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終焉に終焉を。  作者: 終焉を迎えたTomato
第七章 友情ノ章

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EP88 灯と前夜祭

「あーユズ......話聞いてたか?」


「聞いてたよ。.......やっぱ先お風呂にしよ?」


ユズの瞳が"マジ"になる。

ここから逃げた方が良さそうだが、今のユズにはすぐ追い付かれそうだ。


なぜ一回布団に入ったのか。と思ったのも束の間。俺は腕を引っ張られ、服を脱がされた。

今夜は、きっと寝れないな......と思いつつ。流れに身を任せるしかなかった。

抵抗すればきっと更なるなにかが待っているに違いない。



一時間ほどして、風呂から上がった俺らは、一人用の椅子に腰を掛け、涼んでいた。

幸い。風呂では何もなかったのだ。ただ少し柔らかいのが当たったくらいで。

気持ちいいバスローブに身を包み、会話を続けた。

これはきっと、そういう雰囲気にするための誘導だ。ユズはこういう時だけ頭が良くなる。

というか、ユズ未成年じゃ.......?

俺捕まったりしないだろうか。

今日イチの気掛かりであった。


なんとか1日を終え、普通にユズと抱き合って寝た。

控えめに言って最高だった。


眩しい日差しが、朝を知らせる。

隣でぐっすりと気持ちよさそうに寝るユズを起こさないように、そっと部屋から出て、バルコニーなのかベランダなのか分からないまま、朝日を浴びた。

インスタントコーヒーを飲みながら、また、終焉について考える。


そもそも終焉とは何か。から考える、それがルーティンになるほどにこの生活を続けている。

終焉を召喚。つまり、終焉を作ったのは俺なのだ。

俺が終焉を理解さえしてしまえば、操る事は容易いのかもしれない。という少し愚かな考え。たったそれだけで、遥か昔から今に至るまで、何も情報は更新できていない。



少し外が騒がしい。

ふと目を向けると、大きな板材の様なものを組み立て、重そうな箱を用意している。祭りでもあるのだろうか。


「和人、起きてるかい?」


玄関の先から、ミライの声が聞こえる。

ああ、起きてるぞ。と言う前に、ミライは言った。


「言い忘れてたが、明日は祭りだ!朝から開始だ!行こう!和人!前夜祭だよ!」


「あ、ああ......」


「と、言いたいところだけど、私村長だから、行かないと。私は夕方に中央公園に居るから!じゃあね!」


その後、軽快な足音が消えていく。

楽しんでいる様で何より。ではあるが、俺らはどうするべきか。


「和人?どうしたのー?」


ミライの声でか、ユズは目を覚ました。


祭り。と言われても、金がないから、まず稼がなければならない。

ギルドを目指せばいい。そうに決まってる。多分。



ユズ、フィエールの起床後、街へ出た。村から抜けた、数キロ先の中央公園、そして、国立闘技場。

祭りの影響か、まだ朝早いというのに賑やかで、店も、屋台も繁盛している。

そこで一枚の紙を貰った。


そこには、闘技場で行われる冒険者トーナメント。

『ラシュトール祭、聖者決定戦』

と書かれ、優勝者には賞金一億ベリル。日本円にして16億円にも登る大変大きな試合の様だ。


「......一六億?嘘でしょ?」


ユズもフィエールも、固まってしまった。

どうやら団体戦、個人戦、の両方があり、どちらも資格不問、兼用可能だと言う。


ルールは殺さないこと。たったそれだけだ。


「やろうか。ユズ。今の力を知りたいし。強いやつを仲間に入れたい」


「しかし、ユズは個人戦できるか?」


「どう言う意味だ?」


フィエールの疑問。

その話の根本は魔法に対するユズの特性にあった。

ユズの得意とするのは遠距離高火力攻撃魔法。そして高度回復魔法。

ダメージを受けても問題はないが、魔力を消費する上に、遠距離魔法である限り、近くの敵を倒せない。

そもそも、攻撃が当たらない。当てようとしたら自分も犠牲になる。

ユズには勝ち目もないのだ。


「———だからユズは団体戦だけ出たらどうだ?」


フィエールのその投げかけに、ユズは深く頷いた。


「よし、なら団体戦、俺とフィエールは個人戦も申し込もう。受付は.......北セントラルエリアだ」


チラシに書かれたマップを見ながら、中世ヨーロッパ風の街並みに生える木々の間に、標識を見つける。

緑の背景に白の文字。現代日本にもよくあるものと似ている。

北セントラルエリアはここから600メートル。

徒歩数分で行けた。

街並みは変わらず、この世界の文明を実感した。

ラシュトール聖栄祭。と言うのがこの祭の名前の様だ。


「和人!いい匂いする!お腹減った!」


「確かに、ミライは食っただろうが、俺らは食ってないな」


「和人。あれはカフェ?というものではないか?昼食などにいいと言っていただろう?」


覚えててくれたのか。と言うのも。エール世界で抵抗戦争が起こる前話した、地球について。を覚えていてくれたのだ。フィエールの記憶力が気になる。

フィエールもユズも承諾し、受付の時間も余裕があったので、俺らはカフェへ向かった。

お金がない。と思っていたが、どうやらフィエールがミライからもらっていたようだ。それを早く言え。


賑やかな店内に入り、テーブル席に座った。

フィエールに、メニューを見て、自分の食べたいものを注文すると教えながら注文を考え、ゆったりとした。久しぶりの休息だ。思う存分楽しんでやろう。


フィエールの分からないことを説明していたら、ユズとフィエールの注文品である、「出来立てトマトパスタとシャキシャキサラダ」と、セットのコーンスープ、紅茶が先に届き、少しして俺の注文品である大盛りの「農家の採れたて野菜」、「温泉卵のミートソースパスタ」が届いた。


フィエールに食べ方を教えていると、子供がいる感覚がした。食べ方に関してはほとんど違いはないようで、普通に違和感なく食べることはできていた。

今なら、俺が食っている時の両親の笑顔の理由が分かる気がする。


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