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第6章 – 私の顔をした美しい見知らぬ人

登録の手続きを終えると、レントはモロについてルメリアの西区へと向かった。

通りは徐々に静かになり、日中の商人たちの喧騒から遠ざかっていく。ここは先ほどの区画とは少し異なり、住宅が多く立ち並んでいた。いくつかの家はクラシックなビアパブとして営業しており、先ほどよりもずっと落ち着いた雰囲気が漂っている。


ファイア・バンはレントの横をピョンピョンと跳ねていた。相変わらず大人しい様子だが、レントはまだ完全には信用していなかった。


『さて、レント様。これから数日間、無料で泊まれる宿へ向かいます。そこで今後の資金をどうするか考えましょう』

モロが空中でクルクルと回りながら言った。

『アルヴィア亭という場所です!』


「ふん。少なくとも、タダのベッドで背中を伸ばせるなら文句はない」


やがて二人は、モロが言っていた宿屋に到着した。

そこは民家の間に挟まれるようにして建っており、中央広場からは少し離れていた。


アルヴィア亭は、古い木材と滑らかなレンガで造られた三階建ての建物だった。正面には小さな庭があり、ポーチにはクリスタルのランプが吊るされている。


『さあ、着きましたよ、ご主人様。ここです!』

モロが元気よく言った。


「ふむ……」

レントは外観を眺めた。

「悪くない」


彼らは中へ足を踏み入れた。

年老いた男が彼らを出迎え、ルメリア・パスを使った宿泊登録の手続きを終えると、部屋の鍵を渡してくれた。


『304号室ですね、ご主人様。ついてきてください!』

モロが先に飛んでいく。


「304号室。廊下の突き当たりだ」

しわがれた声で老人がレントに告げた。その目は、先に飛んでいった青い毛玉と、レントの足元にいる奇妙なウサギを胡散臭そうに睨んでいる。

「言っておくが、ペットの粗相は厳禁だ。シーツを汚したら、倍の賠償金を払ってもらうからな」


「こいつはペットじゃない。人生の重荷だ」

レントは冷たい真鍮の鍵を受け取りながら、低く呟いた。


彼は階段を上がり、部屋がある二階へと向かった。


部屋は質素だが清潔だった。

シングルベッドが一つ、木製の書き物机、空の棚、そして夕暮れの風に薄いカーテンが揺れる小さな窓。机の横には照明用の青いクリスタルランプが置かれていた。


ファイア・バンはすぐさまベッドに飛び乗り、あっという間に体を丸めた。


「おい、バカウサギ。誰が上がっていいと言った? どけ」


もちろん、ファイア・バンが聞く耳を持つはずがない。炎のウサギの新たな縄張りを主張するように、そこで丸くなり続けた。


「はぁ……うっ。もういい」

レントは、ファイア・バンの寝相を崩さないように、ベッドの隅へとそっと押しやった。


レントはゆっくりとベッドの端に腰を下ろした。ずっと肩に掛けていた小さなバッグを下ろす。


「やっと……一時的な平穏か。うるさい社会のしがらみがないだけ、ずっとマシだ」


レントは立ち上がり、少し埃をかぶった茶色のジャケットをゆっくりと脱いだ。

昼間のファイア・バンとの即席の戦闘のせいで、まだ少し土がついている。コートハンガーのところへ歩き、そこにジャケットを掛けた。


「はぁ。この白いシャツも、さっきの騒ぎのせいで少し土埃の匂いがするな。……少し新鮮な空気が吸いたい」


レントは薄いカーテンが閉まっている窓へとゆっくり歩き、カーテンを開けた。

外の涼しい空気が、彼の顔と髪に直接吹きつける。頭の上の小さなアホ毛が風に揺れた。レントの目は、眼下にある庭で柔らかな緑色の光を放ちながら咲く花々を見下ろした。


「ふむ。悪くない。ついに……俺だけの平和な時間だ」

レントは静かに呟く。


窓から外を見渡す。右には果物屋、左には金物屋があった。

そして通りの向こう側、本屋のちょうど真ん前に……。


……見知らぬ人物が立っていた。


それは一人の少女だった。リンゴをかじっている。

赤く染まった唇が、ゆっくりとリンゴを咀嚼しているのが見えた。紫色の髪が腰まで伸びている。

黒いファーのトップスを着ていたが……それは体を完全には覆っていなかった。胸元だけを隠し、背中から腰にかけての滑らかな肌の半分が大胆に露出している。


短い青のプリーツスカート。太ももの素肌に絶対領域(隙間)を残す黒いサイハイソックス。そして、そこから続く背の高い茶色のブーツ。

彼女は片手を腰に当てて立っていた。


レントは完全にフリーズした。


(なんで……あんな場違いな服を着てるんだ? ていうか、なんだあの服は? 上半分しか隠してないじゃないか)

(待て……なんで俺は服の心配なんかしてるんだ?)

レントは小さく呟いた。


彼の呟きが終わるか終わらないかのうちに、その少女は突然顔を向けた。

彼女の顔がゆっくりと上を向き……開いたレントの窓へと、真っ直ぐに視線を合わせた。


(待て……あの顔……なんであんなに……)


レントの死んだ魚のような目が少し見開かれ、そして確認するためにもう一度細められた。


(ちょっと待て……あれは……あれは……俺の顔じゃないか!? はあ!?)


体が震えた。寒さからではない。彼の脳が、今の状況を必死に処理しようとオーバーヒートしていたのだ。


その少女の顔の造形は……あまりにも彼自身に似すぎていた。

鼻。顎のライン。立ち方まで。


彼女の目は明らかにアメジストのような紫色だったが、レントのそれよりも少しだけ明るかった。

二組の紫色の瞳が、互いに視線を交差させる。


少女は片眉を上げ……小さく微笑むと、気楽な様子でウィンクをした。

まるで、見られていることを最初から知っていたかのように。


その瞬間、レントは窓から弾かれたように飛び退いた。

壁に背中を押し当て、荒い息を吐く。


「よし、これは夢だ。俺はまだ夢を見ているに違いない」


――パァンッ!


レントは自身の頬を思い切りビンタした。


「起きろ、馬鹿! 寝るな! さっさとこの悪夢から目を覚ませ!」


――パァンッ! パァンッ!

彼はさらに二回、両方の頬を強く叩いた。


「なんでまだ覚めないんだ!? くそっ!」

レントは自分の胸――今や狂ったように早鐘を打っている心臓――を押さえた。


荒い呼吸を整えながら、突然の視覚的ショックから必死に落ち着こうとする。


「はぁ……っ、はぁ……っ、これは……絶対に幻覚だ。現実なのか、ただの見間違いなのか、確かめてやる」


彼はしゃがみ込み、窓の縁からそっと外を覗き込んだ。


だが……。

その姿はもうどこにもなかった。通りは空っぽだ。ただ風が吹き抜けるだけ。

まるで最初から誰もそこにいなかったかのように。


「は? いない? くそっ。ただの過労が見せた幻覚であってくれよ」


レントは部屋の床にへたり込んだ。


数分後、モロが部屋に入ってきた。

『あれ? レント様? なんだか……顔色が悪いですよ? どうかしましたか?』


レントは少しの間沈黙し、そして首を振った。

「いや……何でもない」


モロは無垢な(想像上の)丸い目で彼を見つめた。

『ふーむ、分かりました、ご主人様。何か必要なことがあれば言ってくださいね。僕は少し裏庭に行ってきますから』


レントはただ頷いた。彼はベッドの端に座る。ファイア・バンは片目を開けたが、すぐにまた眠りについた。


「くそっ。これじゃ俺、完全にイカれた奴じゃないか。はぁ……」


(あの少女……誰だ? なんで俺は……あんなに惹きつけられたような感覚に陥ったんだ?)

(いや、違う。これはただの幻覚だ……現実じゃない。あの少女は存在しない)

彼は心の中で強く否定した。


レントはゆっくりと立ち上がり、再びベッドへと向かう。

そして、自分の額を揉みながら座り込んだ。


「どうやら疲れすぎてるみたいだ。寝た方がいい。俺の脳は、理解の範疇を超えた変なファンタジーを作り出し始めてる」


彼はそのまま身を横たえ、ベッドの隅で眠っているファイア・バンの隣で丸くなった。


夜になった。

アルヴィア亭の外は静寂に包まれていた。聞こえるのは夜風と、いくつかの野生動物の鳴き声だけ。


しかし……。

少し離れた別の場所。裏路地の暗がりの中で、同じ紫色の瞳が影から監視していた。

そして、軽い跳躍と共に姿を消す。微かな囁きのような、小さな笑い声を残して。


「ふふっ……可愛い困惑顔。私、あれ好きだな」

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