙が舞った、
地面に倒れたルシールは「ギシギシ」と音を立てて、無理やりでも立ち上がろうとするが
こちらは、それを見逃さないと、ルシールのコクピットに銃口を向けて
「ゲームセットだ」
それと共に、観客席から爆音な歓声が聞こえた
「試合終了━━━━!!、勝者レネ選手の『レジャックス』です」
再び歓声が聞こえた