EP13 不可能なんて...
世界ノ結合から2週間、未だに結合は続いている。
どうすればいいのかも分からず、生存者を探す日々、ユズには結愛の世話を任せて、たった一人で誰もいない都市を探す。昨日、もっと離れたところも探してみたが、誰もいなかった。
「..............俺のせい........なんだよ......」
自分を憎んで憎んで憎んで、でもそれで何かが変わるわけではないからさ。ただひたすらに歩いて探して。
本当に生存者はいるのかな........?
そう思いつつも今日もなんの成果もなく家に戻る。
どうやら、俺が起きた場所、結愛と初めて会った場所は、ユズの家だそうだ。
「おかえり、和人」
「ああ、ただいま」
帰ってすぐ、ソファに横になる。
「結局なんの成果もなかったよ........」
「そっか........」
「大丈夫、和人ならできる」
結愛のその言葉に、思わず涙が滴る。
「........ありがとうな、結愛」
ユズが微笑んでこちらを見る。おそらく、ユズが教えたのだろう。
「うん!」
「じゃあ、ご飯にしよっか」
「おう、すぐ行く」
「夜ご飯なにー?」
「今日は、肉じゃがだよ!」
「肉じゃが大好きー!」
「おお、上手くなったな」
何回か聖天地でユズがご飯を作ってくれたが........その味は、かなりまずk........ど、独特な味だった。食べなくても見ただけでわかるほどに........でも今は、まるで三ツ星レストランだ。見た目も味も最高。
「和人、近くに誰もいなかったってことは、もっと遠くても誰もいないってこと?」
「信じたくはないが、そうだろうな。実は昨日、もっと遠くへ行ってみたんだ。でもやっぱり生存者は誰一人としていなかった」
「........」
ユズは少し黙った。
「そう........」
「........だから、生存者を探すより先に終焉の破壊をしようと思う。魔法にはもう慣れたか?」
「うんかなり安定してきたし、細かいこともできるようになってきた」
「それはよかった。問題は、結愛をどうするかだ」
「私?」
「結愛はまだまだ小さい。だから戦闘するのは危険だ」
「そうね........」
「私戦える!魔法も使える!」
すごく元気に言った。今この状況になって、親の気持ちがよくわかる。
「じゃあ、明日見せてくれ」
「わ、私よりうまかったりしないよね....?」
「さ、どうだろうな?」
「恥ずかしいよー!」
結愛が少し気まずそうだ。......まさかね、そんなことはないよね......?
―翌日―
「えいっ!!」
水素にマッチを近づけた時みたいな高い音を立てて、的にしていたコンクリブロックに穴が空いた。貫通はしていないものの、この年齢にしてはすごいことだ。
異世界人だから、というのもあるかもしれない。
「じゃ、じゃあ私の番!」
「おう、いつでもいいぞ」
「ええい!!!」
ユズの魔法は少し発射が遅いが、威力はそれなりにある。その証拠にコンクリブロックは、もうなくなっていた。
「いいな!二人とも!」
二人のレベルもわかったので......お手本を見せるか........
「あそこに山があるだろ」
俺は1番近い山を指差した。200メートルくらいだ。
「お手本を見せてやるよ」
「う、うん」
「楽しみ!」
「じゃあ行くぞ。ほい!」
軽く手を前に伸ばしたあと、直径1,5メートルほどの魔法陣を召喚し、水色に輝くビームが放たれた。前にドラゴンが来た時の魔力砲と同じ魔法だが、威力をおさめている。
そしてたくさんの砂煙が舞ったあと、だんだんと視界が開けてきた、そして先程山があった場所は、もうなにもなかった。
「........え?」
「すごーい!!山がなくなった!!」
ユズがポカーンとしている。少しやりすぎたかな?
まあいいか。
「じゃあ帰るか」
「うん!」
「そ、そうね」
「家についたら準備をして昼飯食って出発だ」
「........分かった」
「......良かったなユズ、結愛に負けなくて」
「うん、でも和人、あれは「ほい!」で出していい威力じゃないよ........」
ユズは苦笑いをした。当たり前の反応だ。
「ごめん、制御が上手く行かなくてな」
「2人とも〜!早くー!」
「い、今いくよー!!」
「ういー」
幼い子って元気だなぁと思いつつ、家に戻る。
準備が終わって昼飯も食ったあと、すぐに出発をした。
まずは大阪に行こう。ここは神奈川あたりだからざっと500km......思ったより遠いな。
まあ、なんとかなるだろう......なる....よな?
少し心配だが、俺らは出発した。道中、キャンプとかをしたりして、何日にも分けて歩いた。たまに魔物にもあったが、特に問題はなかった。ユズのエイムが、悪いことを除けばの話だが。
10日ほど経ってやっと大阪駅に着いた。
苔むしたビル、自由を得た雑草......辺りはすっかり自然に戻って行こうとしている。そんな中、終焉を見つけた。大きさは......分からん、でも東京の本体より小さい
少し調査をして、そのあとに、破壊をしよう。
でもその前に、たくさんの魔物を殲滅してからだ。
かなり時間がかかりそうだが、問題ないだろう。




