EP7 調査と休息
ユズを慰めた後、俺は聖天地の調査をすることにした。何が起こるか分からないので、ユズには「心を落ち着かせて待ってろ」と言って、ログハウスに置いてきた。
んで、俺は今、聖天地のコア部分、“聖力結晶”簡単に言えば、魔法でできた結晶で、周りには聖力がとてつもない濃さで漂っている。(このコアは、聖天地の真ん中に生えている世界樹の幹の中にあるぞ)俺は、魔王ベースとやらの言葉や、どうしてここにドラゴンがいたのかについて、ずっと歩きながら考えていた。にしてもこの道、いったいどれくらいの距離があるのだろうか。
―3時間後―
ああ、何とか着いたぞ。さてと、調査するか....いやその必要はないようだ。コアの周りは正常なら、ぼんやりと青い光が反射しているが、今はそれが少なすぎる.....いや違う、コアがもう輝きを失っている。かなりの汚染だ。まずは汚染物を取り除くところから始めるとしよう。もちろん魔法で取り除く。
【女神の器よ、過ちを許せ】
汚染物が砂鉄のような塵になって消えていく。何とか汚染物を取る事はできた。あとは.....
【神よ、精霊よ、その力で世界を救え】
これでよし。....再発防止のために結界を張ろう、それも最上級のやつをな。えーっと....確か呪文は.....
【生命の力よ、ここに集え、そして、数多の苦しみから救うのだ】
.....これで良かったっけな?まあいいか。じゃあユズのところへ戻るかね。(また3時間歩くのかー)と思いつつも歩き出す。
―5時間後―
「ああ〜〜やっと着いた〜」
途中道を間違えて5時間かかってしまった。合計約8時間。大変だったぜ。
「和人!おかえり!随分と長かったね、何かあったの?」
「ただいま、いいや、道を間違えただけだ。調査についてはあまり時間を要さなかった。にしても疲れた〜」
「じゃあお風呂沸かそっか?」
「え?!ここ風呂付いてんの?!」
「知らなかったの?和人がぜーんぜん帰ってこないからログハウス見て回ってたら、偶然見つけたの」
「マジか!いい子だユズ!じゃあ早速いれてくれ!」
「ふふふ....実はそのお風呂........温泉なんだー!」
「ッ!温泉だと?!」
「試しに手を入れてみたらすぐにすべすべになったよ〜、じゃ、いれてくるね」
「お、おう、ありがとう」
驚きだ。ここで何年も生きてきたのに、今更風呂の存在を知った。.....温泉と言ったら、あれしかないよな。そうだ、コーヒー牛乳だ!倉庫に保管しておいたはずだ。持ってくるとしよう。
―3分後―
倉庫からコーヒー牛乳を2本持ってきた。
「このコーヒー牛乳うまいんだよな、しかもそれが温泉上がりだなんて、うまさが5兆倍くらいになるだろ!」
「一人で何言ってるの?」
「うわぁ!!ユズいたのかよ!」
突然、物陰からユズが出てきてびっくりした。
「うん、シャンプーが切れてたから取りにきたの」
「そ、そうか。あ、コーヒー牛乳持ってきたが、飲めるか?」
「甘ければ飲めるよ」
「ちょうど良かった。甘いものを持ってきたんだ。ならテーブルの上に置いとくな」
「うん、ありがとう。こっちはもうちょっとかかりそうだよ」
「分かった。ありがとう、俺はリビングにいるから、なんかあったら呼べよ〜」
「はーい」
ユズはそう言って駆け足で風呂の方に向かった。俺は思った。あいつは妻かなんかか?と。知らない人たちが見たら、夫婦と言われても気づかなそうだが.....
取り敢えず、出来ることもないので、リビングでくつろぐことにした。そういえば、どうしてコアは汚染されていたのだろうか。考えてもいなかったな.....ま、いっか。結界も張ったしな!
流石にもう起こらないだろう。ってなんかフラグがたった気がするが....
「和人〜入れたよ〜」
「ういー」
さて、ここの温泉はどれほど気持ちいいのか楽しみだ。
「今すぐ行くよー」
俺は着替えを持って急ぐ。
「先入っていいよ!」
「おう、ありがとな」
「それとも......一緒に入る?」
「は、入らねえよ?!!」
「へへ、冗談だよ〜」
「嬉しいのか悲しいのか分かんねえ....」
「嫌じゃないけどね.....」
「マジかよこいつ」
んなくだらない会話は置いといて、風呂だ!風呂!
ユズがいなくなったのを見て、服を脱ぎ、風呂に入る。
でっけえ風呂だ。ちっちゃな銭湯みたいだ。
「ふぇえ〜、最っ高だ〜」
温泉なんていつぶりだろうか。思い出せないが、まあいいだろう。
「ポフェー、ピャアー、ポヨー」
謎の声が風呂中に響く。何やってんだ俺。
ガラガラガラという音が聞こえた。そして脳裏に蘇る。ユズ[一緒に入る?]という言葉が。まさかあいつ....
「....私も....入れて.....」
やっぱり、予想通りだ。
タオルで体を隠してるとは言え、露出が多い。
タオル一枚だぞ。興奮しないわけがない。だが断ることも可哀想でできないので、仕方なく入れることにした。おっと、絶対に、絶対に!一緒に入りたいなんて思ってないぞ!!(←ここ大事!テストに出るよ!)
「お、おう、入りたいなら入れ、ちゃんと肩まで浸かれよ」
....俺の考えが甘かったようだ。こいつ、隣に来やがった。俺はなるべくユズの方を見ないようにした。
和人&ユズ(き、気まずい..!)
「お、俺もう上がるな!」
そう言い、立ちあがろうとした瞬間。ユズに手を掴まれた。
「もうちょっと、もうちょっとだけ....」
こ、こいつ!
「.....分かった....少しだけな」
「ありがとう.....ね、ねえ和人」
ユズがそう言うと、体を寄せる。
(目のやり場に困るからやめてくれ!)
「和人.....」
そして俺の腕をがっしりと掴み、何がとは言わんが柔らかいものが当たる。
「ユズ....ちょっと近くないか?」
「いやだ。これがいい」
そして、ユズは頭を俺の肩に乗せ、うとうとし出した。
こんな子が俺の隣で全裸で寝ようとしている....こんな状況で一体誰が興奮しないってんだ。
そして10分後。
「よーし!コーヒー牛乳の時間だぁ!」
「私も飲むー」
ゴクゴク
「やっぱうめ〜」
「.....甘くて美味しい....」
「甘いのを選んできたからな!」
そんなこんなで1日が終わった。明日からどうするか..
まあ、明日のことは明日考えよう。