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終焉に終焉を。  作者: 終焉を迎えたTomato
第二章 世界の英雄たち

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24/82

EP24 戦略は、戦力だ。

俺らは、意味もわからず戦う。

先ほど来た15名の中には泣きながら逃げ出す者もいた。とても若くして、死ぬ者もいた。逆に、もうあとは短いからと、敵に突っ走り、最期にできることをして死ぬ者もいた。

ここに15名しか来なかったことから察するに、別の場所でさらなる不幸が起こっている。俺は気づいた。逃げた者も死んだ者も、諦めた訳じゃないことに。

そんな奴らから勇気をもらった。きっと、俺がなんとかする。そうやって死者を慰めながら、俺は刀を振り、返り血を浴び、灰になった魔物を踏み、前へ進む。


今ここに立てるのはお前らのおかげだ。


ありがとう!


この感謝が届くとは限らないが、きっと届いてると信じて、亡くなった兵士、親友のために、戦え!

たとえ命を見捨ててでも。


「えい!!」

「ユズ!下がれ!」

「ひゃあ?!」

「あ、あっぶねえ...死ぬところだったな...」

「あ、ありがと、和人」

「恋人のためなら当然だ」

「和人、もう行かなきゃ!」

「おう!無理すんなよ!」

「うん!」

魔物の攻撃がどの様なものかは分からない。だから危険だ。もし毒を持っていたら?もし動けないほどの傷を負ったら?そう考えると自然と体がすくむ。けど、やらなければいけない。

【天よ、大地を引き裂け】

地面が割れる。そのおかげで魔物の大群が2つに分かれ、力を分割できた。これを使えば、魔物を一時的に囲い、無力化できるかもしれない。これだけじゃ足りない、他にも方法を考えないと。まあやってみないと分からない...

俺は実行することにした。

「ユズ!フィエール!魔物を中心に集めろ!」

「中心に?!わ、わかった!」

「了解!」

フィエールとユズが魔物を中心に集めている間に、俺は遠くへ行き、囲む準備をする。やっぱり飛行魔法は便利だ。

10分も経たずして、ユズとフィエールが魔物を中心に集めた。

「和人!準備こちらは終わったぞ!」

「こっちも!」

「ありがとう!最高だ!よし2人とも、離れてくれ」

「はーい!」

2人が離れたことを確認して、直ぐに魔法の準備をする。魔法は魔力も大切だ。けどイメージもそれに劣らないほど大切だ。なぜなら、そのイメージによって魔法の形が変わるからだ。形が変われば、戦略も変わる。とてつもなく細かく想像できれば、魔法もそれに従って細かくなる。魔法が上手い奴らはみんな、イメージを鍛えていた。

成功するかは分からない、でも、やってみないと何も変わらないだろう?

一か八か、頼むよ、運命さん!

【その怒りは、天を裂き、大地を裂き、海を割る。神の!天の怒りよ!舞い降りろ!】

魔法が発動して、地面が割れた。なんとか成功だ。

「やった!成功だよ!」

「よくやった、こんな魔法があるとはな」

「なんとか成功だ。さてこいつらをどうするか?」

「はい!」

「ユズくん」

「まとめて爆破したらいいと思います!」

「爆破...いい考えだ。採用!」

「やった!」

「...一応離れた方がいいぞ」

「ど、どれだけ強力な魔法を...」

「最上級の魔法だが?」

「まったく...和人の強さは測り知れないな」

「まあ世界を滅ぼしてるんだし、おかしくはないよ」

「否定できねえな...とりあえず今から爆破するから、離れな」

俺がそう言うと、ユズ達は離れた。200メートルくらいか?

俺はもう一度飛行し上空へ、そして爆破魔法を唱える。

【其処に在るあらゆる物よ、塵となれ】

魔法陣は魔力を貯め、囲まれた魔物、地面に向かってエネルギーを放出した。そして辺りは塵と煙が舞い、巨大なキノコ雲と衝撃波が発生した。

そうして、ここの戦闘は終わった。魔神エラルドがどうなったのかは、誰も知らない。

「ひとまず、ここの戦闘は終わった。一度王国へ戻ろう」

「うん、さっきの魔法凄かったよ」

「ああ、素晴らしい魔法だ。一度王国へ戻って、報告などをしよう」

「おう!」

俺らは王国内へ戻った。だが...何かを忘れている気がする。まあいいか!


ー王国内、王宮ー

「...」

「エリア様、和人様が」

「どうぞこちらへ」

「ありがとな、エリア様、もう知ってるかもしれんが、今王国の外で戦闘をして来た。魔物の大群とだ。それで、伝えに来たんだ」

「王国が危険」

「ああ、その通りだ」

「和人様、フィエールと共に、もう一度戦場へ向かってくれませんか?もちろん、私も行きます」

「誰かを守れるのなら、喜んで行く」

「ありがとうございます。お優しい方ですね」

「...だが、条件がある」

「条件、と?」

「条件は、もしエリア様や兵士に危険だと判断した場合、遠慮なく迅速に撤退することだ。俺以外な」

「ですか、それでは...」

「俺は不老不死だ。どうせ死にやしない。たとえ体が消滅しても、10分もかからず完全に再生する」

「ですが!痛みは...!」

「もちろん、痛覚はある。でも、俺が苦しんで誰かが生きれるのなら、俺はそれでいい」

「そんなの間違ってるよ!」

「ユズ?待ってろと言っただろ...」

「和人が危険なのに待ってることなんてできないよ!」

ユズは言う。その瞳は本気だ。

「なんで自分だけ犠牲にして、人を守ろうとするの?」

「俺は、昔、終焉を世界に招いた。この世界にも、俺らの世界にも、別の世界にも、その時俺は世界を守れなかった。俺は自分を憎んで、罪を償おうとした。かと言って死ぬことも許されない。ずっと生きて永遠に生きて、苦しめってことだろう。それでも俺の気持ちは変わらなかった。

だから、俺は自分のできることをしている。せめてもの罪滅ぼしだ」

「...分かりました。貴方の条件を認めます」

「...うん、私も...でも、和人が危険だって思ったら戻って来てね!」

「分かった」

(和人...前から思ってたけど...目が輝いてない...目が死んでる...私が守らないと)

「じゃあ、臨時で会議をしよう。戦略を練るんだ」

「わかりました、では、専門家、隊長達を」

「承知しましたエリア様」

メイドが外へ出ていった。

「会議はここで行うのか?」

「ここしか空いておりませんので...」

「なるほど、いいか、戦力も大事だが、戦略も大事だ。細かく会議するぞ」

「私も参加していい?」

「もちろん」

フィエールが来た。

「私も参加する。そんなことより、結愛はどうするんだ?」

「結愛はまだ幼い、そんな子を戦場には送れない。それに危険だ。会議くらいなら参加して良いと思うがな」

結愛は、可能性が擬人化した少女。もし結愛が死んだら、それは可能性の消滅を表すかもしれない。どちらにせよ、あんなに可愛い子を戦場に送りたくない。

結愛には悪いが、王宮内で安全に居てもらおう。

数分後、専門家達が来た。そして直ぐに会議が始まり、みんなで戦略について話し合った。地理的な要素、魔法学的な要素からも考え、意見を述べ合った。

兵力はかなり減っていて、他の戦場もあるので、一万の兵士を送ることになった。これから、大変なことになりそうだ。死傷者は3万を超えるかもしれない。

そんなことも、この会議では話した。できるだけはやく安全な戦闘をしなければ、今後の終焉に対する抵抗で、かなりの影響が出るだろう。


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