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終焉に終焉を。  作者: 終焉を迎えたTomato
第二章 世界の英雄たち
23/81

EP23 もしも世界を護れるのなら

沢山の魔物を目の前に考える。

これも、終焉の影響なのかと、もしそうなのであれば、それは俺のせいだということになる。本当にそうだったとしても、嘘であると言って欲しいな...

「和人、構えろ」

「ああ...」

「...おそらく、魔物はまだまだ居るだろう、私たちは、国民だけじゃない、全ての人々を守る義務がある。私のことは気にしなくて良い。本気で行くぞ、手加減なんてするな」

「了解...!!」

【天の使いよ、罪人を捌け】

できるだけ多く、

「かかってこいやぁ!!」

できるだけ長く、

「食らえ!!」

できるだけ強く、

魔物を殺せ。

赤く染まる空は、どこか遠く離れていた。輝きを失い、希望なんてない。そんなことを言っているようだ。

「か、数が多い...でも、諦めねえ!!」

刀に魔物が触れて、塵と化す。最前線で抑えないと...

この戦いは、いつまで続くのだろうか...

「俺のせいでも、俺が責任を取る!!!そうでなきゃ行けないんだ!」

「和人、これは貴様のせいではない!」

その後しばらく沈黙が続く。フィエールに俺のことをフォローしてる暇なんてない。俺はできるだけ、フィエールが集中できるよう計らった。

いつかの戦いも、こんな感じだった気がする。

...何も見えない記憶、掠れすぎて再生不可能だろう。

ユズは無事だろうか。もしユズが死んでいたら、俺はどうしようか。そんな暗い考えが頭をよぎる。

「これ...多すぎる...」

二人がどれだけ強くとも、勝てないほどに数が多い。

魔物一体一体の力は弱いものが多い、しかし、数には勝てない。

「頼む!早く援軍が来てくれ!」

「あと30分は無理だ!王国内に動きが見えない!」

「国民の優先か...30分、そんなに持つだろうか」

「持たなくとも、やるんだ」

「そうだな....さて、そろそろ再開しようか!」

戦いは続く、もし今の戦いが終わっても、終焉との戦いが待ち侘びているだろう。今はそんなことよりユズと結愛が心配だ...

「せやああ!!!」

これがゲームだったら良いのに。そう思いながら死ぬ気で刀を振る。魔物を斬るその刃は、淡い黒で輝いていた。

これだけやっても、敵の数は変わらず、むしろ増えていた。一向に減らない敵を目の前に、フィエールは脚がすくんだり、手が震えたりしていなかった。

「強いな...フィエールは...」

「...」

フィエールは無言で、魔物を薙ぎ倒していた。

その顔は、集中して戦えと言っているようだった。

「おらああ!!!」

【夢の名残よ、未来を見透せ】

未来が見える...というより、次の攻撃の予測が表示されると言った方が正しいか。そんな魔法を使ったり、

身近なものを利用したりしてできるだけ多くの敵を倒す。

【神の怒りよ、舞い降りろ!】

初級魔法や中級魔法。それらをそれぞれの敵の強さで選び、放つことで魔力の消耗を抑え、長く戦えるように調整する。上級魔法はあまり使わない、上級魔法は少し時間がかかるからだ。約3秒と言ったところだ。ただその分威力が高かったり、範囲が広かったりする。でも、ここにいる魔物は中級魔法で十分だ。

もう一度当たりを見渡す、やはり数はそれほど変わっていない。

その時気づいたが、魔神エラルドが姿を消していた。

俺らを殺せると確信したのだろうか?って今は戦いに集中しないとな。

「せりゃあああ!!!!!」

フィエールはずっと無言だ。

これが...戦争か...戦争なんて多分初めてだ。...いや何回かあったな。俺も参加した、あの戦争...確か、中国と日本で戦争してたかな。今まで思い出せなかったのに、その時の記憶が蘇ってくる。


大事な仲間を失ったあの時を。

「翔太!大丈夫か!」

「...あ、ああ和人...大丈夫...では..ないかな...」

「ッ!...だ、大丈夫だ回復魔法をかけてやる!」

「無駄だよ...和人...俺はいいから...君だけでも...」

「で、でもお前が!...」

「二人とも死んだら、元の子もないだろう?それに...上を見ろ...」

「え?上...?」

上を見た。そこにあったのは

「自爆ドローンだ...」

「翔太、逃げるぞ!」

「やめろ!」

「しょ、翔太?」

「きっと俺は助けられても生きることはできない。なんせ体が抉れてんだ、もう遅いだろう。だから、だから!俺の分も生きてくれ!この世界の戦争を止めてくれ!」

翔太は体が半分以上消えた状態で叫んだ。涙を流しながら、だんだんと冷たくなっていく。

「翔太...翔太ぁ!!」

「和人、今まで....ありがとう...楽しかったよ...」

「翔太ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

真上を飛ぶドローンに、早く爆破して欲しかった。

けど翔太は俺に生きてと言った。当時の俺は中学生、

大人な回答とかができる年齢ではなかった。でも、翔太が息絶えてすぐに、目の前で仲間が粉々になった。

俺は、中国を恨まなかった。なぜなら、中国にまた、同じことを経験している真っ最中だからだ。

今のこの“戦争”もあの時と似ている気分で、あの時を思い出す。翔太をなくした俺は、心を無くして戦った。そして13年続いた戦争は幕を閉じた。中国は崩壊、日本は戦勝国となった。

今は、あの時と違って、勝ち負けなんてない。

終わったら最後、勝ちも負けも決まらず、世界は終焉を迎える。この戦争で、世界が変わる。きっと世界がいい方向に進んでいくことを願って、あの時とは違う様になることを願って、俺は、俺らは戦う。何時間戦ったのか分からなくなったころ、やっと援軍が来た。

その数...15人...

「...たったの15人....なんでこんなに少ないんだ...?」

15人だけでも嬉しいさ、けど、明らかに少なすぎる。

装備を見る限り、先鋭部隊ってわけでもなさそうだ。

「こちら、部隊、レグルス!参りました!」

「レグルス...どうやら、事態はかなり深刻なようだ」

「え?...」

「レグルスは予備軍、仕事のほとんどが災害派遣のみだ。今回そんなレグルスが配備されたということは、きっと別のところにもこの様なこと、もしくはこれよりもっと大変なことになっているかもしれん」

「はい、フィエール様のおっしゃる通りです」

「ま、まじかよ...」

これほどのこと、今回が初めてだ。今までこんな経験をしたことがない。もちろん、あの時も。

少し遅れて馬車が到着した。

そして降りてきたのはユズだった。

「和人!!」

「ユズ!?無事だったのか!」

うん!」

ユズは一息置いて言った。

「今王国内でも、王国の外でも、大陸中で、大変なことになってるの」

「まさかとは思ったが...本当にそうなるとはな」

だから、結愛ちゃんは、王宮で保護してもらってる。私は、自分で行きたいって言って来たの。だから情報を集めて来たわ」

「ありがとう、助かるぜ」

それはこっちのセリフ。じゃ、説明するね」

「できるだけ手短に頼む」

ユズは小さく頷いて説明を開始した。

どうやら、今世界中でやばいことになっているらしい。

まずは終焉について、この世界に複数個ある終焉は拡大を続けていることを確認した。同時に、この世界に終焉の本体がないことも確認できた。この場合、本体はおそらく東京だろう。

そして次に魔神について、今まで古の英雄によって封印されていた魔神ら11名は、終焉の影響で封印が解け、世界中を彷徨っている。終焉の影響によってなのか、そいつら一人一人の強さがとんでも無く上がっているそうだ。

最後に、世界の結合、それがここ、エールのアリスト大陸で発生する可能性が高まっているということだ。

もしこれが発生すれば、終焉ノ鐘が鳴るのと同じく、

かなり危険なことになる、そして避けなければいけないのは、俺らの世界、地球...いやコスモスとこの世界エールが結合することだ。それは起きてしまったら、もう後戻りができない。世界を救う方法は宇宙をゼロから作り直すしかない。

以上のことを踏まえて、俺らは戦いに急ぐ。少しでもこの状況を打破しなきゃいけない。過ちなんていくらでもあるだろう。過ちが悪い訳じゃない、悪いのは、その過ちをなんとかしようとしないことだ。

きっとなんとかなるさ。そう自分に、世界に言い聞かせて、俺らは戦う。

自分のために、世界のために!!!




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