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終焉に終焉を。  作者: 終焉を迎えたTomato
第二章 世界の英雄たち
18/81

EP 18 世界のための選択肢

目を開けると、俺は実家にいた。

「お兄ちゃん!お兄ちゃん!」

「...あ、明里?ここは家?どうして俺はここにいるんだ?」

「どうしたの?お兄ちゃん」

「い、いや、何でもない、元気だったか?」

「うん!」

...どうして、俺はここにいるんだ?どうして、俺は明里に会っているんだ?

「明里、和人、買い物に行ってくるわね。いい子にしてなさいよ」

「母さん...俺を何歳だと思ってるんだよ...もう18だぞ...」

「そうね、じゃあ行ってくるね」

ここは夢なのか?それとも現実なのか?別の世界線を見ているのか...?

分からない、何にも分からない。

「お兄ちゃん?何かあったの?」

「ん?いや明里と会えて嬉しいなーって思ってな...!」

「うん、うれしいけど、手が震えてるよ...?」

「え...?」

本当だ、気づかなかった。俺の手は震えていた、まるで凍えているように。

「大丈夫だよ、明里。心配しないで」

「本当に?う、嘘じゃないよね?」

「ああ、大丈夫だ、お前のお兄ちゃんだからな」

「わ、私にできることがあったら行ってね..」

...どうせ、今いるのは現実じゃない、なら、できないことをやろう...

「じゃあ、そこに座って目を瞑って」

「こう?」

「そうだ、そのままでいいよ」

「うん...」

俺は、そっと明里を抱きしめた。明里の小さな体から、どこか優しい暖かさを感じる。気づいたら、俺は泣いていた。

「明里、今、お前は幸せか?」

「うん!すっごく幸せ!」

「そうか、ならよかった」

涙を拭いて、我慢して、明里の顔を見る。

「でも、お兄ちゃんが学校に行ってくれたらもっと幸せ!」

「そうか、お前は、優しい子だな」

そういえば、俺は学校にしばらく行ってなかった。

不登校だったんだ。いつも家で寝るかゲームをして気を和らげていた。そうでもしないと、あの時の俺は、真顔になることすらできなくて、ただただ泣き続けることしかできなかった。

あの時の俺は、全てに希望を見出せず、ただ苦しみながら生きていただけだ。父と二人暮らしだったが、父は仕事で忙しかった。だから寂しくて、母さんにお願いをした。月に一度でいいから、明里と会わせてくれ

と。明里はほとんど病院にいた、でも俺と会う日だけ、家にいた。明里の病気は、不治の病で、名もない、謎に包まれたものだった。それを知った明里は、

医学者に血液などのサンプルや情報を送っていた。

けど、それのせいで、明里はだんだんと衰弱していっている。

「急に黙ってどうしたの?」

「ああ、ごめん、考えごとをしてて」

「そっか!」

「うん」

明里「お兄ちゃん!見て見て!みんなを描いたの!」

明里の手元には、アニメ風に描かれた家族のイラストがあった。なぜアニメ風に描いたのかはさておき、

めっちゃ絵が上手くなっている。そのイラストの右下には、文字が書いてあった。

「いつまでも仲良く居ようね!」

と、力強く書かれていた。

「...お、お前...よくやったな!めっちゃ絵上手いじゃねえか!」

「えへへ!ありがとう!」

「うん」

「いつまでも仲良く居ようね...」

「明里?」

明里の様子が変だ。明里に何が...

「でも、もうできないんだよね...」

「どう...いうことだ?」

「もう終焉は、最終フェーズに突入しかけてるよ、お兄ちゃん。コスモスも、エールも、もうすぐ消えちゃう」

「そうだな、俺が悪いんだ...」

「お兄ちゃん...でも、この世界を守れるのはお兄ちゃんしかいない!だから!お兄ちゃんが何とかして!」

「ああ、そうだな、約束する」

「うん!じゃあ目を覚まして!」

目を開ける、明里の言葉が蘇る。

この世界を守れるのは俺しかいない。

どうにかできるのは俺しかいない。

終焉はもう最終フェーズへ突入するだろう。

...できるだけ早く、動かなければ。


隣に寝ているユズと結愛を起こして、サテウス軍のところへ向かい、会議、の予定だったが、急遽明後日に延期。

今できるのは情報収集だけだ。俺は3人を連れて、王国の外へ出て、周辺の情報を集めることにした。

「よし、いいかお前ら」

「うん!」

「私も大丈夫」

「ああ、問題ない」

「終焉は、もう直ぐ最終フェーズへ突入する。

それがどういうことなのか、言わなくてもわかるだろうが、終焉が本当の力を出して本格的に、世界を滅ぼしにくる」

「サテウス軍だけでは、足りないのでは?」

和人「そうだ、サテウス軍だけでは足りないんだ」

「サテウス軍って確か、7万くらいだったよね?それでも足りないの?」

「戦場で何が起こるか、予測はできても完全にわかる訳ではない、それに予測と言っても、魔物の種族や数くらいしか分からない。そのままで行くのは危険で、致命的なダメージを負いかねない」

「じゃあどうするの?」

「...方法は、サテウス・ルザーだけじゃない、他の国の軍人や人々の力が必要だ。それに加えて兵器などが有ればなお良しだ」

「すまないが、その考えは実現できないかも知れん、サテウスは大丈夫なのだが、他の国が戦争をしていてな...」

「戦争...」

「なら止めるまでだ。今、世界に必要なのはたった一つ、協力だけだ」

「でも、それは...」

「それ以外、何があるの?何にも方法はないでしょ?今、この世界で1番終焉に詳しい和人に任せるべきだよ」

「ユズお姉ちゃんの言う通りだよ!!フィエールお姉ちゃん!」

「...それもそうだな、和人、貴様に協力しよう」

「ありがとう、3人とも!」


戦争...この世界でも、人間は変わらないんだな。

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