表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終焉に終焉を。  作者: 終焉を迎えたTomato
記憶の闇に

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/82

EP63 意味

しばらくして日が完全に沈み、俺も眠りについた。

ふと目が覚め、真っ暗な世界を見渡していると、ポット目の前に何かが現れた。

闇に包まれた謎の世界に一つ、不安定な炎が灯った。

かなり大きく、一見火事に見えるがそうではない。

何もない草原から火柱が立ち、煙も出さずに燃えている。

周りの草原も燃え移る事なく、ただそこに存在しているだけだ。

その炎が何を示すかも分からないまま、ずっと眺めることしかできなかった。

それの意味が、かなり重要なのであれば....

そういえば、エールとエリアの姿を見ていない気がする。

フィエールが居たので、少なくともエールは来れてもおかしくないはずだ。

何かあったのだろうか。


炎は消えない、だんだんと大きくなったが、今は成長が止まっている。

本当になんなのだろうか。


「和人....?」

ユズが起きた。

「おはよう。....って言っても夜だけど」

「う、うん。おはよう....あれは?」

あの炎について聞かれた。

「分からない。突然燃え出して、それからずっと不安定なまま」

寝ている結愛を、ユズは膝の上に乗せた。

結愛はさっきより気持ちよさそうに寝ている。

「ここ、なんだと思う?」

「え?....えーっと、誰かの記憶とか?それとも過去とか、心の中とか?」

「なるほど。確かに、俺もそう思う。けど、ここから抜け出せなかったら....」

「私。和人とずっと一緒に居たい....離れないで、ずっと一緒に、こういうところで、楽しく生きたい....!」

肩に身を委ねるユズは、悲しそうな声で言った。

「私がに死ぬまで、ずっとずっとそばにいて?デートとか料理とかもして、同じベッドで寝て....その....えっちなこととかもしちゃったりして....」

ユズの本気が伝わる。

どうせ、ユズは死んでしまう。

それをわかっているから、何も言えない。

いずれ俺にも死というものが来るはずだ、万物に永遠はない。

けど、もし、この命が永遠に続いて、ユズが死んでしまったら、俺はどうなるだろうか....

ずっと、心にぽっかりと空いた穴を埋めようとするのだろうか。

悲しみのあまり、心を失うのだろうか。

それとも、ユズに変わる女性を探すのだろうか。


....また、終焉を迎えるのだろうか。


もう、終わりなんだ。

後悔するのはこれでおしまいだ。

終焉は、必ず俺が消す。

2度と、この世界に現れないようにするんだ。

でも、ユズが"そう"なったら、俺は....


「でも、私はいつか死んじゃうから、だから....」

ユズが顔を耳に近づけ、囁いた。

「今だけでも、そばにいて?」

俺は、どうしてネガティブな考えに行ってしまうんだ....

今、これほどに幸せなのに。


空が、少しずつ明るくなっていく。

日が差し込む。

大地を照らす。

まるで、『心配しないで』と言っているかのように、暖かく、優しい光が、3人を包み込む。

俯いた俺を、ユズはそっと抱きしめた。

「こんなの、結愛ちゃんが見たらいけないから、滅多にしないんだからね!」

そう言って、その可愛い顔を赤くして、結愛を巻き込んで抱き合った。

昔、生きる意味を探していたのがバカみたいだ。

あの時に、ユズがいれば、俺は、世界は滅ばずに済んだのに。

....世界はもう。元には戻らないのだろうか。

一度傷ついた人の心が治らないように、世界もまた、治らないのだろうか。


気がつけば、あの神社にいた。

「帰ってきたね....」

「そうだな、結愛はまだ寝てるから起こさないようにね」

一つだけ、気になることがある。

この神社の建物内に、何があるのか。

エールとエリアは、どこへ行ったのか。

後者に関しては母船にいるという可能性もある。

けど、もう崩壊して物理法則ですら変わってしまう世界だ。何が起こるかは誰にも分からない。

もしわかる奴がいたら、そいつがこの世界を創り上げたのだろう。

「和人、私も行く」

そう声をかけたのはフィエール。

まあ、当然だろう。

「フィエール。ありがとう。ユズも行こう。何が起こるか分からない」

「分かった」

ユズも立ち上がって答えた。

かなりの大きさの建物を眺めながら、障子を開けた。

......そこには、布団の上で横になったエリアと、謎の巫女服を着た狐の少女がいた。

見た感じ看病しているようだ。

「君は....?」

「やっと、逢えましたね。本来の姿で」

「なんの....ことだよ....?」

彼女は笑った。

不思議なオーラを感じる。

どこかで、かなりの回数会っている気がする。

「和人。この人を知ってるの?」

「いや、知らない....はずだ....」

「フィエールさんは?」

「....私も、記憶にない。だが、どこかで....」

「....そっか....えーっと、あなたは誰ですか?」

ユズが恐る恐る質問した。

彼女は悲しそうに答えた。

「....和人様....酷いです」

「そんなこと言われても」

「私は....エールです。エール・アストリア」

その名前を聞いた瞬間、俺ら三人は硬直した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ