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終焉に終焉を。  作者: 終焉を迎えたTomato
第六章 想イノ章

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EP84 世界への旅

気がつけば、晴天の下。風になびく聖天地に倒れていた。

"終焉の龍"との戦いの跡が、大地を抉っている。

再生している様だが、あまりに傷が多く深いためか、少し遅くなっている。


神社と世界樹。

たったそれだけが存在していて道は殆ど消滅、転移結晶は輝きを失いくたびれている。

ユズたちはどこへ行ったのだろう。

というか、そもそも無事なのだろうか。

母船は、というと、赤いランプも何もなく、ただそこに浮遊していた。しかし、若干様子がおかしい。

いつもであれば、あの前から二番目の円は高速で回転しており、間近で見ると高速道路に乗った車より速いことが明確な程だ。

しかし、今は遅く回転している。


建物は消滅し、遠く木々や岩のみが残っている。

遠くに見える山々も、前よりは丸い感じがした。


ユズを探しに、重い足を引っ張って歩き出した。

クソみたいな悪夢を見た後に歩く距離ではない。なんて言葉がちっぽけに感じる程歩いて、ようやくユズを見つけた。

なぜか周りから離れた一本の木の下で、彼女は剣を地面に突き刺した状態で眠っていた。


あまりに気持ちよさそうに寝ているので起こすのはやめ、代わりにフィエールを探すことにしようとしたが、その必要はなかった。

なぜなら、遠くにフィエールの姿が見えたから。

丸太の様なものを運んでおり、こちらへ向かっている最中、こっちに気づいたのか大きく手を振った。

俺も大きく手を振りかえし、ユズのそばに座った。

数分して、フィエールがやってきた。


「和人。お前も無事だったのか」


「少し体力と精神を削られたが俺はピンピンだ」


「それはピンピンとは言えないのでは?」


と、冷静なツッコミをされ、若干の謎の間が空いた。

すぐに、フィエールは丸太を静かに置き、その上に座った。


こいつが十メートルはあるだろうというこのぶっといものを片手で運んできたことに、驚くことはなかった。俺は慣れすぎている。

この状況に、疑問など抱かなかった。

とは言え、そもそもそんなこと気にしてるより、聖天地とエール、エリア、そして愛しの結愛の方が心配だからというのもある。


「フィエール、あの龍たちは?」


「あの方舟によって一掃された。危うく私たちも巻き込まれるところだった。なんとか避けて、ユズを寝かせた。その後、土煙か何かで覆われたが、一時間もせず消えていったさ。私たちは勝ったんだよ」


勝った。と言えるのか、言っていいのかは分からないが取り敢えず勝ちにしておこう。


方舟......つまり母船からは何も感じない。

じっと見つめていると、なぜか視線を感じた。

うっすらと広がる非金属の人工惑星に見られている気がした。

五機程の部隊なのか、大きい機体と小さい機体がいくつも浮遊しており、その中でも一番キレの良い部隊が近づいているのが見えた。

ただ、少し遅い様で、俺らを探しているのかもしれない。少なくとも、何かをしながらの飛行ではあり、単にこちらへ向かうことが目的ではないだろう。


フィエールが持ち前の腕と大剣で割った薪を燃やし、焚き火をしていた。

パチパチという心地よい軽い音。

じっくりと身体を温める炎を包んで、俺らは休息を得た。


「エールとエリア......どうすれば良いんだろうな」


フィエールが呟いた。

この小さな幸せを噛み締めながら、目の前の目標を探していた。


「フィエール?まあ確かにそうだが......」


反応はしたが、言葉が詰まった。

俺だって、どうすれば良いのか分からない。

この世界は熟知している。しかし、異世界から来た彼女達については何も知らない。

知りたいとは思っているが、聞く以前にそんな余裕がないのだ。

いきなり自分の世界が滅び始め、そこでようやく無駄を生きてきたことが分かったってのに、愛着が湧いてきた頃なのに、崩壊は免れなかったから。

彼らの精神は、今やどん底だろう。

そんな中、その終焉の主犯である俺が人生を問いただすわけにはいかないさ。


「ああいう......なんというか、病気みたいなのはなかったのか?エールに」


またしても若干の間を空け、彼女は答えた。


「病気と言えるのか分からない。どちらかと言えば呪いの類いに一つ心当たりがある。『契約の命』という名で、何かとの契約が原因ではないかということから名付けられたやつだ。しかし、参考になる文献もなければ結果も出ていない」


「わあ......怖え......」


少し引いた。


「ただ、あれらは別のものだと思う。なんというか、終焉関連の何かだと私は感じる」


フィエールは鎧を手入れしながら答え、少し考えている様子だ。


確かに、あれは俺の知っている呪いとも少し違う感覚がする。

ただし、明確な理由があるわけではない。たった少しだけ、そんな感じがするだけで。


その後数十分から数時間に渡り話し続けた。

終焉関連の何か。という仮説をもとに、多くの仮説を作り上げた。




「和人様!!」


そう聞こえたのは、足の痺れる感覚すら忘れた頃であった。

あの方舟から来たクレリア、並びにレシオ。

戦闘機?のスピーカーから流れる音声に気づき、少し遠くに着陸した。


「久しぶりですー!和人様!!!」


「久しぶりだねークレリア。レシオの方が久しぶりだけどな」


「そだね。久しぶり!」


レシオは軽くウインクをしてこちらを見つめる。


「で、どうしていきなり?」


「あ、そうです!こちらについてで———」


クレリアは一枚の資料を見せた。

いやタブレットなのだ、一枚でいいのか?


クレリアの説明を聞いた。

どうやら、次元に乱れが起きている様だ。



「和人......どうしたの......?」


そんな中ユズが起きた。


「おはようユズ」

「おはようございます!」

「おはよう」


連続して挨拶をした。なおレシオは誰だこいつの様な顔をしていた。会って居なかったっけか。


「ユズ様。早速こちらで」


「うい」


軽い返事。おそらくまだ寝ぼけている。


この次元。というか空間?の乱れで、いつ大気や物理法則が崩壊するかは分からない。

ただ、ものすごく危険な状態であり、何が起こるか分からないということがわかる。




小一時間して、クレリアの再度の説明が終わり、神社に眠る三人を診てもらった。

結果は分からず。

この分隊の医療班でも分からないとのことで、ここに置いて安静にしておくことにした。


そしてクレリアとレシオは母船に戻るため、戦闘機?に乗る。

それを見送って、俺らも今日は休もうかと考えて居た。



———直後だった。


あっという間に謎の光に世界は包まれ、生暖かい感触が身体中を巡る。

数秒後。


俺たちは、まだ見知らぬ世界にいた。

ユズ、フィエールのみ。クレリアやレシオは居ない。


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