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終焉に終焉を。  作者: 終焉を迎えたTomato
第七章 友情ノ章

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90/93

EP90 未来のために。

空を切り、龍との距離はゼロに近い。

弾き飛ばされても、俺はその体を目指した。

届くことはなかった。


体が熱い。

どうやら住宅街で火災が発生したようだ。

煙を吸う。喉を掻き切るような痛みと、当然の咳。

咳は止まらない。でも咳をすれば、悪化する。


『ただいまより、ラシュトール聖者決定戦を開始する』


その発言が、一足先に飛び出た俺に届くほどの士気を上げる。


民は武器を取り出した。

一斉にこちらへやってくる。

飛べるのだろうか、という心配は要らないほど、当然のように飛ぶものが多数いた。しかし、やはりそれでも多くの民は飛べないようで、地面に倒れた仲間の治療や、じわじわと近づく魔物の集団への対抗をしている。


「ちょ、それはまず———」


一回転した龍の尻尾に野球ボールかのように飛ばされた。


大聖堂への衝突寸前で止まることができた。

流石にこの真っ白な大聖堂を破壊するわけにはいかない。しかし、こう近くで見るとかなり汚れが目立つ。


ふと下を見ると、ミライや皇女がいた。

ミライは皇女の魔法の支援。つまり結界を張っている。皇女は、結界と同時に、加護魔法の付与を行っているようだ。


でもここにいたら、きっと大聖堂どころか、この街ごと吹き飛ぶ。


「ミライ!皇女たちを連れて逃げろ!」


そう叫んだ。


「和人?!なんで?!そんなことしたら、聖堂が!」


「るっせえ!いいから逃げろ!」




何度も説得した。

街の一部は壊滅的、他も火事や倒壊、道路の破損が起きている。悲鳴や号哭が後を絶えず、魔法の爆発音なども混じり、まるで、というよりか、本当に戦争が起きているようだった。


現代戦、近代戦ではないから銃声は少ない。

しかし、もうすでに多くの人が倒れている。


このままでは勝てない。


「......ミライ。どっかで会おう。それまで生きてろ」


「え?うん!もちろん!」


俺とミライは拳を交わし、もう一度前線へ戻った。





「......ミライ村長」


「は、はい」


「彼は誰だ?そして大丈夫なのか?」


「陛下。ご心配なさらず......彼の名は和人。放浪者ですが、ラシュトールの誰よりも強いかと。それに――」


「それに?」


「彼は。きっと"あの人"ですので」


「ほう......理解した」




数十メートル上空を飛んでいると、治療をしているユズを見つけた。


「ユズ!」


「あ、和人。私は治療中で、フィエールさんはすぐそこで安全の確保しているよ。ちょっと間に合わないかもだから、後でね」


颯爽に治療へ戻った。

フィエールは、ゴブリンや鬼、オーク程度であれば剣の角や、面で殴り倒している。さすがは元勇者パーティ。一発であの威力とは。

にしても、その度に白い煙のようなものと爆音がなっている。音速でも超えているのだろうか。

確かに、目で追えないような速さだが。


「じゃあここは任せた。他の奴らも、ありがとな!」


『大丈夫です!』

『任せな。兄ちゃん』


『頑張ってください、大丈夫です、治りますから』

『痛いそこ痛い』


鍛冶屋のおっさんのようなイケオジから、街のお姉さんまで、全員が協力して治療、回復へ尽力している。

こっちの世界じゃ考えられないことだ。


「和人、先に龍を殺れ!」


「任せろ!!」


建物はもう崩れ、その面影すら残さない。

龍の道中にいる魔物.......ゴブリンやオーク。魔族たちを蹴散らしながら、龍へ向かう。


軍と、皇女からの支援を受け、対等な力を得ており、戦線は若干前後する程度で収められている。


しかしながら、当然のように死傷者は出るばかり、ここじゃ高火力魔法も、人を巻き込む為に撃つこと難しい。


このままでは勝てない。

それだけは明白である。


【地よ轟け】


地面を破壊して、操作。魔物を殺し、道を作る魔法だ。

その割れ目はかなり有効で、知能の低い魔物はそこを通ることができない。

その特性を利用し、戦線と市街地の境目を割った。

ある程度は防げるだろう。


聖者決定戦。と言いながらアナウンスも何もなく、目先の金に踊らされる人間たちと、勇敢なものたち、どちらも代わりなく命を削り戦っている。

おそらく、聖者決定戦というのは士気を上げるためだけだ。クソ。


龍は疲れたのか、少し後退し、座って戦場を眺めている。


ポツポツと、雨が降ってきた。

血を洗い流す血だ。


遅れて、爆発音と衝撃波が到達。龍を正面に左側。北東の方だ。


「魔法......じゃない......?」


戦闘機のような音。

上を見上げれば、飛行船が北東からやってきている。

人間のものだ。つまり味方側。あの飛行船も、軍事用に開発されたみたいだ。


「おいガキ!ぼーっとしてねえで戦え!」


「あ、悪い......」


民に怒鳴られた。これでも七百万は生きているのだが。


「はあ......よっこらせっと!」


もう一度、今度は更に上空へ一っ飛び。

その後、放物線を描いて龍の首を貫く。


はずだった。


上空で見えた。最悪のもの。

やはり、それは......


――終焉だ。



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