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ある巻き込まれ召喚者の思い出

作者: 紅の目

よぉ、親友。

そっちで元気にやってるか?

お前はかみさんが多いから今でも尻に敷かれてんのかねぇ?

まぁいいや、俺は元気だぜ。

ついでにおれもレアアイテム『童帝』を使用するイベントを昨晩体験したよ。

長かったさ。

お前が死んでもう10年だ。

世は事もなし、お前の息子がちゃんと治めているから大丈夫だぜ。


・・・しかし、俺はなんでこんなことになっちまったのか、頭をかかえてぇよ!


なぁ親友、俺はいつから狙われてたんだろうなぁ・・・




そうそう、お前との出会いは中学校のときに一緒のクラスになって席がたまたま隣になったことだったな。

お前は明るくて妙にまっすぐで馬鹿だったな。

うん、お前は勇者にぴったりな性格だったよ。

そしてお前を通じてというか、お前にアタックしまくる織田姉妹とも出会ったっけな。

織田姉妹は二人そろってお前にアタックしているのに、お前は全くきづかなかったよな。

ふつうはクリスマスやバレンタインのイベントごとに一緒にいたりチョコをもらったりすればきづくものなんだが・・・

お前は全く気づかない朴念仁だった。

おかげで中学の間ずっと織田姉妹の相談なんかを受けたもんだ。

二人とも美人だから変な誤解が周りに生まれないようにするのにドンだけ苦労したかわかってるか?

なにせ誤解が発生=俺の死とか理不尽すぎるだろ!

まあいいや、今思えばこの時が一番平穏で楽しい時期だったと思うよ。

お前だってそう思うだろ?



高校にあがってすぐだったよな?

俺達が異世界に召喚されたのは・・・


急にお前の下が光って魔方陣が現れたかと思うと、織田姉妹がお前にくっつき、俺は呆然としたまま召喚されちまったんだよな。

まったく困ったもんだぜ。

お前の体質的にいろいろ巻き込まれたが、まさか異世界召喚に巻き込まれるとはな?

おかげで平穏な人生設計がパーだったんだぜ?

ま、一番困ったのは異世界召喚特典がまさかの盗賊系とはな・・・

お前達はまさに主人公の勇者や賢者、弓士でしかも才能に恵まれてたよな?

まさかあそこまで力に差が出るとは思いもよらなかったぜよ。


ま、それも鍛えていけば確実に強くなれたんだからいいけど、お前にも教えなかったんだが俺、実は賢者になったんだぜ?


旅が終わって15年ぐらいたってからだけどな・・・


旅立ってからもいろいろあったなぁ・・・

俺達を召喚した姫さんが付いて来たり、前衛の女戦士を見つけたりしてなぁ。

そしてお前が無自覚に堕すんだよな。

その後は熾烈なお前の争奪戦が始まるんだよ。

でもお前はこちらに来てからさらに朴念仁に磨きがかかったよな。

何でだ?

いまでも不思議に思ってるよ。

行く先々で女を堕としまくりやがって・・・

まぁそれが後にお前達の身を助けるんだから、世の中何が幸いするかわからないもんだ。



俺はこのころやっとレベルが上がって密偵として動き始めたんだよな。

お前の得物として不正なことしてる貴族の情報を集めたり、夜盗の場所を探してその旅路に組み込んだり大変だったんだぜ?

そうやって俺も各地に情報網を広げ、お前達は世直しをしながら魔王城へ向かったわけだ。


まぁ魔王領で快適に旅ができたのは俺のおかげなんだぜ?

普通、人間のみのPTが魔王領で宿屋なんかとまれねぇよ。

お前はさも当たり前に泊まってたがな・・・

ちなみに協力者は魔族側の和平派の方々だ。

あの当時、魔王さんが暴走してて武闘派を抑えれないということで影ながら協力してくれてたんだ。

そのおかげで俺は魔王城の中に潜入していろいろ探れたんだが、そのときに出会っちまったんだよなぁ・・・


魔王に。




あれは満月の夜だったな。

一人魔王城へ潜入して内情を探っていたんだが、ある部屋にたどり着いちまったんだ。

そこには5歳くらいの女の子がいてなぁ。

何事かと思った瞬間、背後に魔王さんが居たんだよ。


『俺死んだ』


そう思ったね。

そしたら魔王さんは俺を手招きしながら部屋に入ってな。

一緒のテーブルを囲んでお茶をしたんだよ。

今でも覚えてる、アレは死を覚悟した母親の目だった。

そして俺に真実を語ってくれたんだ・・・

俺はあのときほど密偵だったことを恨んだことは無かったね。

散々俺の前で仲睦まじい親子の情景を見せられてさ、女の子が遊びつかれて寝たタイミングでこういいやがったんだぜ?


『私は邪神に支配されているの。今は創生の女神の残滓で正気に戻っているけど、すぐに狂ってしまうわ。だから私を殺して?この子に危害を加える前に!』


創生の女神の残滓・・・

それは満月の夜のことらしい。

つまりこの親子の語らいは満月の夜の間だけの奇跡だったらしい。

全くクソな話だぜ。

幸せそうだった母親を、その娘を助ける為に殺してくれと頼まれる、どこの悲劇の主人公だよ!

こういうのは親友ががんばってハッピーエンドにするんだろ?

そう思ってたさ。

俺も一縷の望みを託していろいろ調べて回ったが無理だった。

邪神に支配されると死以外で開放されることは無い。

それを知ったとき、俺は絶望したね。

俺はもはや魔王さんの望みを叶えるしかないと悟ったのさ。


だから最終決戦は満月の夜にした。


おれも葛藤したさ。

だからこそ、親子の最後の時を過ごさせて、そして弱体化している魔王さんを打つべく満月の夜にしたのさ。

俺は密偵、仲間に有利な情報と戦場を準備するのが仕事なんだ。


魔王との決戦、親友は余裕を持って闘ってたな。

そして最後のとき、俺はわがままを言った。


『親友、ここだけは俺に任せてくれ。これは俺の義務なんだ。』


そう言った俺に周りの反対を押し切って親友は俺に最後の一撃を譲ってくれた。

さすがは俺の親友、これはお前の仕事じゃない。

母親を殺すのは汚れである俺の仕事だ。


『すまねぇな。お前の命は俺がもらう』


そういって母親の心臓に愛用の短剣を付きたてようとしたとき、


『ふふっ、貴方なら私の娘を託せるわ。ありがとう、私の勇者・・・』


そして俺は、母親の心臓に、短剣を突き立てた・・・


クソが!

親友達は勝利に沸いているがそうは問屋が卸さなかったようだ。



邪神、奴が母親の命を糧に復活しやがった。


どこぞのRPGのようにラスボスは2段構えだ。

一応満月の光で弱体化しているらしいが、それでも強かった。

勇者達もかなりの損耗を強いられながら、最後は俺の親友である勇者の一撃で邪神は滅びた・・・


やるせねぇ・・・

こんなクソ邪神にあんな仲のいい親子がもてあそばれた。

それを知っているのは俺と娘の御付だけだ、娘は理解していなかったろう。


親友にも、生涯打ち明けることはできなかったなぁ・・・


これで俺の冒険は終わった・・・

と、行けば物語としては上々なんだろうが、俺達は生きている以上その先があったんだわ。

今思い出してもむなくそわりぃ。


俺は魔王さんに託された娘、『リリィ』とその御付のメイド『アリサ』を魔王城から連れ出した。

まぁ勇者PTには情報収集のため別行動をするとが多々あったため問題なく一緒に別行動してたわけだ。

リリィとは最初にあった日から次の満月まで頻繁に会っていたのでなついてくれている。

アリサも魔王さんからの言いつけで俺を信用しているようだ。

いつかは打ちあけねぇとな・・・



で、帰路だがそこそこ時間がかかるんだよな。

と、俺はそう細工した。

いままで7年、魔王討伐の旅をしたのだ。

凱旋が遅れてもいいだろうと、物見遊山の旅を提案し了承された。



で、数日の後俺は勇者PTの女性メンバーを全員呼び出した。

この時親友は俺の眠り薬でぐっすり寝ていた。

理由は俺が手に入れた情報である。

考えたくは無いが、勇者PTの存在価値が人を狂わせたのだ。


『こんな夜更けに何の用ですの?』


姫様が代表して俺に尋ねてきた。

無理も無い。

俺にそこそこの信頼を寄せているが、異性が女性を呼び出したら警戒するものである。

織田姉妹以外はそんな感じだ。

なので俺は手短に話した。


『お前ら全員、いや姫様以外になるか。このまま帰国すると勇者から引き離されるぞ』


そう、国による勇者取り込み工作である。

国王は勇者と姫様を結婚させて跡継ぎにしようと画策しているのだが、その周りのクズ貴族がいろいろ企んでいたのだ。

端的に言うと、勇者は飼い殺しで織田姉は公爵の妾に。

織田妹は筆頭宮廷魔術師の妾にして人間兵器扱い、女戦士は騎士団長の嫁といった風に動いているらしい。

国家的には正しいのだろうけど、さすがに平和を取り戻した勇者達にする仕打ちではないだろう。

ちなみに俺には暗殺指令が出ていた。

原因は俺の持っている裏情報が危険すぎるということだ。


ということでそんな情報が入ってきた以上、こちらも黙ってはいられないということで女衆を集めたわけだ。


『とまぁこんな感じでクズ貴族達は動いている。お前らとしてはどうしたい?』


俺の情報にみんな唖然としている。

特に織田姉妹はレイプ目だった。


『そんなの認められませんわ!確かに私たちは鞘当をしていますけど、それでも仲間が不幸になるところなんて見たくありません!』


さすがは俺らの姫様、格が違うね。

まぁ俺も策が無く集めたわけではない。

親友、すまんな。

みんなの平穏のため死んでくれ。


『俺に策がある』


そういうと、意見を出し合っていたみんなが俺の方をむいた。


『ここに薬が2種類ある。片方を親友に飲ませて、もう片方をあんた達が飲めば俺の策が成る』


『その薬の効果はなんなのかしら?』


『・・・・・・精力剤と媚薬排卵剤だ』


そう、これらは昔成敗したクズ貴族の持ち物だった。

人妻を妊娠させるのが趣味という、まさに女の敵である奴だったが、その押収品がこんなところで役に立とうとは・・・


『なっ?!』


みんなが動揺しているが俺は続ける。


『もうお前達の幸せの道は親友のハーレム要員になるしか幸せになれねぇよ。俺の親友は神級の朴念仁だ。それに誰か一人が選ばれようもんならそれ以外の奴はさっきいったとおりになる』


『・・・』


『お前ら仲良く親友を襲え。そして同時に子供をもうけろ。それで後は俺と親友で何とかする』


みんな、沈黙している。

だがそんな沈黙を破ったのは姫様だった。


『なるほど、わかりましたわ。その策が最善なのでしょうね。皆さん、明日の夜に決行します。勇者と添い遂げたいものは薬を飲んで参加しなさい』


そういって姫様は薬のビンを手に戻っていった。

さすが王族、俺の策に気が付いてのってきた。

織田姉妹には悪いとおもうが、これがお前達に残された幸せへの道だ。

納得してくれ・・・


そうこうしているうちにみんな薬を手に戻っていった。

やっぱ親友はもてるねぇ・・・

俺は最後の娘がいなくなったのを確認すると、酒を煽って眠りに付いた。


そして翌日は町一番の宿に泊まってもらい、俺はリリィ達と一緒に別の宿に泊まった。

ほら内の娘に悪影響が出たら困るからな。


で、次の日にお前に俺は殴られたわけだ。

仕方なかったとはいえ、全員を焚き付けて強制ハーレムにしたんだからしかたない。

でも良かっただろ?

あれだけの器量良しに囲まれての初体験だ。

おまえ、ハーレム物のエロ本が好きだったし、良かったじゃねぇか。


そうして妊娠が発覚するまでは地方をぶらぶらしつつ、俺はお前が各地で落した女性達と連携をとっていたわけだ。

その旅路は俺と義娘になったリリィとお付のアリサで各地を回った。

おかげでリリィは俺にお父さんと呼ぶようになったし、アリサは俺のことをご主人様と呼ぶようになった。

やっと認めてもらえてうれしかったもんだ。


月日もたち俺の準備が終わった段階でついにお前の子供達が生まれたんだよな。

そして作戦決行したわけだ。


民にはうわさで親友が聖女達と結婚し子供をなした情報を流し、貴族階級にはお前が落した女達を通じて味方を増やした。

いやはや、いつの世でも女の情報網と人脈は侮れないわ・・・

そして晴れて王都に凱旋し、王城まで親友と嫁さんと子供達でパレードだ。

これでさすがにクズ貴族達は手が出せなくなった。

表向きはだけどな・・・


そして親友に表の守護を任せ、俺は闇に沈んだんだよなぁ・・・


これからは親友が王となり国を治めるんだ。

それに邪魔なクズな奴らは嫁さんと子供を狙って来た。

俺はそいつらを闇に葬りまくったわけだ。

おかげで顔と名前が売れまくったから密偵は廃業するしかなかったけどな・・・



そして俺が姿を消したのもこの時だった。

この時俺達はすでに30歳だったな。

なのに俺はぜんぜん年をとらなかった・・・

リリィも成長が遅いのかまだまだ7歳ぐらいの身長だ。

まぁリリィは魔族だから成長が遅いのはわかるが、俺は何でだと疑問に思ってアリサに確認したんだよ・・・

そしたら、


「ご主人様はいまほぼ不老ですよ?私が魔王様から預けられた『魔王の生き血』を飲んでいただきましたから。」


なんて爆弾発言しやがったんだよ!

問いただすとリリィが成人するまで寿命が持たないことを心配していた魔王さんの指示だったんだと。

あれか?あんときか?!

ちょっと仕事でミスって大怪我したときに飲まされた特性ポーションがやけに生臭かったけどすぐに傷が塞がったんだよな!


はぁはぁ・・・

ま、とにかくこれを機に俺は完全に表の世界から隠居したわけだ。

だって不老の人間なんて実験動物に狙われるだけだしな。


片田舎に隠居して時たまお前達に会いに行く、そんな日々をすごして娘のリリィの成長を見守る。

やっと訪れた平穏な日々・・・

そんなこんなで50年経った。

そして親友も織田姉妹も姫さんたちも逝っちまった。

それでも俺は生きている。


そしてついにリリィも成人を迎えた。

それが昨日のことだ。


成人を祝ってやろうと俺も張り切って狩りで得物を、アリサも料理を作ってそれを肴に秘蔵のワインをあけたんだ。

このワインはアリサが魔王城から持ち出してきた物で、魔王さんがリリィの為にと作った特別性らしい。

そして3人で盛大にリリィの成人を祝った・・・


そう、そしてその夜気が付くと俺はベッドに四肢を固定されていた。

ベットの脇には下着姿で立っている我娘にその傍にアリサ・・・


「お父さん。この時をずっと待ってまっていたんだよ?」


「なっなにを!」


「これでやっとお父さんを私だけの人にできるんだ。ふふっ、こんなにいきらせちゃって可愛い!」


そういって俺の下半身をまさぐる娘・・・


「ちょ!まっ!」


「ダメ、もう待たない。だって、ずっと待ってたんだから・・・」


そう言いながら俺の上にまたがる。


「それにお母さんの特性ワインを飲んだんだから、もう後には引けないよ?

 だってこれは魔王誕生の儀式でもあるんだから・・・」

「その通りです。魔王の生き血と魔王の魔力が溶け込んだワイン、そして魔王の血筋と交わる・・・

 これをもって正式に貴方は次代の魔王となります。

 さあお嬢様、私もお手伝いいたしますのでご主人様へ全てを捧げましょう」

「そうね。じゃあお父さんちゃんと私の全てを受け取ってね?」


そういって俺のものを手に取り導いてゆく娘・・・


「やっやめてぇぇぇ!」


「大丈夫だよ?天井のしみを数えている間でも終わらないくらい楽しませてあげるから」


そして俺は意識を失うまでリリィとアリサに絞りとられた・・・




そして朝になり目が覚めた・・・


なぁ親友、今俺の隣に最愛の娘が裸で寝てるんだがどうしたらいいと思う?

なんて物思いにふけっていると娘が目を覚ましたみたいだ。


「ん~、おはよう旦那様!これで今日から旦那様は魔王だよ!」


ほんとどうしたらいいと思う?

なあ親友!!

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― 新着の感想 ―
[一言] 親友をハーレム状態にしたのに・・・ 連載小説でこの後一波乱ある展開ですね 親友視点で連載して欲しいです
2018/05/02 15:57 退会済み
管理
[一言] どーしてこうなった!!感がすごい。 とても面白かったです!
[一言] 爆ぜろ これ以外に何を言えと!
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