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終焉に終焉を。  作者: 終焉を迎えたTomato
第二章 世界の英雄たち
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EP 21 作戦会議

会議の40分前。宿を出発し、俺とフィエールは中央都市アサールの貴族館の会議室へ向かった。

向かっている最中、少し遠くに赤黒い何かが見えた。おそらく終焉だ。急がないと取り返しのつかない事になってしまう。

会議の20分前。終焉、それについて考えていた。

...世界が終焉に呑まれていく。それに、一般人は気づいていない。いや、そのままでいいそっちの方が...

取り敢えず、会議へ急ごう。

会議の5分前。貴族館へ着いた。フィエールは、とても冷静になって言った。

「和人、おそらく、貴様に終焉について聞かれるだろう。そうなった場合、知っている事全てを話せ。先に言っておくが私はもう貴様が隠していることに気づいている」

「やっぱりお見通しだったか...もしかして、声に出てた?」

「ああ、はっきり”俺のせいで世界が崩壊するのか”と聞こえたさ」

「そうか、フィエール、お前は優しいな」

「なぜだ?」

「終焉が来たのは俺のせいだと知って、俺のせいで世界が滅ぶのだと知ってでも、お前は罵声を浴びせたり、暴力を振るったりしなかった。よーく考えてみろ、世界が滅ぶんだぞ?もう家族にも恋人にも、友達にも会えなくなっちまうかもしれないんだ」

「どうせ、過ぎ去った過去に過ぎない。ずっとずっと過去を悔んで、悔やみ続けていたって意味がないだろう?罵声を浴びせたり、暴力を振るったりするのも、どっちも無意味で、苦しみしか産まない」

「本当に、優しいよ」

「...感謝する。さて、入るぞ」

「ああ」

ドアを開ける。もう全員揃っていた。

「貴方が、和人ですか?」

「ああ、そうだ」

「貴方のことは存じております。では、会議を始めましょう」

「...」

会議が始まる。この世界の未来を背負っている。

「本題に入る前に、自己紹介でもしよう」

「貴様のことは全員が知っているが?」

「...まだ言ってないのもあるからな。俺の名前は和人。18歳で、異世界から来た。俺は、ここにいる誰よりも終焉に詳しいつもりだ。なぜなら...俺が...俺が終焉を招いたからだ。そして、俺は不老不死、年をとることも、死ぬことも許されない。...以上だ」

「そうですか、貴方が終焉を...いえ、それ相応のことがあったのでしょう。では本題に移ります」

「ああ、今の状況は?」

学者1「はい、現在アリスト大陸で11個の終焉が確認されています。北方7国同盟に4個、クラリス魔国連邦に2個、ザレットジョール王国に1個、残りは西と南の未開発地帯にそれぞれ2個、確認されています。」

「そうか、ありがとう、11個...少ないな。きっともっと増えていくはずだ。気をつけて」

「増えるとしたら、アルファ大陸の可能性が高いはずだ。ただ、アルファ大陸には始まりの街、ジェネシスと3つの地域のみだ。人口は少ない」

「ですがアルファ大陸には、魔王都市グレゼリアが、もしかしたら、魔王が復活するかもしれませんね。魔王の力と終焉の力、それらはとても似ている気配がします。偵察隊を派遣しておきましょう」

「了解致しました、エリア様。速急に伝えて参ります」

「良い着眼点だ。確かに、魔王の気配と似ている。...魔王か、魔神なら見たことがあるが、魔王は見たことがない」

「魔神に会っただと?...まあ貴様の言うことだ。信じよう」

「さて、明日の作戦について話し合いましょう、現在、サテウス軍は移動を開始しており、明日には作戦を実行できる予想です。詳しい説明を」

軍総合隊長「では私、サテウス軍総合隊長デリスが、

大まかな作戦としては、全軍で、一つの終焉を攻撃、破壊、また別の終焉に移動。の繰り返しです。現在交渉人がクラリスやザレットへ向かい、休戦と協力を交渉しています。成功すれば、クラリス軍3万4千人、ザレット軍4万2千人が加わり、全勢力合計で、14万6千人となります」

「14万、それが全て一つの終焉を攻撃するのか?」

「いえ、クラリス軍とザレット軍で一つの軍にし、サテウス軍は、今のままとなります」

「ああ、そっちのほうがいいだろう」

「私たちは?」

「できればサテウス軍へ、本体の特定や、そのほかの中心として機能しますので、和人様とその仲間、そして十二月の英雄フィエール様がいれば、おそらく問題なく、機能するでしょう。それに和人様が1番終焉に詳しいので」

「問題ない、だが、クラリス軍とザレット軍、その二つを一緒にしていいのか?」

「確かに、両国は戦争中だ。対立が起きなければいいのだが...」

「問題ありません、クラリス軍もザレット軍も、両国には絶対的な条約を結ばせますので」

「ま、まさか脅して...?!」

「いいえ?ただ契約書に可能な限り小さく書くだけですので、心配要りません♪」

(まともだと思ったが...想像以上にやばい人だ...)

「なんか言いました?」

「心読むなよ!!?」

「和人、いつものことだ」

「そんな安心しろ見たいな顔で言われても、ちっとも安心できねえよ?!」

「...それもそうか」

「そ、それはそうと、俺らはサテウス軍の最前線で戦う。それでいいんだよな?」

「はい、その代わりに、10万キリルをお渡ししたので」

「だから無理やり受け取らせたのか...」

「和人のこいb...仲間達はどうするのだ?」

「和人様とご一緒に」

「ありがとう、ただ俺の判断で、俺以外を撤退させたり後方支援に回したりする」

「了解しました」

「では、残りの時間細かいところや、加える事、無くす事、質問などを重点的に話会いましょう」

「こちら、お菓子とお紅茶です」

「あ、ありがとう!」

「...は、はい!おかわりもございますので!」

俺が返事をする間もなく、メイドは会議室から出ていった。

「え、え?なんで..?」

「チラッと顔が見えたが、少し赤かった。貴様はなかなか顔もいいし声もいい、それが彼女の何かに刺さったのだろう」

「お前...そんな風に思ってたのか...」

「ち、ちがうわ!!バカ者!」

「あひょ!?」

フィエールの右ストレートを避けようとしたが腹に直撃した。

「フィ、フィエール、悪かったって...いくら不老不死だからって、痛みは...あるんだぞ...ごほっ!」

「ふふふ、仲がいいのですね♪」

エリア様怖い!エリア様怖いよ!

...と、そんなこんなで、会議は続き、夜まで続いた。


「では、これで会議を終了します。みなさま、お忙しい中ありがとうございました」

「おう、世界のためだからな!」

「和人の言うとおりだ。騎士でなくとも、世界を守りたいと思うだろう」

「か、和人様少し質問いいだろうか?」

「ん?俺に答えられるならなんでも」

「感謝する。質問とは簡単で、貴方様の強さが知りたいのだ」

「強さか、なかなか答え方に困るな...」

「和人、簡単だ。私より数倍強い。たったこの一言で充分だ」

「そ、そうなのか?」

「はい、それだけで充分です。フィエール様より数倍強いということは、世界一、下手すれば宇宙一強いと言うことになりますので」

「ってことはフィエールは俺がいなきゃ、世界一ってことか?」

「そうだ」

「まじか、でも宇宙一って...?」

「ただの比喩か、それとも信頼か。どちらに捉えても、褒めていることに変わりません」

「和人様、失礼ながら、ご年齢は?」

「18だ。不老不死だから歳は取らない。生きた年数でいえば、記憶にある限り、少なくとも900年は生きた。ただ本当はもっと生きているだろう。その間、ずっと魔法の鍛錬や調査開発、他には冒険や建築などをしてきたな」

「9、900年...なるほど、納得です。そういえば、とある神器に生きた年数を正確に映し出すものがあると聞いたことがあります」

「それはおそらく時の鏡。確か今はクラリスにあるはずです」

「時間があったら行ってみるか」

「900年間、ずっと一人だったのか?」

「ああ、動物の何もなかった。幸いにも、植物はあったから、食料は充分にあったよ」

「肉はないだと?!それは大変だ!」

「好き嫌いすんなよ...お前23歳だろ...」

「女性の年齢を言うなんて失礼だぞ!それに私はまだ21だ!」

「自分で言ったら意味なくね?」

「あ....」

エリア様はとても、とーーってもいい笑顔を浮かべている。よく考えたら、ここにいる女性陣(さっきのメイドも含む)は顔面偏差値がすごい高い。ここはモデルの撮影現場か?と思ってしまうほどさ。

中身はやばい人だが...

「もう帰るか。ユズたちが待ってる」

「そうだな、じゃあまた明日」

「はい、私も戦いますので会えますね♪」

「あ、うん」

フィエールと宿に向かっている最中、少しお土産のようなものも買った。うまそうなりんごジュースだ。

「りんごジュースが好きなのか?」

「いや、嫌いではないがあんまり飲まない。これはユズと結愛の分だ」

「優しいな和人は」

「まあ長い時間待たせちゃったしな、謝罪の気持ちも込めてだ」

「それでもいいじゃないか」

「ありがとな」

鐘がなった。どうやら鐘になる数で時間=時間だそう。今なったのは9回つまり21:00だ。もうそんな時間か。

俺らは少し早歩きで宿に戻った。行きは馬車があったから時間はそれほどかからなかったが、帰りの馬車はなかったので、歩きで帰ることになった。

宿に着いて、会議で話したことをユズに話した。

「話を聞いた限り、エリア様少しやばい人って感じがするんだけど...」

「ああ、やっばい人だ」

「あはは...和人、今日は2人で寝よ?」

「結愛は?」

「結愛ちゃんが“たまにはフィエールお姉ちゃんとも寝たいなー”って言ってたの、それをフィエールさんに言ったら、いいって言ってくれてね」

「なるほど、分かった。...殴るなよ?」

「ちょっと!私そんなに寝相悪くない!」

「ははは、流石に“多分”冗談だよ」

「そうだよね」

...あれ強調して言ったのに気づいてない?

「さ、もう寝よっか」

「うん、私は“多分”寝相悪くないから安心して」

あ、気づいてましたね。多分ベッドから落とされるか、首を絞められるな。

「あ、あははー」

少し隣から圧を感じながら眠りについた。明日は作戦開始日。遅刻しないようにしないと...




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