2話
東方交易キャンプ
砂漠の民は月夜の明かりを頼りにオアシスを求めて、砂漠を旅をして来た。・・・。荒野の砂漠に点在したオアシスは、旅の疲れを癒す清らかな水を頼りにする。水や食糧、果てはミサイルから戦車まで、いや今は『Rago』が主流か。
また、さまざまな地域や国々の文化や物品、ありとあらゆる職業の人々が行き交い、次への目的地へと向かうあらたな旅立ちのために情報を交換し、お互いが持っている知識や技術を互いに切磋琢磨しあう、ここら一帯の『情報最先端の場』でもあった・・・。
時の経過と共に風景は変化があれど、オアシスある所に人が集まる、ここはその1つだ。
キャンプと言っても、ここらでは街と言える程、人がごった返していた。改装に次ぐ改装で街へと変貌させたのだ。
護衛はととこうりもなく以来完了と共に、現金をキャッシュで貰いキャラバン隊と別れた。
相棒は終わったとばかりにいつも間にか姿が見えなかった、現金なやつだ。
こちらは早速と整備工場へと来ていた。それから‥‥
「また、無茶な使い方しやがって。治す方の身になれよ。」
機体の状態を点検し終えたと思ったら開口一番にこれだ。
褐色肌のむさくるしい大男が大声で騒ぐ
「そういうな、相手は旧式の『レイコップ』とはいえ8体1だったんだ、やらなきゃやられる。」
相棒は集団の護衛の為、遠くから援護射撃してくれたとはいえ戦闘は数だからな。
無茶な動作や弾幕でそこらかしこに軽微の被弾をしていた。
色々カスタマイズして強化しているが機体性能以上の事をすると機体にガタが着きやすい。
俺の愛機も同時期に開発された旧式『ルシール』だが、大戦中期の量産機だ。扱いが難しいが、燃費が良いし機動性能ほどほどに動くし多少壊れても、動く。
互換性もあるから、色々弄れて一時期ここら一帯の戦争時の主力機として使われた。
だが、戦争時なのかどんどん新しい機体を開発する事や、やはり扱いが難しいのがネックでしばらくすると、EU圏、欧米諸国などは新しい機体にすり替わったが、ここらでは今でもベテランの搭乗者の多くが使っていた。そのせいか、市場になかなか出回らない。
機体が運良く見つけても、損傷が激しくてクズ鉄に変わっていた。良い状態の奴が見つけた時は、儲けもんだったな。大枚はたいたが・・・
大男は頭の髪を掻きむしって、点検した書類を見た、どうするかと悩ましげに、今後の機体整備の方針をラボの整備班に話をした。
なんだかんだで機体整備に関しては、面倒見が良いやつだ。任せて大丈夫だろう。
キャンプと言っても多岐に渡る、食品から兵器までなんでも揃っていた、兵器は軍の払い下げや、大戦の残骸から発掘したものまである。
どこから持ってきたのかとか、粗悪品をチラホラ見かけた、この辺りは激戦区で各兵器類の残骸や物資が砂漠にのばやしに放置されていた。
そこに使える武器や部品があれば整備して使いまわしていた。露天商が雑多に部品が置いてあった。
工房内はそこらかしこに機械音や振動音が聞こえる、鉄を切り裂く音、溶接する音、カンカンカンっと打撃音と周囲の整備員はせわしく働いていた
いくつかの整備工場の工房の中にそれはあった
露店のあちこちを見て廻ってると、
「あれは連盟の軍用ヘリか。めずらしいなこんなところに来るなんて」
上空を見上げて相棒が言った。パラパラパラッと音が反響した。場所や方角を見て、ここの外れの滑走路に向かっているのだろう。
軍用ヘリの上空を旋回して着陸準備をして下降するのが見て取れた。軍用ヘリは建物物陰に隠れて見えなくなった。
「そうだな、まあ資質調査じゃないか、この所よく見かけるな、お前も護衛中に見かけただろ、昨今の軍需学複合体は今日も大忙しか」
「俺達には縁無いことだ、気にするな、それより昼間っから酒臭いぞ、どれだけ飲んだ」
「いいんだよ、豊穣の女神に捧げてるんだ、『我ら、今宵もあなた様の恩恵にあって云々‥てな』ついでにおこぼれを預かっているのさ」
「またよくわからんことをペラペラと、まあいい、機体整備に時間が掛かりそうだからな、とはいえ次の仕事までに路銀を使い果たすなよ、泣いてせびられても困るからな」
「へいへい」
ホントにわかっているのかなこいつは、相棒の無頓着さに癖へきしたが、気分を変えることにした
次の日
「なあ、それよりエントリーするのか」
相棒が突然聞いてきた。
「何をだ」
「何をって、たしか今日までだろ、デュエルのエントリーが」
『Rago』デュエル
その名の通り、『Rago』で1体1の試合をする事だ。
「ああ、酒場で騒いでたな、エントリーといっても機体が無い」
「あぁ、どうしたんだよ、自慢の愛機は」
「整備中だ」
「腕だけだろ、取り替えりゃどうとでもなるんじゃないのか、整備中ってそんなに悪かったのか」
「見た目じゃ分からんが、見るもんが見れば悪いとわかるとさ、見た目は分からんけど、他の所も細部結構がたが来ていたんだよ、この際だから総点検してもらってる、早くても一週は掛かるとさ」
工房にいる大男を思い浮かべた、整備班に怒鳴り散らして働かしている事だろう。
「なんだよ、出ると思って賭けようとしていたのに、」
「悪かったな、儲け損して」
元々出るつもりなかったが
「まったくだ、お前が出るなら全額賭けようとしたのに」
負ける事を想定しないようにあいずちを打った
「まてよ、たしか機体は幾らかでレンタルできたよな、前に会場内で見かけたぞ、あのピンク色の、テカテカしてて、闘技場の雰囲気を壊している奴、まるでカモにしてくれと言ってるよな、それで出ろよ」
相棒はまるで名案とばかりはやし立てる。
「やめとく、カラーリングもそうだが、前に一度、仲間内で会ってる時にデュエルに出場する奴がいてな、何を思ったか、闘技場の借物の機体で出るそうだ、それで何人かが試しにそいつに搭乗したわけさ、俺もそのうちの1人でな、。
機体乗って知ったけど、思ったより状態が悪いし、パワーもない、変な癖がついてやりにくい、整備はされている様だが、正直、機体性能以下で思いどうりにいかん」
それに、言い淀んで
「操縦席が臭い、乗ってて気持ち悪くなる」
「くくく、そうか臭いか、ピンクの豚か、そりゃ無理だ。俺でもゴメンだわ」
相棒を見て、憮然とした顔をして俺は言った。
「それより、お前が出ればいいだろ、ほとんど無傷だし、良い線行くと思うがな」
「ピンクの豚を、怒るなって、俺の「クローム」の事か、俺はいいの、観客席から見てる方が楽しいし」
じゃあ、この話は無しだな。まだ、何か相棒が話していたが適当に相槌を打ち、特に気を止めなかった。
2時間後、闘技場の大会のエントリー受付に寄っている俺がいた、道すがら、預けてきた愛機の工房に寄って、作業状況を確認に来ていた。そして考えを変えねばならなくなった。
まさか、こうなるとは予想しなかった・・・