屋根
掲載日:2026/07/03
ある冬の日の夜。
天井裏からドタドタドタと音がした。
「やだなぁ、冬眠しそこねたネズミかしら」
そこでふと考える。
ネズミにしては、音が重過ぎる。
「ハクビシンとか?まあ害獣には変わらないけど」
あとで業者さんに駆除でも頼もうか。
---
ある夏の日。
台風が直撃したあと、テレビが映らなくなった。
「あー…こりゃ、アンテナやられたな」
近所の電気屋さんに駆け込む。
「すみませーん、地上波アンテナやられちゃったみたいなんですが」
「ああ、あなたの家もですか。
いや、軒並みアンテナやられたお宅があってねぇ」
これは時間がかかりそうだ、と思っていたところ。
「ああ、でも5丁目なら予定が入っていますから、一緒に回りますよ」
思ったより早く直してもらえそうで安心した。
電気屋さんが来て、修理してくれている間、私は部屋で待つ。
ドスドスドス。
電気屋さんが、屋上を歩いている音が聞こえる。
……あれ…この音どこかで聞いたことがあるような…。
あの時はハクビシンかと思っていた。
でも。
ハクビシンて、2階まで昇ってくるもの?
重さってどのくらい?
電気屋さんが
「アンテナ古くなって壊れていたので、新しい物に変えておきましたよ。
これで台風がきても、10年は持ちますよ。」
修理費用を支払いながら、
私は半分上の空だった。




