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終焉に終焉を。  作者: 終焉を迎えたTomato
第三章 確実に世界を救うために。

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EP50 迷わず進め

「クレリア!みんなに伝えてくれ!」

「はい!」

緊急事態出発命令。

それは即座に各員に伝えられた。

母船の後ろ側から、微かな振動が伝わる。

「エンジン始動です!」

「和人!早く中枢司令室へ!」

「わ、分かった!」

「私も行く、レシオちゃんは?」

「私は周辺の警戒姿勢を取らないと。だから先行ってて」

「うん。気をつけて!」

母船を走る。

「和人様ぁ!乗って!」

「う、うわっちょっと!!」

突然襟を引っ張られ、宙に浮いた。

「....えーっと....車?」

車のような何かに乗せられた。すごくでかいトラックのようだが、乗り心地は抜群だ。

「長距離輸送用大型車両です!」

「あ、クレリア。車運転できるんだ....」

「長距離輸送レーンに入りますね!」

「....お、おう」

思ったことがある。もっと早くこれを使えばよかったんじゃね?と。でも、何か事情があるのだろう。故に、今は何も言わないでおこう。

「和人。今からやることについて説明するね」

「分かった。ありがとう」

「まず、私たちは中枢司令室へ行くの。ちょうど今向かってるところだけど、あと1時間はかかりそう」

「司令室で何を?」

「そりゃ、司令官としての役目を果たすだけだよ」

「そ、そうか」

何も分からんぞそれ。

説明を受けて少し考える俺に、クレリアは目の前に注意しながら言った。

「もうすぐ自動運転に切り替えるからちょっと待ってて、移動してる間にやりたいことがあるの」

「ああ。分かった。レシオは何処に?」

「レシオちゃんは、外に行った。この母船の外へ」

「周囲の警戒、だな?」

「正解」

よっしゃあ!正解だあ!!とか喜んでるのも束の間、クレリアは自動運転に切り替え、パソコン?のような板を取り出した。

「この間にやることってのはなんだ?」

「....魔力について、聞きたいことがいっぱいあるの」

「分かった。説明すればいいんだな?」

「うん。メモするから。よろしく」

にしても、敬語使わなくなったな....俺の後輩のように、敬語が苦手なのか?

ひとまず俺は魔力について、幾つか説明をした。

魔力の性質、起源、仮説、事実、魔法や魔族との関係。そして、聖力との関係性も。

魔法に関しては、昔いた世界の大学にあった魔法研究所の記憶に過ぎず、確実ではないことを忘れないでほしいとクレリアに言った。

魔力とは不可解なものだ。特に、聖力との関係性は不明な点が多い。どうして交わらないのか、魔力と何が違うのか。

そういえば、魔力はいつどのようにして生まれたのか、その本質はなんなのか仮説などが立っていない時代があったが、その時に見た古代文字が気になる。あれに、魔力に関して書いてあるだろう。いつか見つけ出して研究をしたいものだ。


「以上だ。一応言っておくが、確実に分かっている事ではない。あくまで、ただの仮説に過ぎない」

「そうだね。なんなら、魔力、聖力に限らず、この世界の全てが仮説だよね。本当にそれがあっているかなんて、この世を作った者がいない限り理解出来なよ」

「ああ。しっかりとメモしたか?」

「うん。今できたとこ。えーっとあと30分で着くみたいだよ」

「マジか、結構余ったな。というか、この車、時速何キロで走ってるんだ?」

「230だね。これくらいが普通だよ。なんなら少し遅いくらい」

「マジか、地球より何倍も速いな」

かなりの時間が余った。どうしようか。もうできることはないのに。

外を眺めるクレリアの耳が少し赤い。そして何か言いたげだ。

「和人。地球について教えて!」

「え?」

「地球のことを知りたいの!どうせあとで知るんだし、いいでしょ?」

ダメ?と言わんばかりの上目遣い。甘え上手だな。

....可愛い子は、すぐに甘やかしてしまうものだ。

「分かった。"今まで"地球にあったもの、"今"地球にあるものを教えてやる」

「ありがとう!」

「じゃあ、まずは―」

残りの時間。きっとこれが最後の"二人っきり"

その時間を楽しもうか。


「こんくらいかな。時間もちょうどいい」

「....やっぱり、戦争はあったんですね。それも八回」

「ああ。人は過ちから学ぶ生き物だからね」

クレリアはフィエールのように黙って聞いてくれた訳ではないが、でも、よく話を聞いてくれた。

「みんな元気かな....」

「みんな?」

「あ、いや、何でもない....」

少し間を空けて、クレリアは悲しそうに発言した。

「大丈夫ですよ。きっと、みんな元気ですよ」

「そう....だよな。ありがとう」

「で、では、司令室へ向かいましょう」

きっと大丈夫だ。そう信じてる。けどやっぱり、不安はある。

この先に、最悪がない事を信じて迷わず進め。

自分に言い聞かせた。


さあ、もう家に帰るんだ。


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― 新着の感想 ―
主人公・和人が罪悪感、孤独を抱えつつ、それでも前に進もうとする姿が印象的でした。 ユズの存在は和人にとって本当に大きいですね。 和人が生きてきた永い時間、少しずつ解き明かされていく記憶…時空を超えた…
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