EP10 世界よ、もう大丈夫だ。
朝ご飯の時に少し質問をしてみた。
「ユズ魔法の調子はどうだ?」
「炎系の魔法が少し打てないけど、水と回復魔法はいっぱい打てるよ、最近、無詠唱でも強力なのが打てるようになったんだ!」
眩しい笑顔でユズは言った。すごい成長だ、たったの2ヶ月しかたっていないのに。
「なら、もう下に降りても大丈夫そうだな」
「でも攻撃力が弱いよ?」
「いいや、それでも問題ない、サポーターに回ればいいんだ。それで攻撃力が強くなった時に、一緒に戦えばいい」
「私はいいけど、和人はいいの?」
「大丈夫だよ」
「ならそうする」
意外とすんなりいったな...と思いつつ、朝ご飯を完食した。(ちなみに朝ご飯はトーストだ。)
朝ご飯も食い終わったので、下に降りる準備をしよう。
「ユズ、必要ないものは極力持っていかないように、荷物になるからね」
「....はーい」
意味深な間を開けて返事をした。
「俺はもう終わったから少し下見に行ってくる」
「どうやってここに行ったり来たりするの?」
「飛ぶか転移するかの二択だ」
「え?和人飛べるの?」
「ああ、魔法で。ユズももっと鍛えればできるんじゃないか?」
正直、飛ぶことは容易ではない。今まで人ができなかったことをしているんだから、魔物たちよりも弱いものだ。それに、魔力をたくさん使うからな。まあ、夢を壊すのは嫌だし、何よりユズが目を輝かせて言ってきたので、間違いではない回答をした。
「やったぁ!」
「じゃあ行ってくるな」
「いってらっしゃーい」
【転移】
...どこだここ。と思ったが、渋谷のスクランブル
交差点っていうのはすぐ分かった。人の気配はない。というかなんだ?これ。変な紫色の霧みたいなのが漂ってる。さてはあの魔王とやらが言ってた魔物の仕業だな?ってんなこたあどうでもいい。取り敢えず、周りを見て安全の確保だ。
「おーい!誰かいるかー?」
....返事がないただの屍のようだ。
「まあこんなとこに人はいないか」
そんなことで納得してしまうほど、状況はかなり悪い。重力はおかしくなるし、人はいないし、建物は崩れてるし、人はいないし。
「って最悪じゃねえか?!」
....にしても気持ち悪いほどに静かだ。魔物すらいないのか?そ、そろそろ戻るか。
【転移】
「ユズ?終わったか?」
「あれ和人?もう終わったの?」
「ああ、最悪な状態だった。人も魔物も全くいねえ」
「う、嘘でしょ...」
「残念ながら本当だ」
ユズはすぐに暗くなった。下を向いている。
「そ、そっか...私はもうすぐで準備が終わるよ、外で待ってて」
「俺も手伝うよ」
「ううん、大丈夫だよ」
「本当か?ならいいんだが」
仕方なく外で待つことにした。ユズはどこか悲しそうに準備を続けている。おそらく、母親のことだろう。
―10分後―
「まだか?」
「まだー」
―30分後―
「終わったよ〜」
「いや長えよ」
「和人!早速行こう!」
「はいはい、じゃあユズ、手を出して」
「え?うん」
ユズの手を取る。次第にユズの顔が赤くなる。
「....ね、ねえ?まだ?」
「あ、ごめん、ちょっと面白くて」
「わ、笑うなー!!」
「ごめん、ごめんって」
ユズが恥ずかしそうになりながらも怒ってきた。
「じゃあ行くぞ」
「うん」
大きく息を吸う。
【転移】
あっという間にさっきの場所に着いた。
「も、もう終わったの?」
「....さては怖かったんだろ?」
さっきより霧が薄い。時間によって変わるのだろうか?「ユズ、これからは――」
ユズにこの後の流れを軽く説明した。
「分かった。問題ないわ」
「よし、じゃあ....」
そう言いかけた瞬間だった。鋭い岩のようなものが飛んできた。
咄嗟に刀を構える。魔物だ。見た感じ、身体が硬そうだ。
「ユズ!ケガは?」
「わ、私は大丈夫」
「お前はここでサポーターをしていろ、俺が倒す!」
ユズは今はサポーターしかできない。だから俺がやられてしまっては、全滅だ。でも、大丈夫。
【炎よ、踊れ!】
いかにも炎な音を立てて魔法が敵の方に飛んでいく。
3発中2発....まあまあか。敵が魔法で怯んだ隙に、刀でダメージを与える。
幸いにも身体が大きいので当たりやすい。
【聖霊の祝福を】
ユズの声が聞こえる。しっかりとできるか心配だったが...できるじゃねえか。
「うお!危ね!」
敵の攻撃を次々にかわしながら。攻撃をする。
あと少しで倒せる。
「ユズ!もう少し下がってろ!」
「う、うん!」
ユズを下がらせたのは、敵が倒された時に出る有害な物質と衝撃波から守るためだ。
さあ、最後の1発!
【稲妻よ大地を震わせろ!】
超巨大な雷が、魔物の頭から足まで貫通した。
そして魔物は倒れた。
「ユズ、もう大丈夫だ」
「やった!倒せた!」
お前はここで一回しかやってないけどな...
「ああ、よくやった、次にも期待してるぞ」
「うん!」
じゃあ次は避難所を探そう。きっとどこかで人が避難しているはずだ。
「よし、行くぞ、避難所を探しに」
「気をつけないとさっきみたいに魔物が来るかもしれないね」
「ああその通りだな、この先には気配を感じない。まずはこっちから探そう」
「分かった」
道中、暇だったので、魔法のコツを少しユズに教えながら探した。
見つかるといいのだが。避難所じゃなくても、ユズのお母さんがいればいい。
-作者後書き-
どうも、終焉に終焉を。の作者のとまとです。
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今後とも終焉に終焉を。をよろしくお願いします。
それじゃあまたいつか!(10話に一回くらいの頻度で現れるかもしれないし現れないかもしれない。)