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終焉に終焉を。  作者: 終焉を迎えたTomato
第三章 確実に世界を救うために。
43/81

EP43 幻想

「何が目的だよ!!!」

叫び声が辺りに響く。この質問に、神聖教は応答した。

「我々は神聖教....」

不気味なノイズの掛かった声が聞こえた。神聖教は続けた。

「其方....和人様を迎えに.....」

「うるせえよ....」

「神である....和人様を迎えに....!!!」

「うるせえよ....!!神だからなんだ!世界を創ったからなんだ!!俺はなんにも変わっちゃいねえ!!」

神だから、人だから。そんな言葉は嫌いだ。昔から、大嫌いだ。

命在る者、全て同じだろう。そこに上も下もない、立場なんて、階級なんて無いだろう。

「和人様!落ち着いてください!」

「....そ、そうだな....ありがとう」

「でも....私はあの方たちが許せません」

「....!」

クレリアは神聖教の方を睨みつけて言った。

「俺も同感だ」

「我々は神聖教....神を信じ、世界を織りなす者」

「何を言ってんだ....?」

理解ができない。いや、理解したくない。

こんな神とかほざいて襲ってくるゴミどもを理解する必要なんてない。

「クレリア....やっぱり、選択肢は....」

「戦う。それだけですよね」

「....ああ」

正直、勝てそうにない。魔法を使えないしね。

それに、俺は不老不死だけど、最強って訳じゃない。

ただ「死」を迎えないだけで、「死」を目の前にすることはある。

死のようなもの、「幻想」

あれは、俺が一般人だったら死んでる状態の時に発生する特殊な現象だ。

一度「幻想」が起きると、俺は光る粉のように肉体も精神も消えて服も残らない。その後、時間はバラバラだが平均して2時間。俺は何にもない暗闇か、誰のものかもわからない記憶に包まれ、やがて世界に戻る。

大抵の場合、世界に戻ってきた時にはあまり記憶がない。おそらく、俺はこれによって魂が崩壊せずに済んでいるのだろう。

「....怖いんですか?手が震えてますよ」

クレリアは、いつものような明るさからは想像できないほど暗く低いトーンで話した。そんなクレリアの瞳には、輝きがなかった。けど、何かを見つめているようだった。

「もちろん、怖えよ。....人間ってのは、誰しも怖いものがあるんだよ....」

そういう生物なんだ。そういう考え方なんだ。そういう....世界なんだ。

でも戦うしかない。やるしかないんだ。

「行こう....」

「はい。引き続き後方支援という形で参ります」

「ああ....任せた」

こっから、信者までの距離は推定20メートル。

その距離を一気に詰めて、一気に殺す算段だ。

「....体が....動かないな」

気づかないうちに、俺は光を失い、体は言うことを聞かず、そのくせ震えていた。

俺はなんて無力なんだ....

自分を責めた。

ボロボロになった心で、勝てる方法を探した。

傷口が治らないことを考えている暇はなかった。


「和人様....貴方はどうして....」

信者が動き出した。しわしわになったジジイみたいな手を大きく横に広げ、不気味に笑った。

「どうして貴方は....人を傷つけるのですか?」

「お前らは人じゃねえだろ....!」

怒りを我慢しながら、俺は答えた。

「我らが神聖教....!今こそ!神の復活の時!さあ和人様!儀式を行い、そして世界を変えましょう!!」

「俺は....俺は....」

俺は世界を守りたいのかな....?

俺は世界を支配したいのかな....?

俺は....何がしたいんだろうか....?

もう何も分からない。

「クレリア、悪い....俺が道を作るから、その隙に逃げてくれ」

クレリアだけでも守ろう。

そんな思いで、クレリアに話した。

でも、俺は油断した。

「で、でも!それじゃあ和人様が....!」

「あ、あれ....おかしいな....力が入らない....」

「和人様!!」

この感覚。今までに何度も経験した。

体が熱い。何も聞こえない、何も感じない。

だんだんと視界が奪われていく....

これが「幻想」だ。

まあ...簡単に言えば、俺は死んだんだ。

「これじゃあクレリアが....!」

誰もいない世界でただ1人。叫んだ。


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