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終焉に終焉を。  作者: 終焉を迎えたTomato
第七章 友情ノ章

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93/93

EP93 生命等級。

いくら魔法を放っても、あのゴミは消えない。

そもそも当たることがない。全て避けられるのだ。


「ユズ!避けろ!天井が崩れる!」


フィエールさんの声が、危機を回避する手助けとなった。

上から降ってきた大きな瓦礫を間一髪避けた。


「……あいつは?」


避けたあと、見失った。

上から気配を感じる。

でもどこにも見えない。

少し上を見上げていて気がついた。今まで戦闘に集中していたせいなのか、気づかなかったが……

大聖堂の半分以上が消滅している。


「外からだ! 構えろ!」


「大丈夫だよ! 守るから」


青と黄のバリアを、ミライが貼った。

半球状の結界が、魔法を跳ね返したり、無効化させる。


目の前に居たのは、キアラ皇女に偽装していた魔族だった。


【月光】!


不意打ちも当たらない。

一体どうすれば……

そう思っていた。そんな中、彼の言葉を思い出した。


あの二ヶ月間。ログハウスにいた頃の記憶。

和人と一緒に魔法を鍛えていた頃のものだ。


『和人。もし戦闘中に、すばしっこい敵がいて、攻撃が避けられる場合はどうするの?』


彼は笑顔で応える。


『自分が相手の動きを予測していることを予測して、様々な方向から打ったりするんだ』


そういうと、彼は手を広げ、簡易的な訓練用の的を出した。

空高く飛ばすと、和人は魔法を構える。

「見てろよ」と目で言ったあと、実際に見せてくれた。

確かに、相手側にこちらが予測して放っていることを知っているのなら、ある程度は防げる。

しかし、それは体力も時間も使う。

それを逆手に取ったのだ。


それを使えば!


速戦即決。

足をずらして力を込める。

攻撃の準備をする。


不思議と、周りが静かに感じられた。


【月光】


冷静に突き放した魔法は青白いビームとなってあいつに命中した。

灰になる。なんてことはなく、もろに受けたのにも関わらず少し体が汚れた程度。

依然として、体制を崩さずこちらを見ている。

そんな彼女の背後には終焉があった。

終焉と重なって、一瞬羽のように思えた。

終焉の共存者。それは愛する彼以外にも居たのだと、初めて実感した。

薄々気づいてはいた。

そもそも、終焉を彼だけが持てるはずがないと、そう思ったからだ。

流石に、一人で"それ"は不可能だろう。


「フィエールさん。ユズちゃん。……ここから逃げよう」


「そうだな。私が囮になろう。それが一番安全だ」


大剣を地面に突き刺し、もう既に戦いに勝ったかのように立つ彼女の背中は大きかった。


でも。

「……やはり。怖いものは怖いな」


手は震えていた。


どうすればあいつに勝てるのか、勝てなくとも、安全に逃げれるのか。

と言うかそもそも、あいつが即死させてこないってだけで、この戦闘を楽しんでるってだけで、この戦いに勝機はないのかもしれない。


でも。勝ちたい。でも。勝てない。

ここは一旦引くしかないのだ。


それに、和人は転送された。

今はきっと、時空の狭間かどこかで夢でも記憶でも見ているはずだ。

まだ彼が彼であるままなのだ。


あまり長くない時間なはずだが、一日中過ごしたかのように感じられた。

戦闘による、死の危険の影響だろうか?


勝ち取りたいと思っても。自分の無力さに打ちひしがれる。

正面から向かっても、どうせ負ける。

そんなことはもう分かっている。

でも逃げたくない。


何もできなくて、ただ黙って下を向いていた。

その刹那。

ミライの結界を裂く音が、沈黙を貫いた。次の攻撃は、慌ててフィエールが防いだ。

あのゴミは、手を伸ばして巨大な魔法陣を張っていた。一つの円の中心を正十角形が力強く彩り、正三角形や呪文、大小も柄も様々な魔法陣が、機械時計のように複雑に絡みあっている。

それは、高度な魔法。及び、回避も難しいものを意味するのだ。

和人が山を吹っ飛ばした際も、聖天地へ召集した際も、同じような魔法陣だった。

でも和人の方が複雑であった。


「……全員逃げよう。ここから今すぐに!」


私が叫ぶと、三人は一斉に反対へ右往左往しながら走り出した。

瓦礫を遮蔽物とし、できるだけ遠く離れた場所へ逃げた。


道路も歪み、建物は何一つとして存在しない。

あるのは、この大聖堂の壁だけだ。


次第に魔法の威力も精度も上がり、爆発の威力も向上している。

ミライのバリアも、一度で粉砕されてしまう。


そんな中———


「ひゃ!」


大聖堂のさらに奥、道路の瓦礫を踏んで転んでしまった。

足を捻って、激痛が脳へ伝わる。


「ユズ!」


フィエールさんが駆け寄ってきて、その声を聞いたミライが後からやってきた。


もう逃げられない。

そう悟った。もう私たちは死ぬのだ。

彼のそばにいることはできないのだ。


その瞬間。とびきり大きな魔法が地面を貫いた。

あと数歩前にいれば、この穴に落ちていた。


いや、ここでも落ちそうだ。


地面は大きく割れ、三人もろとも、世界を呑み込む。

真っ暗な第二の世界に、たった三人で迷い込んだ。

少々腰や背中を強く打ったが、問題はない。


暗く見えないので、光を出した。

と言っても松明と同じ。炎の光だ。


「ユズちゃん!フィエールさん!大丈夫?」

「ああ。問題ない。バク転したからな」

「私も大丈夫。足を捻ったけどそれ以外にはないよ」

「よかった……にしても、かなり落ちたね」


上を見上げる。

家が2軒縦に並んでも少し余る、30メートルくらい落ちたのだ。


「どうしようか……ってあれ!」


ミライが指を刺す先には、見慣れたものがあった。


———一枚のタブレット。宿敵、クレリアのものだ。

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