3話
闘技場
元は、重火器や自走戦車などの性能テストに使われた。近年では「Rago」が主流か、ただっ広い軍事演習場を改装したものだ。
旧連合軍が大戦終了と共に撤退し、いくつか放棄された、戦略的価値は失い、更に維持費が馬鹿にならなかったんだろう、ここもその1つだ、そこに、打ち捨てられた物を民間の誰かが整備した所を見世物の施設としたのが、この円形闘技場だ。
賭け賭博、無法地帯、こんな所だ、ここの政府も半ば黙認していた。戦後復興でやる事は多くこんな所後回しにされていた、興業をした。用は敗残処理だ
闘技場を映す照明やカメラは付いているが、ただそれだけだ。
簡易の観客席から怒号や地響きの様な騒ぎが聞こえた。発泡音も聞こえたが、どこかのバカが酔っ払ってハンドガンで上空に撃っているんだろう。闘技場のフェンスには色取り取りの刺繍やポスター、観客の持ち込みで貼り付けられていた。
闘技場のグラウンドでは縦横無尽に動く物があった、そして2体の機体が覆いかぶさるくらい交差してぶつかり合い、片方がそのまま倒れた。
「試合終了、4回戦はレネ選手の『レジャックス』の勝利です。」
観客席から又、怒号や紙吹雪や賞賛な声が聞こえた。
その中にもやたらはしゃぐ奴が目についた、相手を見たら相棒だった。
闘技場内、機体安置ドックに鎮座させて機体から降りた、簡単な整備はここのスタッフがやってくれるので指示だけ出して少し休む事にした
闘技場内の選手控え室の中を歩いていると、相棒が肩を首にかけてきた
「やったじゃないか、いける、いける、このまま次も行けるって、お前に掛けてて良かったよ、イヤー儲かって仕方ないぜ」
やけに嬉しそうだ、馴れ馴れしいと、首に掛けてきた手を振りほどき、
ヘルメットを脱いで
「フゥー、こっちの苦労も知らないで」
視線を顔から手を見た、相棒の手には賭け札が見て取れた
「しょうがないだろ、お前の愛機の修繕費が予想以上で、俺達現在、金欠なんだからよ、」
・・・そういう事だ、予想よりも修繕費が掛かってしまい、良い食い扶持を稼ぐ為に俺は試合に出ていた
当然、愛機は修理中で、機体が無いわけで、ここのをレンタルした。
ピンクの豚じゃない、ピンクの豚はレンタルした幾人から不評を買い、大きな横断幕を持って置物になっていた。
その為、事業主が新しく機体をどっかから持ってきたらしい
『レジャックス』は乗ってみた所、パワーが有り、ほどほど動くし、搭乗席は臭くなかった、間借りとはいえなかなかの物だろう、一度だけ見た、興業の事業主は恰幅がいいでっぷりとしたおっさんを思い浮かべた。
ふと次は・・・
「次の対戦相手誰だっけ、」
相棒はトーナメント表をみて
「次か、あ〜っと知らん奴だな、プロフィールを見るとどうやら元軍人だとさ、何なに、名前は『ハルコミコフ・ヨザフ・ゴンザ・フロネス・スターレスク』っていうのか、長い名前だな、ここまで来てるんだ、そこそこやるんじゃないか、いかにも歴戦の勇士みたいに。」
「へぇー、戦争が終わってから溢れちまった奴か、それとも軍に馴染めず野良になったか、まあ消耗品と言っても必要以上にあってもしょうがないからな、日がな、剣闘士の真似事もしてるんだろう。」
これには、ワケがある、大戦で老若男女の多くが散った、軍人もそうだ、がそれでも多く政府は賄いきれずにいた、軍は必要な人材以外は、引き止めも無しに野にはなっている、大量の失業者がでた、背に腹は代えられず、多くが傭兵になったり、テロリストに落ちたりと世界中に溢れた、建築や土木と農業とスキルを活かして一定の需要があったが馴染めなかった者はいた、それに今更、武器を捨てペンやくわをを持てだとさ、学を学ぶのが遅い奴が大勢いた、雛が鶏になってから今更、勉学を学べとはな、
ここら一帯の政府も一部テロリストと通じているしな、ほどほどの賄賂でももらっているんだろう、役人の汚職は今に始まったことじゃない、半無法地帯、政府も合って無いような所だ、こんな所だ、良くある話さ、ここの闘技場の商いも幾らか献金(賄賂と言う)して見て見ぬふりをされていた。云々と・・・。
まあ、そのおかげで、今はこうやって食い扶持を稼いでいる、俺達も似た様な物だな